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【もっと、あなたらしい朗読へ】の気持ち。

こんにちは!
FM八ヶ岳という、山梨県小淵沢にあるコミュニティFMラジオにて、[湧き水のほとり]という番組のパーソナリティをしております、開運小天と申します。

今回お話ししたいのは、『世の中にもっと、[人間のイントネーション]による朗読音源を蔓延させたい』という私の想いです。

爆発的に増幅しているAI音声を使用した動画を日々、目にし、耳にするたびに、これを毎日何時間も聞き続けている乳児・幼児•年少者が将来、AI音声と同じイントネーションで物語を読み始めるだろうということは、想像に難くありません。

それは、誠に残念ではありますが、時代の流れとしてもう止めることの出来ない事象の一つだと私は捉えています。

例えば、万葉集が書かれた当時、万葉集を書いた者がそれを音読した場合、どんなイントネーションで語っていたのか。
2024年の私たちが読み上げるイントネーションと同じでないことだけは確かです。

イントネーションは時代によって変わるものである。
これは揺るぎない事実だと思います。

現代の日本人が、自分の産まれた土地の訛りだけでなく、【標準語】も話せるのは、テレビの普及や義務教育にて全国でほぼ共通の教科書を使用することで成し遂げられているものだと思うのですが、
これからはそれに加え、インターネットや動画から聞こえて来るAI音声のイントネーションも加わるだろうと思います。

さて、
私は高校生のときに放送部という部活に所属して、そこでアナウンスと朗読を顧問の先生から学びました。
(しっかり覚えているわけではなく、かなり自己流に近くなっています。)
その頃、アナウンスの練習の時にお手本にするのはNHKのアナウンサーの語り口でした。それが見本でした。
アナウンス辞典等でイントネーションを確認し、原稿をアナウンサーのように聴きやすい口調で読むのです。
アナウンスは、それが大切だと思います。

しかし、かたや朗読に関しては、
そのアナウンスで習った標準的な聴きやすい読みがベストだとは、私にはどうも思えないのです。

聞き手に、
◎物語の内容が良くわかるように
ハッキリした口調で話すのを心掛けるのは良いと思いますが、

◎聞き手の想像を邪魔しない読み
◎アナウンサーのような読み
は、必ずしも必須ではない

というのが私の主張です。

ご縁のあった、自分と出逢えた、自分の好みの音声が1番良いのであって、そこに正解も不正解もありません。
眠る前にお父さんやお母さんが枕元で読んでくれたお話が1番なのです。小さいお子さんがいるご家庭ではぜひ、たとえ読むのが下手でも、お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃんの声で、子供さんに本を読んであげてください。
一般的な「読むのが上手」な人に比べれば下手だとしても、その人の喋り方、その人の声で聞くお話を、人間は求め、安心するのです。
だから、下手で良いのです。

そして上記の傾向にあるため、
幼い頃からAI(エーアイ)の音声に慣れた人間は、AIの音声が好きになることは間違いないです。
それが時代の流れなのだから仕方ないですが、
せめてその隙間に、
人間の語っている口調、イントネーション、人間ならではの読みを残して、聞いてもらえる環境だけは作っておきたい。

私も、お金を稼ぎたいとか、労力に見合った報酬が欲しいと思う日々です。
そして、無料で公開されているもののせいで質の高いものが聴かれなくなってしまう憂いについてもわからないわけではありません。
しかし、この音声配信業界において、お金を払わなければ聞けないサービスばかりになると、お金のない人には必要なサービスの選択がなくなることだけは避けたい。

著作権で守られるがゆえに、本当に拡散した方が良いものが拡散できず、営利を貪る質の悪いものが目先の面白さゆえにどんどん拡散されてゆくのはいかがなものかと思っているわけです。

【人間の声を遺したい】
私はなるべく、悲しい内容は悲しく、楽しい内容は楽しく読みたいと思っています。
それを、「聞いている人の理解を邪魔する」と仰る方もいるかもしれません。それも一理あるでしょう。
しかし私が目指している朗読は、《人情味》にんじょうみの伝染です。
大事なのは《人情》の部分だと思っています。
AIの読み上げる朗読も、いつか人情味の部分もちゃんと味わい深く読んでくれるものが出てくるかもしれません。
それまでは、人間の声で作品を残す活動をコツコツやってゆくことが大切だと思っています。

アナウンサーのように読まなくてもいい。
方言が混ざってもいい。
漢字を間違えてもいい。
人間が読む、もっと、あなたらしい朗読を世に遺していきましょう。

どんどん朗読やってください。私もがんばります。


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開運小天@文学作品の音声化
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