久しぶりの筒井康隆(大阪285日目)
ぼくの読書の原体験は、小学校4〜5年生の頃に学校の図書館にあったアルセーヌ・ルパンシリーズ/南洋一郎(ポプラ社)だ。
「怪盗紳士」「奇巌城」「813の謎」などを貪るように読んだ。事件が起き、謎が提示され、ハラハラドキドキして、意外な「解」で一件落着する。今でも、発作的に推理小説が読みたくなるのは、この頃の経験が大きいのだと思う。
6年生になる春、親の転勤で西米良村の山奥から西都市の街中に引っ越した。本屋のない村から本屋のある街へ。読書の選択肢がグッと広がった。
自分の小遣いで初めて買った本は、たぶん「農協月へ行く/筒井康隆」だ。記憶が曖昧なのでひょっとしたら「犬神家の一族/横溝正史」だったのかもしれない。まあ、どっちにせよ街場に出てきた小学校6年生は、筒井・横溝にどっぷりハマっていた。
横溝正史はある意味ルパンシリーズからの発展形的な選択だったが、筒井康隆は全く新しい読書体験の入口だった。
数ある本の中から「農協月へ行く」を選んだのは、そのタイトルの奇抜さだった。だって農協が月へ行くんだぜw 小学6年生の自分が喜ぶに決まっている。本屋の棚でそこだけ光って見えてた。そこから中学校の1年生にかけて、当時、角川文庫で出ていた筒井作品は全部読んだ。
SF、メタ、ナンセンス、ギャグ、エログロ。エンタメの基礎的な素養は筒井康隆から学んだのだと思う。
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その後も、主なものは読み続けた筒井作品だが、読み漏らしている作品もそこそこあって、「敵」もそのひとつ。来週(1/17)に映画が公開されるので慌てて読み始めている(※原作が先派)
監督は、「桐島、部活やめるってよ」「紙の月」の吉田大八。
主演は、長塚京三。そして瀧内公美に河合優実に黒沢あすか!
好きな監督で好きな役者しか出てない。大好きに決まっている。
そして河合優実!(2回目)
どう映画化されるかを意識しつつ、今、原作小説の1/3程度まで読んできたところだけど、急に「狂気」のスイッチが入る筒井文学の要素がそこかしこに散りばめられていて、とてもスリリング。先を読むのが怖いくらい。
どうか河合優実(の役)がひどいことされませんように(いや、されますように)。