世界観のつくりかた
・意味をつくる、物語をつくる、未来をつくる
・「役に立つ」より「意味がある」
・世界観のつくりかた
これらの内容は、「世界観を作る」に書かれている内容です。共著者の山口周さんは、電通、コンサル会社のキャリアがあり、「ニュータイプの時代」や「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」など、昨今のあーとブームの発信源。水野学さんは、「くまもん」や「相鉄グループ」など多くのブランド・デザインを手がけられています。
本書は、両名の対談形式で世界観について「意味をつくる」「物語をつくる」「未来をつくる」で語られています。新規事業や新サービスを開発する人に学びのある内容があります。
「役に立つ」より「意味がある」
山口周さんは、「ニュータイプの時代」などでも書かれていましたが、現代は、正解が過剰共有されており、問題が希少化しているとあります。ここでいう「正解」とは、「役に立つ」ことです。たとえば、食品を長く保存するための冷蔵庫や、早く移動するための自動車、空いた時間を消費するためのテレビやスマホです。これらは、安くて、良いものが必要とされ提供されるなかで、いつしか過剰供給状態となり、「問題」のほうが希少状態になってしまいました。
ここでいう問題は、「役に立たない」ことです。たとえば、マキが必要となるストーブや、コーヒーを挽くためのコーヒーミル、クラシックカーなどなど、現代ではもっと便利な商品があるにも関わらず、あえて、「問題」のある不便な商品を利用しています。
なぜ、不便な商品を利用するようになったのでしょうか。これは、「不便」なものではなく、別の「価値」を提供している商品なのです。たとえば、マキストーブは、その手間隙をかけることが「ゆったりとした時間」や「火のゆらぎによる癒やし」を感じれたりします。そして、その時間や空間を過ごしているということに価値があるのではないでしょうか。
ストーブの本来の価値は、部屋を温めることです。「役に立つ」という過去の評価軸で考えると、「どれくらいの温度にできるか」「どれくらい早く温まるか」「どれくらい安いか」などになるはずです。しかし、そこに新しい「意味」を見つけた人がどこかにします。
誰かはわかりませんが、マキストーブは、電気ストーブにとって変わられてしまう。と考えられていたときに、いや、これは「電気ストーブ」とは比べるものではない。「火」を使うことで、ゆったりとした時間を手に入れているんだ。これは癒やしになるんだ!だから、炎が見えるようなデザインのストーブにするべきだ。とかなんとか。
「古いものや、不便なものが良い」というものではありません。この商品を使うことで、「心が豊かになる」という意味をどうやってつけるかが大切になると感じました。
世界観のつくりかた
世界観のあるサービス例として、スープストックトーキョーがあげられています。スープストックトーキョーは、代表の遠山氏が三菱商事の社内ベンチャーとしてスタートしましたが、当時の企画書は、「スープのある一日」という22ページの物語になっています。
企画書には、一般的な企画書にあるようなマーケティングの話しではなく、「女性がスープを飲んでホッとする」という物語になっていたそうです。
「スープのある一日」から感じられるのは、忙しく仕事をしている女性、そんなときに、ヘルシーでありながら、お腹にちゃんとたまるものを食べている様子がイメージできる気がします。
世界観とは、「人を設定し、そこから人が立体的にイメージできるようなストーリー」だと感じました。人が立体的にイメージをするには、どういう状況にいて、どういう感情をもっているか、どういうアイテムをもっているかということが想像できる部分までつめている必要があります。
本書のなかで、とても良い一節があったので、下記に引用します。
これは、「月見」ということからさらにどういう人なのかがイメージができ、そこからさらにイメージを深めることができるのではないでしょうか。
月見はただ月を見るだけじゃない。水面に映る月を眺め、杯に映る月も愛でて、みんなでお酒を飲むような遊びをやっていた人たちが日本人です。
引用:水野 学,山口 周. 世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1485-1486). Kindle 版.
まとめ
山口 周さんと、水野 学さんのやりとりを通じて、ロジカルにアートやクリエイティブについて理解が深まります。世界観という抽象的な内容を取り扱っていますが、多くの事例ややりとりから、具体的なイメージがわくことができました。
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