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生だこジェノベーゼ風

私は感覚でしか料理ができない。
何を何gとか測るのが苦手。
閃きと勘と舌の記憶頼り。つまりは適当。

生だこを手にし、以前どこかのお店で頂いた料理の思い出せる要素を繋ぎ合わせて真似をした。

たしか吸盤も入っていたなあ。

いつも吸盤は唐揚げにするが、鮮度がよいので今日は私も入れよう。

吸盤には雑菌が溜まりやすいので爪楊枝で念入りに掃除をし塩で揉みよく洗い流す。

そう言えば両親の郷里では、獲ってきたたこを湯掻く際、緑茶の茶葉をひとつまみ入れていたなあ。

そんなことも思い出しながらしばらく、生だことのスキンシップは続く。

パルメザンの在庫が少なかったのでなんちゃってジェノベーゼソース風だが、来客に召し上がって頂くわけではないのでそこも適当。

料理には性格が映し出される。

母の料理は母の書く文字がそうだったように緻密で美しかった。

一緒にお台所に立つと私の様子を見ながら「大胆でいらっしゃる〜!」と笑っていた。

今日のジェノベーゼも適当なジェノベーゼ風である。しかし、生だこの吸盤は時間と手間を惜しまず綺麗に掃除をするし、オリーブを切らしていたら今回も唐揚げにしていただろう。

適当とこだわり。

人間の性格って、ひと言では言い表せないからおもしろい。

白ワイン開けましょうかね。

イクラは手作らず

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