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【新しい家事文化を作る】タスカジ代表 和田幸子さんに取材

100人居れば、100通りの家事の形がある。
そんな家事を、世代、性別、職業を超えてインタビューし色々な視点での家事を考えていく家事恋インタビュー。

“伝説の家政婦”などメディアで活躍するハウスキーパーを輩出していることでも有名な、家事代行マッチングサービス「タスカジ」。その代表取締役である和田幸子さんに貴重なお話を伺ってきました。ITと家事をかけ合わせ、共働き家庭の多い現代の家族に寄り添うサービスを生み出した和田さんのお話は、未熟な私にとって、勉強になるものばかりでした。

タスカジ和田2

和田幸子さん:1975年生まれ、株式会社タスカジ 代表取締役。一般社団法人シェアリングエコノミー協会幹事。横浜国立大学経営学部卒業後、富士通に入社しシステムエンジニア、新規事業開発などを担当。フルタイムワーキングマザーとしての課題認識に基づき、2013年に起業。家事代行マッチングサービス『タスカジ』を運営。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。現在は、地方自治体や企業などとの新しい取り組みや、教育機関をはじめとした講演活動など、活動の幅を広げ、「核家族から拡大家族へ」を合言葉に日々奮闘中。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018「働き方改革サポート賞」受賞。

家事をラブレターにするのか。生きるためにするのか。

日本では忙しくても、苦に感じる状況でもがんばって家事をこなしている方が多くいます。なぜ、そのような状況が生まれると思いますか?

「自分がやるべき仕事」だと無意識に認識していることで、このような状況になると思います。バックグラウンドなどによって変わりますが、「家事は母親の仕事、女性の仕事であり、家事をしないと女性ではない」と定義している人にとってはそう思うのかもしれません。また、パートナーから家事を期待されていることも多いと思います。

たしかに、家事は女性の仕事だと思っていなくとも、パートナーからの期待を無意識に感じ取っている人も少なくないかもしれないですね。

「好きな男性の心を掴むなら胃袋を掴め」という言葉もありますよね(笑)。
またパートナーだけでなく、子どもがいる方にとっては、愛情の伝達手段として家事を利用している方もいるのではないでしょうか。

和田さん自身は、家事に対してどうお考えですか?

今お話した理由があり得るのかな?と思うのは、自分自身、そう感じたエピソードがあるからなんです。
結婚した次の日の朝。起床した夫に「朝ご飯何?」と聞かれた時、「何も考えていなかった!」と一瞬焦ったんですね。しかし、冷静に考えてみると朝ご飯を作る担当でもない自分は、そんなに慌てる必要がありません。夫に、「せっかくコンビニの近くに家を借りたので、買ってきたら?」と伝えると納得してくれました。
このように私自身も「やらなくては!」と一瞬感じてしまったのは、論理的に私の仕事だと思っているのではなく、きっと感覚的に身体の中にしみ込んでいたからなんだと思います。
家事が苦手な方だった私は、もともと頑張ろうと思っていなかったのにも関わらず、このような感覚に陥ってしまったので、ある意味新鮮でした。家事が得意な方は、私以上に、よりそう感じてしまう可能性があるように感じました。

和田さんの家事に対する感覚はどこで生まれたと思いますか?

子どもの頃の経験が原体験になっていると思います。専業主婦だった私の母は、料理や家事を、親から子への愛情表現の手段として使っていませんでした。料理をするにしても、「あなたのために美味しいものを作ったよ」と言われた記憶はなく、淡々と作っていたように感じます。
何を大事にするか考え方は多種多様ですので、それが良いというわけでもありませんが、私自身の実体験として、母が家事を愛情表現する方法として使っていなかったがゆえに、私も家事に対してそんなに思い入れはなかったのだと思います。
また、母の作るケーキやソープバスケットを見よう見まねで挑戦してみた時、なかなか没頭できなかった経験も大きいですね。むしろロボットなどの機械系に夢中になった私は、
子どもながらに、母のような主婦になれないのではないかというある種の挫折感とともに、自分の目指す道は違うと感じました。

家事以外での愛情表現というものは、どんな時に感じましたか?

私は、両親から家事以外のところで愛情をたくさん注いでもらったと思っています。例えば、子どもの頃は、あまりお小遣いをもらえず、「欲しいものは自分で稼いだ時に買いなさい」と自分の力で稼ぐことの大切さを様々な形で教えてもらった記憶があります。
今思い返してみても、そうした自立心を意識した教育が、両親から私への愛情だったように感じています。


和田さん自身もお母様のような子育てをしているのですか?

そうですね。私自身も、親ができることは、子どもの自立をサポートすることだと思っています。行きたい道や幸せになる方法を自分で見つける子どもの邪魔をせず、足りなかったら手を差し伸べる。大人になっていく成長過程で、足りないものをサポートするスタンスで息子と向き合っています。

和田さんの家事、そして課題と感じること

和田さんは、タスカジを自宅で利用されていますか?

週1回の掃除と、月に1、2回程度の料理をタスカジさん(タスカジに登録するハウスキーパー)に頼んでいます。

それ以外の家事は、ご家族で分担されているのですか?

そうですね。掃除は、毎週来て頂いているのでほとんどやることはなく、料理は夫と分担して作っています。

家事が苦になることはありませんか?

タスカジさんにサポートして頂けるのは、料理・洗濯などの「名前のある家事」。一方で、ストックしている水の発注や、日々の生鮮食品の購入などといった「名もなき家事」は沢山あります。そうした「名もなき家事」をいかに効率良く回していけるかが、私の家の今の課題だと認識しています。

タスカジさんに頼んでいらっしゃる家事もあるということですが、お子さんが家事をする機会というのはありますか?

それは今課題だと思っているところです。
息子は小学生の頃からうどんやおにぎりは作れるのですが、掃除が上手く出来ないように思います。機会を見て、整理整頓のノウハウや定期的に掃除をする方法を教えないといけないなと日々感じています。

お子さんの部屋もタスカジさんにお掃除を頼んでいるのでしょうか?

床に物が散らかっていると、掃除がスムーズに進みません。そのため、掃除をしてもらうためにはある程度片付いた状態であってほしいのですが、散らかっているんです。まずは掃除をしてもらうための仕組み作りが必要なこと、また自分で掃除をやってほしいという理由もあり、家事代行での掃除の対象外にしていますね。

やって幸せになれることはなにか

和田さんのインタビュー記事や、タスカジのホームページを拝見させて頂きましたが、家庭と仕事のバランスをとられているように感じました。どのように工夫されているのですか?

仕事は楽しいですが、家族との時間や自分の時間は決して減らさないように心がけています。会社を運営する観点でも、残業はなるべくしないようにしたいと思っています。
家庭と仕事のバランスは永遠の悩みでもありますが、ここまでなら妥協できるといった妥協ラインや優先度を作り、全体のバランスを取ろうと意識しています。

家事も優先度や妥協ラインを作ることが重要なんですね。

家事を「自分がやらなくてはいけない仕事」ではなく、「やりたいこと」「やって幸せになれること」を選んで優先度をつけていくと、おのずと答えは出てくるのではないでしょうか。

これからの日本の家事文化をどうしていきたいと考えられていますか?

コロナによって働き方や家族と過ごす時間を見直し始めている今は、ライフスタイルの大きな転換点だと感じています。
やらないといけない仕事と、やりたい仕事を分離し、やらなければいけない場合は、自動化や、他人のサポートを得て実施する。自動化して出来た時間は、自分がより豊かになるための時間に使える世界にしたいと思っています。
タスカジは、家の中の効率化が進む流れの中で、「名前がある家事」だけでなく「名もなき家事」まで範囲を広げて、皆さんがより豊かな生活を送れる環境をご提供していきたいと考えています。

<インタビューを終えて>
家事をオールマイティにこなそうとする人は、「自分がやるべき仕事」と考え、かつそれを愛情表現に使っているケースもあるのではないかという視点は、今までの自分になかった。
毎日、生活している上で親からはたくさんの愛を注がれる。畳まれた洗濯から、勉強から、生きる上でのマナーまで数えきれない。愛情は決して家事だけではなく、和田さんが仰っていたように、自立をサポートする側面にも存在する。
もし、「家事を愛情表現に使わないといけない。自分のやるべき仕事だ。」と思い、苦になっているのであれば、タスカジのようなサービスを利用することは1つのアイデアだと感じた。

貴重な取材をありがとうございました!




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家事に恋する大学生
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