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時をかけるゆとり~「私の車が爆破します!」~ #読書感想

朝井リョウが好きな友人におすすめされて読んだらあっという間に読み終わっていた。

私は朝井リョウの作品を今まで読んだことがなかった。それを友人に話したら「時をかけるゆとり」で朝井リョウという人間を知った上で朝井リョウの書く作品を読むと「こんな人柄の人があんな作品を描くのか」と感動しファンになる。と言っていた。

「時をかけるゆとり」を読み終わった私の手元にはすでに「何者」が置かれている。とても楽しみ。

概要

就職活動生の群像『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者。初エッセイ集では天与の観察眼を縦横無尽に駆使し、状況の日々、バイト、夏休み、就活そして社会人生活について綴る。「ゆとり世代」は「ゆとり世代」を見た、切なさとおかしみが炸裂する23編。『学生自体にやらなくてもいい20のこと』改題。 解説・光原百合

時をかけるゆとり 内容紹介(裏表紙より)

感想

冒頭でも綴られた文章でなんとなく察してる人もいると思う。

めちゃくちゃ面白かった。

芸人ラジオのエピソードトークを聴いてるような面白さがあった。
もっと具体的に言うなら「ハライチのターン」というラジオの岩井の「淡々としたトーク」と「絶妙に共感できる皮肉った表現」が最高だった。

そもそも誰かのエッセイ自体を読むこと自体初めてだったが

「誰かの人生の一部を追体験できる」ような感覚になれるのがエッセイだとしたら他の人のエッセイも今後読んでみたいと思った。

面白かった。

好き-母がいろいろ間違う

その日は雨が降っていた。しっとりと雨に濡れた車が田舎道を走る。車体の中でフル回転しているエンジンは熱をもつため、雨のしずくに濡れるとゆげのようなものを立ち上がらせる。
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母の視線がその車体から立ち上がる湯気を捉えた。
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母は車を止めた。
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母はシートベルトを外した慌てた様子で、バタンと車のドアを開け外に飛び出す。
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そして後ろに止まっている車の窓を叩いた。見知らぬ運転手が顔を出す。
母はそこで、正義感溢れる勇敢な行動に出た。
「私の車が爆破します!」

p.134~135より

ほんとに好き。このエピソードがめちゃくちゃ好き。

とても作中では「間違ってる部分」が描かれていたが、きっと魅力的なお母様なのだと思った。

これを読んでいたときは、外で読んでいたんだけど笑いを堪えるのに必死だった。マスクをしてなかったから完全に痛い人になっていたと思う。

朝井リョウのエッセイで朝井リョウの母親についても少し知れることができた。

多分この人の伝え方とか表現方法が好きなんだと思う。

他にも「旅行を失敗する」「地獄の500キロバイク」の話もおもしろかったのでまた、本で笑いたくなったときに読み直すと思う。


手元の「何者」を読むのも楽しみになった。

ではまた



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