見出し画像

【演劇】リタの教育(ポウジュ公演)を観て

 2025年1月13日(月・祝)、シアター風姿花伝にて鑑賞したポウジュ第1回公演『リタの教育』の記録を残します。(『オレアナ』も同時上演されました。)
 『リタの教育』は、イギリスの劇作家、ウィリー・ラッセル(1947〜)の作品です。

■あらすじ

1970年代後半のイギリス。26歳の美容師リタは、大学の社会人講座に足を踏み入れる。彼女の指導を任されたのは、酒に溺れる大学教授フランク。自由奔放で、学ぶことに意欲的なリタに、フランクは興味を覚える。しかし、「教育」を通じて変化していくリタの姿が、フランクの心を掻き立てていく。

配布チラシより。

■感想

 湯川ひなさんと大石継太さんの二人芝居でした。上演時間は、2時間35分(休憩15分含む)でした。以下、感想です。

(1)他の作品との比較(!?)

 リタは「労働者階級」です。イギリスは階級社会と言われますが、舞台上の世界にも反映されていました。
 自由奔放なリタに、フランクが文芸批評のレポートを課するなど、フランクはリタに「教育」の場を提供していきます。こうした「教える側の年長の男性」と「教わる(学ぶ、成長していく)女性」という構図は、『マイ・フェア・レディ』や『ピグマリオン』、はたまた『源氏物語』などにもみられます。この構図がよいかどうかは別にして、他作品との比較などが出来れば、面白いでしょう。ただ、私は比較出来るまでには各作品を十分に鑑賞しきれていないので、この場では控えます。

 1点記載すると、今回の『リタの教育』で、フランクは、詩人になり損なった大学教授で、酒に溺れています。完璧な人間ではありません。「悲壮感」という言葉も使われていました。
 私は、作品の前半から少し感傷的な気持ちになり、後半やラストに向けて2人の関係が「悲劇的」になるのか「喜劇的」になるのか、考えながら鑑賞しました。「ほろ苦い」感じがする作品でした。

(2)「教育」について

 フランクがリタに、文芸批評の指導をしますが、彼のアドバイスの中で、私自身、身につまされる部分が何点かありました。
 例えば、リタの最初のレポートについて、「あらすじをなぞるだけでは、駄目だ。」といったようなことを言っていました。自分で考え、発見し、自分の言葉で書いていく。難しいところです。(こうして、noteに記事を書く中でも、考えさせられる面があります。)
 他方、古典や権威のある人の言葉を引用するなど、「教育」とは、1つの型に嵌めることなのか、考えさせられる部分もありました。あいだをとって、お互いの共通認識やこれまでの文脈を踏まえた上で、議論というものは成り立つのか考えたりもしました。
 私は、「教育学」や「教育の過程論」に詳しくはないのですが、いつか自分が受けてきた「教育」というものについて、考えてみたいと思います。「教育」の目的などを考えるのも面白そうです。(劇中でも、「そんなことのために、学んできたのか!違うんじゃないか。」といったニュアンスのくだりもありました。)

(3)2人の会話を通して

 フランクとリタの会話中に、チェーホフや、アメリカの詩人の名前が出て来たり、韻を踏むことについての用語が出て来たりしました。私は、詩の分野に詳しくないこともあり、チェーホフぐらいしか覚えていなくて残念です!
 どういった作品や作者が劇中に出てくるのか、知ることが出来れば、もっと作品を面白く観ることが出来るように思います。出来れば、一川華さんの新訳で戯曲を読んでみたいのですが、これまでの訳の本が図書館に置いてあるようなので、そちらを借りて読んでみたいと思います。(『オレアナ』も図書館にあるようでした。)
 文学作品について楽しく会話する2人の姿から、私の心も晴れ晴れし、世界が少し広がるような感じがしました。新しく知ることは楽しいです。

(4)最後に

 冒頭の画像は、「お酒」で検索し、海原 なぎ🌕魔女の大釡さんの作品を使用させて頂きました。ありがとうございました!


■公演概要

  • 作:『オレアナ』デヴィッド・マメット、
    『リタの教育』ウィリー・ラッセル

  • 翻訳:一川華

  • 演出:稲葉賀恵

  • 出演:湯川ひな、大石継太

  • 公演日 :2025/1/11(土)~1/19(日)

  • 会場 :東京・シアター風姿花伝


 『オレアナ』の感想記事も添付します(↓)。

 本日は、以上です。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集