世界でいちばん貧しい大統領〜愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ~時に悪は善となり、善は悪となる
2021年、今年ももう残りわずか。
コロナ禍を通じて、環境が変わったせいもあるかもしれない。いろいろと考えることが多かった。
YouTubeやNetflixなどがテレビに変わってさらに文化も多様化したようにも思うし2年前とは全然世界が違って見える。
自分の事だけを考えて不安になる人もいる一方、世界のために活動している人、楽しく今を生きるには?模索している人、将来のお金は?仕事は?地球環境は?・・・
といろいろな人がいることに気づいた。
いや、知っていたけど、その人間性はニュースで、SNSで、さらにあからさまになったように見える。
ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ〜愛称はエル・ぺぺ。
2012年の地球サミットでウルグアイの大統領としてスピーチした言葉が世界から絶賛を受けた。
この映画はエミール・クストリッツァ監督が自ら質問をし、それにムヒカ氏が答えるドキュメンタリー。
ムヒカ氏の言葉はどれも直接的で、裏表がない。時には力強く、しかし落ち着いて冷静で、けれども、人を威圧させることなく、人に感動を与える。
ムヒカ氏は今でこそ温厚そうに見えるが、当時はお金持ちや権威者、軍事政権に関わる人たちを襲撃、誘拐、また、銀行を襲うなどをして、奪ったお金を貧困層へばらまいていた。いわば日本で言う鼠小僧。
刑務所の中には一般死刑囚と政治囚が一緒に収監されており、政治囚は、一般囚に話を説いた。ムヒカ氏はそこでたくさんの事を学んだと言う。
(もし収監されていなければ)「成果主義で短絡的で尊大な人間に、成功に目が眩み、偉そうにふんぞり返っている。そんな風に言われたはずだ」と。
皮肉なことに、
「人は好事や成功よりも苦境や逆境からより多くを学ぶものだ」
辛いことを経験すれば、その分、人の痛み、辛さ、悲しさがより理解できる。
人は苦境から必ず脱出できるし、それは人として大きく成長させるきっかけとなるのではないか?
彼はゲリラ戦、つまり国民解放運動をしている中、社会主義を唱えていた。
出所後、極端な反米左派になるのではと懸念があった。
しかし、結果として中道左派路線を基調とした政治を目指した。
競争者・反対者を包容した。
大統領選の競争者であったダニーロ・アストリ経済財政長官を副大統領に任命した。
ゲリラ時代、13年間監獄に投獄したウルグアイ軍部に報復しなかった。
彼は自分の信念、正義を貫き、自分を裁いた者を許した。
独房で学んだこと、経験をただの学びとして終わらせることなく、行動として実践した。
共和主義というと、資本主義である私たち、日本人たちにとってはどうしても、君主制、独裁政治、というイメージがある。
彼は言った。
「大勢の国民に選ばれたのなら、国民と同じ暮らしをするべきだ。」
大統領は特権層ではない、と言う。
給料の9割を貧困層に費やし、家や農業学校などを建設した。
月1,000ドルで暮らす。(日本円で115,000円ほど)
もしかして日本の大学生への親からの仕送りよりもお金を使っていないかもしれない。
今住んでいる家は都心から離れた古いかわいらしい家だ。
「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
より幸せになることは、ただ権力、地位や欲望、お金に準じることではない。
映画の中のムヒカ氏の言葉、一つ一つに重みがあり、この記事だけでは表せない、そう思った。
もう自分の事ばかり考えて所得や物を増やすよりも、もっと人のためになるようなことをした方が幸せを感じるような気がする。
何かできないのかなあ・・・と考えていたところ、以前から友人である雷太さんとタミーさんとで始めた地球ラジオ。
よく3人の中で話題になるのが、このウルグアイ第40代大統領、ホセ・ムヒカ大統領だ。
もし今苦境に立っているのならば、それは自分を大きく成長させる何かだと、希望が生まれる。
そして今現状に満足しているのならば、人のために何かをせずにはいられなくなる、と、この映画を観て思う。
来年も、自分自身学びながらになるけれど、誰かのために何かができるなら本望だ。そんな年に、チャレンジしていこう。
つづく