カスタマーサクセスは概念 - LayerXのCS全体像 -
こんにちは。LayerXのSaaS事業部でCSリードを務めているかじ(@kajicrypto)です。
LayerXのカスタマーサクセスについて、断片的な発信はしてきたものの、興味をお持ちの方に全体像を理解いただける資料がなかったためここに公開します。
長編になりましたので目次を見て知りたいところからお読みください。
なお、LayerXについてならびにSaaS事業全般については記事の最後にいくつかの資料リンクを設置しておきますのでご参照ください。
カスタマーサクセスの定義
Q. LayerXにおいてカスタマーサクセスとは何ですか?
こう聞かれたら、「自社のサービスが顧客に提供するビジョンの継続実現に責任を持つ役割」と答えています。
プロダクトには必ずビジョンがあるはずです。顧客にどんな価値を提供するのか定義されています。その価値を継続的に提供し続けることにカスタマーサクセスはコミットします。
特にBtoB SaaSにおいてはオンボーディング後も例外オペレーションが発生したり、担当者が変わったり、業務と合わなくなってきたりします。
プロダクトが合わないと感じられたとき、顧客が課題があった状態に無意識に逆戻りする慣性が働くことがあります。その顧客の慣性をビジョンに向け続ける仕事とも言えます。
こういった抽象的な表現にたどり着いたのは、以下のみではないと明確に意識しているからです。
ミッション
Q. じゃあ、そのプロダクトのビジョンって何ですか?CSのミッションは?
SaaS事業のビジョンと、そこから展開したCSのミッションをご紹介します。
「圧倒的に使いやすいプロダクトを届け、
ワクワクする働き方を提供し続ける。」
単純に「提供し続ける」をつけただけですが、でも、シンプルにこういうことだと思っています。(仮)として議事録に書いたらメンバーからも「うん、これだよね」となりそのまま公式化しました。
スタートアップにおいてミッションの重要性は強調しすぎることはありません。
毎週月曜日のCS定例MTGはミッション/Qごとの重点テーマの確認から始まります。
業務範囲と内容
Q. 業務範囲は?具体的にどんなを仕事をするの?
業務範囲を定義とミッションから落とすと、「ビジョンの継続実現」に必要なことはなんでもやろうということになりました。
図の右真ん中、Operation-Successと書かれた以下のようなSaaS CSの定番業務は、”時間的には”多くを占めます。
一方、セールス、プロダクトチームの仕事にも手を伸ばし、広くビジョンの継続実現に資する業務を行います。
一番重要な点は、CS定番業務に加えて"時間があれば他のこともします!"ではなく、それらを明確な業務範囲として最初から時間を割り当てていることです。
図のProduct-SuccessとQuality-Successを例にご紹介します。
Q. Product-Successって何してるの?
顧客要望の共有はどのSaaS企業でも行っていることと思いますが、LayerXではCSはプロダクトマネジメントの一面を担う役割として強く取り組んでいます。
プロダクトチームとの顧客要望棚卸しMTG、スプリント計画MTG、仕様策定MTG、スプリントレビューに基本メンバーとして定例参加し、顧客の声や要望の背景・温度感などを伝え、一緒にプロダクトを作っています。
顧客要望に応じて開発が進んでいる機能を、「こんな感じで実装進めていますがどうですか?」と顧客にデモを行い仕様壁打ちなどもさせて頂きます。
また、CSメンバーが発起したもので顧客視点でUI/UXの改善案を検討する「やさしさプロジェクト」も定例MTGを設け、エンジニアに入ってもらっています。
顧客が増えると目の前のハイタッチMTGで予定が埋まりがちです。一方、長期的にビジョンを提供し続ける目線では、頂いた要望をSaaSとして汎用的な機能に落とし込み、プロダクトを推進することも等しく重要です。
これらは"時間が余ったらやる”ことではなく、ビジョンの継続実現のため必要な活動として定例MTGとして時間を確保しています。
プロダクトへの関わりについては好評を頂いた以下noteにも記載しております。
Q. Quality-Successって何してるの?
CSはリリース前の新機能の仕様確認やテストに積極的に関与しています。
自分たちが顧客から頂いた要望が開発されたときに、”バグがなく正しく動くかどうか”というQAエンジニア的視点とは別に、”本当に顧客の課題を解決する機能になっているか”という視点でCSがテストすることでプロダクトはより良いものになります。
またそれを通して新機能を詳細に把握し、そのまま効率的にリリースノートを書いたり、新機能ウェビナーを行ったりすることができ一石二鳥どころではありません。
こちらについてもnoteに簡単に記載しております。
こういった形でビジョンの継続実現に資することは+αとしてではなく基本的な業務範囲として時間を確保して推進しています。
なお、Market-SuccesssとTrial-Successについてはベストエフォートで取り組んでいますが、リソース不足でまだここに書けるほどの取り組みはできていません。。(推進してくれる人を大募集中です!)
業務範囲が広い2つの理由
ここまで意識的に業務範囲を広くしているのには2つの理由があります。
1. 理想を理想で終わらせないために
上記の業務範囲について、ここ2ヶ月で30名程の方とカジュアル面談で話をさせて頂いたところ、8割以上の方から「理想形ですね」「(CSとは)まさにこれですね」などと多くの共感を頂けました。
しかし、それだけ”理想”として共感を頂けるということは、そうではないCS現場も多くあるからではないかと思います。以下のような話を聞いたことがあります。
会社それぞれ戦略や組織設計がありますので、これに良し悪しはありません。その上で、LayerXでは強い意思を持って、先に述べた業務範囲を現実のものとして定義し維持していきます。
そのために社内でも採用候補者の方にもこの話を必ず最初にさせて頂き、カレンダーは事前確保、この範囲を正として必要人数を倍増させた採用計画を役員に提出し、合意の上採用を進めております。
2. 責任感あるチームであり続けるために
業務範囲を広くとっているもう一つの理由は、常に全体最適を考えられるチームでありたいと思うからです。
例えばセールスとの関係について、CSはトライアルには一切触れずに契約後に受け取るものと定義されるとこんな声が出てくるかもしれません。
例えばプロダクトチームとの関係について、CSはプロダクト開発には触れずにひたすら顧客対応で成果を出すものと定義されると・・
”せい”が出てきます。
LayerXではセールスプロセスにもプロダクト開発にも入れる柔軟性を持つことで、CS定番業務のみにとらわれて個別最適に陥ることを防いでいます。このあたりはKPI設計なども関連しています。
これは他チームも同様で、エンジニアがCS定例MTGや顧客MTGに参加しますし、「全員プロダクト開発」「全員カスタマーサクセス」といった言葉が社内で使われます。
気になったところは自らで変えることができる環境にすることで、全体最適を考えながら責任感を持って業務を続けることができます。
チーム体制
Q. おいおい、理想とはいえそんなん全部はできないしめちゃめちゃ忙しくないですか?何人でやってるんですか?労働環境大丈夫ですか?
ここまで読んで気になっている人がいると思います。実際にカジュアル面談をする中でよく聞かれましたので(笑)、体制についてお伝えします。
業務の分担について
チーム全体の業務範囲は上述の通りですが、当然全員がすべての領域を持てるわけではありません。
それぞれ経験があるところや得意なところを中心に、メンバーみなでパズルのピースを埋めるように分担しています。採用においても常にどうパズルを埋めてどこの層が厚くなるかを意識しています。
2021年11月時点のチーム人数
現状、直近入社するメンバー含め合計4名分の稼働で対応しています。
※ 2021/11/15追記 5人目の入社が決まりました。
※ 2022/1/1追記 11月から2週間に1名入り、2022/1/1現在6名チームとなりました。更に4名の入社予定者がいます。
事業全体で高い目標を掲げ、待ってくれない市場の中でフルスロットルで動き、ありがたいことに順調に顧客が増えています。正直、暇ではありません。
直近でプロダクトも増えますし、顧客のためになることでやりたいことはたくさんたくさんあります。
一方、毎日残業数時間とか、土日にひたすらタスクを解消して疲弊という状況には陥っていません。新メンバーからは「slackが定時を超えたら思ったより全然動かなかった」という言葉も頂きました。
代表・福島のnoteにあるような柔軟な働き方もできているので、通院や家族対応なども罪悪感を持つことなくできています。
これらはLayerXでよく言われる「長時間より長期間」働き続けられるような働き方をしようという文化によるものです。BtoB SaaSというビジネスは長い戦いとなることが見えているのでこの言葉が生まれました。
自動化できることは自動化する、初期設定チェックガイドを顧客に送ることでオンボーディングを短期間に縮めたり、ある種どう考えてもできないことは「長期間」を優先して割り切って先送りしたり、いろいろな取り組みによるものと思います。
Q. どんな人がいるの?
こちらもよく頂く質問です。CS専属の正社員である3名についてご紹介します。
kassyy(@kashiwa_mochi)
LayerXが担う領域と同じバックオフィスSaaSのカスタマーサクセスを10年間(!)経験した後、合流してきてくれました。CSのどんな活動においても豊富な経験と泥臭い行動で引っ張っていってくれています!
実は、このnoteのタイトルになっている「カスタマーサクセスは概念」という言葉は彼のものです。入社エントリをこちらからお読み頂けます!
Kさん(仮称)
直近入社してきてくれる新メンバーです!SaaSのCSを5年間経験した後、合流してきてくれます。アドベントカレンダーによると11/15に入社エントリを書いてくれるようですのでお楽しみにしてください!
かじ
会社に必要なことをなんでもやる遊撃隊員です。教育企業営業MGR→エンジニア転向→スタートアップ役員→複数社の事業開発→LayerX CS Leadといった経歴です。
過去のnoteやTwitter(@kajicrypto)、また以下のPodcastを聞いて頂ければと思います。
2022年4月時点のチーム人数(採用計画)
4月時点では10名のチームにしていきます。毎月1名採用させて頂く流れです。
※ 2022/1/1追記 入社予定者を含め、4月時点10名を達成見込です。2023/04には20名を予定しており、まだまだ採用活動は続けております!
業務範囲が広くチームには多様性を持たせたいと思っています。CS未経験者も一緒に入って活躍できる場を作っていきます。
既存プロダクトにおいては、より多くの顧客に「ワクワクする働き方を」提供できるように体制を強化します。もうじき提供開始する3つ目のプロダクト「LayerX 電子帳簿保存」については新たなCS体制整備中です。
Q. どんなチームにしていきますか?
あなたがチームに入るとしたら、どんなチームにしたいですか?是非、LayerXに入ってそれをそのまま実現してください!
私のこだわりをひとつ挙げるとしたら、「徳を体現したチームでありたい」と強く思っています。
LayerXには5つの行動指針があります。その5つ目である「徳」は、まさに顧客に長期的な価値提供を続けるカスタマーサクセスが体現すべきものだと思っています。
他の4つについてや詳細は以下noteをご覧ください。
採用について - 全力募集中です!!
理想の業務範囲を保ちつつ柔軟に働けているのであれば、自分が入る余地がないのでは、活躍できる場所はないのではないか、と謙遜しながら言ってくださる方がいます。
いやいやいやいや、お恥ずかしながら本当に課題だらけで、全力で募集中です・・!!ここまでかっこよく書きすぎました。
・・・とにかく「圧倒的に使いやすいプロダクトを届け、ワクワクする働き方を提供し続ける」ためにはまだまだやりたいこと、顧客に届けたいことがあるんです。
以下に当てはまる方、是非お話しませんか?CS未経験者も大歓迎です。
SalesからCSへの転向、PMからプロダクト寄りのCSへの転向、QAエンジニアからCSエンジニアへの転向、CSから入ってPdMを目指すなど様々なキャリアの方を受け入れられますし、その後のキャリアパスを作れる可能性があります。
図にあるようにXxx-Successそれぞれにポジションを作りますし、各ポジションもプロダクト別に大きくなっていくと思います。やりたいこと、やれます。
少しでも興味をお持ち頂けましたら是非気軽に応募くださいませ!
応募はちょっとまだハードルが高いという方はMeetyでカジュアル面談お待ちしています。気軽にみなさんと30min Zoomをセットさせて頂いています。
https://meety.net/matches/smtscmsKWsjR
最後までお読み頂きありがとうございました!
リンク集
株式会社LayerXについてならびにカスタマーサクセスチームが所属するSaaS事業全般については以下の資料をご参照ください。
① 2021年11月1日公開 LayerX Company Deck
② 代表・福島のnote
③ LayerX SaaS事業の事業開発部の内部を徹底公開!
以上