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天皇はどこから来たか

天皇陛下の英国ご訪問については、SNSで流れてくるのをチラチラ見ている程度で、

「両陛下は幸せそうで何より」

「やっぱり、二人にとっては青春の地だから、羽根が伸びるんだろうな」

くらいに思っていた。


そしたら、我らがもぎ先生(茂木誠)が、ちょっと血相を変えて怒っている動画も流れてきた。

「天皇はどこから来たか?」という・・。

冒頭、こう言っています。


東京都知事選が公示されまして、立補者のお1人で内海聡さんという方、通称ウツミンですね、が出された動画が、かなり反響を呼んでいます。我那覇真子さんも、ツイートされました。天皇がテーマになっているんです。


天皇はどこから来たか?
(もぎせかチャンネル 2024/06/27)


「我那覇真子さんのツイート」というのは、6月22日のこれのようです。

ワクチン問題で先頭に立って声をあげている素晴らしい活動をしていると思っていたのですが、この動画を見てショックを受けました 国家観がおかしい人はリーダーにはなれない 日本の国体を破壊したい側からするともってこいですね
(我那覇真子 2024/6/22 17:40)


茂木誠さんと我那覇真子さんが「ショックを受けた」、内海さんの問題の動画は、以下のものです。


【天皇ダミー説】実は皇族は乗っ取られていた!|内海聡(ダニエル社長の週刊ニュース 2024/6/5)


天皇家は、弥生時代に大陸から来た侵略者がルーツであって、外国の王様だ。自分は崇めるつもりはない。

左翼、共産主義はもっと悪いから、天皇制は今のままでいいけれど、庶民レベルでもっと議論した方がいい。

ーーというような話ですね。


内海聡さんはnoteでも同趣旨のことを書いています。


キーワードで言えば日本が世界で一番長い王朝というウソ、紀元前660年というウソ、弥生時代というウソ、空白の150年間、讖緯説というウソ、大麻というウソ、そして何よりも天皇家は偉大であるというウソ。
あげればきりがなく、これらは私一人の意見というより王族貴族、農耕と所有、貴族性と奴隷制、宗教と王朝、先住民を滅ぼしてきた世界中の王族貴族たちの歴史をなぞっているにすぎません。


ずいぶん思い切ったことを言う人だな、とは思う。

それに対して、茂木さんらが猛反発している、と。

内海さんも、茂木さんも、また我那覇さんも、「反ワクチン」では同志なのですが、天皇で割れている、という構図らしい。



天皇制を認めるかどうかは、とりあえず別にして、「天皇家は渡来系」というのは、多くの人が信じているのではないでしょうか。

それに対して、茂木さんや、田中英道さんたちは、


天皇家は縄文人ルーツで、古代に、日本から大陸に渡っていた。「渡来系」と言われているのは、古代に大陸に渡った一族が、日本に戻ってきたに過ぎない


という説を、最近唱えています。茂木さんが上の動画で述べているのも、この考え方です。

こっちの方が、ちょっと珍しいですね。


でも、けっこう、こういう考えも広まりつつあるらしい。

たぶん、この内海・茂木論争に関連してのことでしょう、以下のようなポストも流れてきました。


今このカルトは180度逆方向に展開して「天皇制の起源は縄文!縄文人こそ日本人のルーツ!弥生人も実は元々縄文人の派生!漢字も縄文人が作った!」とかみたいな方向へ形が変わって行っている。

(雨音村雲@藤浪永理嘉(´ 。•ω•。) 2024/6/27 14:39)



わたしは、茂木さんや田中英道さんら「縄文派」の議論も、おもしろいから、このnoteで紹介してきました。

でも、現在の政治論として天皇制を論じる場合は(「天皇制」が左翼用語というなら「皇室伝統」でもなんでもいいけれども)、ルーツの話はあまり関係ないと思っています。


わたしは、これまで書いてきたように、天皇制廃止論者です。

だけど、内海さんと同じで、今すぐ廃止しろと言いたいわけではない。憲法論議と同時に、皇室自身も加えた、長い国民的議論が必要でしょう。


その点で、SNSでこんなふうに、天皇について率直に意見を述べ合うようになったのは、素晴らしいことだと思いました。

マスコミは、左翼に乗っ取られているくせに、表面上は皇室を敬っているふりだけをして、本質的な議論をしない。

それよりは、ネットやSNSの方が、ずっと健全で有益です。



天皇のイギリス訪問を見ていると、失礼な言い方だけど、わたしは「『君主』業界の身の寄せ合い」という印象を、拭えなかったですね。

世界の「君主」業界は、いま追い詰められている。

君主制の国が減っているのはもちろん、エリザベス女王にくらべてチャールズ国王は不人気で、イギリス連邦からは離脱の動きもある。


タイの若い世代の「反王室」運動について、このnoteで触れたこともありました。

いくら豪華絢爛の儀式を見せられても、「斜陽業界」の印象は否めない。

なにか寂しく、気の毒な気がします。


茂木さんは、「日本人がまとまるために、天皇は絶対必要だ」と力説するわけだけど、いつ来るかわからない「まとまる」時のために、ずっとカゴの中に飼われる人たちのことも考えてほしい。

(そして、実際には、特定の政治勢力によって利用されてきた)

わたしはマスコミ時代、皇室の方も取材したけれど、当然ながらSPがずっと張り付いている。「公務」以外でも、どこへ行こうと、必ずSPとともに生きる人生です。それは、一生、命を狙われて過ごす、ということです。

気の毒というのはそういうことです。日本史でずっとそういう扱いでした。それで長く続いてきたことに、何の意味があるのか、と思うんですね。

天皇を敬う人たちの気持ちは尊重したいけど、「天皇は、皇室は、こうあるべきだ」という自分たちの勝手なイメージを、ただ生身の人間に押し付けているに過ぎない。


わたしは、ネパールを旅したとき、2001年の「ネパール王族殺害事件」について、いろいろ聞きました。

ネパールの王子が、王宮で国王夫妻(つまり自分の父母)を射殺して、自殺した事件です。

これにより、王室は廃止され、ネパールは共和制になりました。

わたしは、元王族の人の大きな屋敷を外から眺めましたが、現地の人は、「王宮で何があり、何が原因でそんなことが起こったのか、真実は永久にわからないだろう」と言っていました。


先の戦争でのことを含め、日本の皇室についても歴史家はいろいろ言うけれど、元ジャーナリストとして言わせてもらえば、直接自由に取材させてくれないんだから、結局何が起こったかはわからない。2000年間ずっと。

わたしは、そういう「ブラックボックス」みたいな場所を、いまの時代に残すべきではないと思っています。


というわけで、結論としては、わたしは、知らない人だったけど、この内海さんの意見に近いのかもしれない。

でも、皇族の方々も、右翼の方々も、茂木さんも、できる限り幸せでいてほしい。



<参考>


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