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文学フリマで買った本①

まだまだこちらは梅雨空でありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は、休みの日の合間を縫って、なるべく積ん読を消化していってるのですが、読み終えた満足感でようやくこのあいだ積ん読を1冊片付けたというのに、書店で4冊新しい本を購入してしまいました。

新潮文庫で、毎年の夏にでてるじゃないですか。特別な装丁の本が。
星新一先生は絶対手に入れてるんですけど、この度大好きなドイツ文学者エーリヒ・ケストナー先生の本もあったので、思わず手に取ってしまって……!
それからTwitterで話題になってた、『百年の孤独』やウィキ三大文学の1冊『死の貝』も買ってしまって……!

あとえそれらを購入した丸善で、文庫本1冊入るバッグあったんですけど、あれも欲しかったな。買わなかったのですが。次行ったときもあると良いな……。

さてさて、今回はタイトルにある通り。
文フリで買った本の感想を述べていきますよ〜っと。
読み終えたときの勢いで書いているので、語尾がめちゃくちゃです、あしからず。


『理不尽な選択』

『復讐アプリ』

初っぱなからあきらかにヤバそうなものがでてきた~という印象でした。中学生って、自分も経験あるからわかるけど。結構ちょっとしたことで関係性がこじれたりするから面倒。大きくなったらそれも「思い出」の一部になるんだけどさ。

読み進めてくうちに、これは奈津葉、間違いなく復讐アプリ使う展開来る!? え、だとしたら誰? 部活の先輩、仲良くしてたはずの友だち、あるいはお兄ちゃん!? 誰選んでも怖いな~と思いながら、読み進めていく手は止まりません。結果、私は「裏」を選びました。

〜裏〜

もしも自分が主人公の立場だったら?と考えながら選びました。正直、こっちのルートを選んで良かった……。お兄ちゃんとの関係がぎくしゃくしてるから、家族に復讐する展開にびくびくしていました。とはいえ、麗が事故に遭ったときの衝撃といったら……! 麗は、主人公に優しくしていたところがすごく好感もてたのに! 名前書くとしたら結奈だよなぁと思ってたら、その本人は麗に名前を書かれてしまっていたとは!! いったい麗はそのアプリの存在をどこで知ったのだろう。実は前々から知っていて、自分の名前が書かれることもわかっていて、こういう結末を自分で選んだのかな。正直、結奈が轢かれてぐちゃぐちゃになるシーンのリアルさといったらなかった。最後に結奈のスマホが奈津葉のもとへ滑ってきて、その画面には「復讐済」という言葉とともに麗の名前がでてきたところで物語は終わりました。主人公に何もなくて良かった反面、目の前で死なれたら絶対トラウマになってしまう!

このあと、自分が選ばなかった分岐点を読んでみました。

やはり兄だったか~!!!!って気持ち。兄の名前書いちゃったか。しかも怒りをそのままぶつけるかのように「○ね」の二文字を打ったとき、これは絶対あとで後悔するから今すぐやめてくれ~と奈津葉に叫びたくなりました。やはり家族が亡くなるのは精神衛生上よろしくない……。不謹慎だけど、本当に裏のルートを選んで良かった。兄を亡くしたことでさらに塞ぎこんだ奈津葉は自分の名前をアプリに書けば、せめてもの償いになると信じていたのに。それさえも裏切られ、絶望のオンパレードすぎました……。


『彼岸の夕暮れ』

主人公の茶香と満の最初から見せてくる良さげな雰囲気に、でもこれがホラーの展開になるんだよねと不安になりながら読み進めました。

茶香には幼い頃、弟がいました。その弟は茶香とのかくれんぼ中に行方不明となり、周りの人たちの話では「神隠しにあったのではないか」と噂されていました。

茶香と満の関係にわくわくする一方(恋愛もの大好物)、神隠しに遭った弟・悠聖がきっかけでいったい何が起こるのかとびくびくしながら読み進めました。そして選んだ選択肢は「裏」へ。

〜裏〜

またまた、こちらを選んで良かった〜!と思いました。黒い液体を吐いたときはさすがにやばい!?と焦りましたが、無事に帰ってこられて、ホッとしました。でも弟はもう帰ってこないんですね……。神様も勝手すぎる。ある意味で理不尽な結末になりました。でも、最後に描写された手を繋いで歩く2つの影。あれが茶香と満であればいくらか救われた気持ちになります。

そして、自分が選ばなかった方へ。

なんとこちらの世界線では、黒い液体を吐ける暇もなく、口から目から溢れさせるというとんでも展開に……! 早く、早く満! 彼女をうつ伏せにしてあげてくれ!! 吐かせてやってくれ、その液体を!! 本に顔突っ込んで叫びたくなりました。結末も、息吐く暇もないまま。茶香は着ていた服だけを残し、横たえられたベッドに染みを残して失くなってしまった。遺体のない2人分の葬儀。そして最後に描写された日に向かって手を伸ばす1人と、地面に映し出された影が2つ。手を伸ばせば届くかもしれないのに、決して交わってはいけない描写になんとも言えない気持ちになりました。


『逆さごと』

読者に語りかけてくる系のホラーって、なんでこうゾクゾクするんですかね。まるで近くにいて、実際にそういう話を聞かされている気分。でてくる地名が実際にある地域や、ありそうな場所ばかりで、リアリティが増していく……! 実は作者さんが実際に体験した話ではないよね!? もしかして私が今まさに体験しようとしてる話かもしれない!? そう考えるだけでさらに恐怖が増しました(まさにホラーの醍醐味で、むしろこのゾクゾクがワクワクする感じもある)

ここまで読んできたストーリーでは全て、個人的に「こっちを選んで良かった〜」と思うものがほとんどだったので、今回は「絶対こっち選んだらやばい!」と思ったものを選んでみました。「表」です。

〜表〜

もしやこれは危機回避したのでは? 私も「髪の毛が何かに引っぱられてんな〜」と思うとき、後ろ一旦振り返るけど何もなくて、でもやっぱり違和感ある……ってときによく手で払っちゃうときあるんですよね。そうすると、ぷつんと髪の毛切れちゃう感覚がたまにあるんですけど、もはや私の体験談のような気がしてきましたね。果たしてこれは「何もなく済んだ」ということでよろしいのでしょうか。

そして、自分が選ばなかった方へ。

逆さごとという、タイトル回収? 伏線回収? ってやつですか!? 「後ろが気になったから振り返る」と悪いことが起きる。でも「逆さごと」が通用している場合、「振り返らない」と悪いことが起きるというやつですか!?

でも「振り返らない」を選択したところで、何も無い。でも何かいる……。これはどうやら正体不明の何かがいるのかもしれない……。見えないのにカサカサゴソゴソいわれるときの不快感嫌すぎますね……。別の意味でゾワゾワしてきました。


『扉』

最初のセリフから、もう嫌〜な予感がしてました。「可哀想な子だから助けてあげて」って、学校生活をしていると「ちょっと手のかかる子」を「言うことを聞いてくれる誰か」に押し付ける大人いるけど、真の場合、最悪なのがそれが小学校を卒業してからも大学生に入るまでの長い付き合いに渡ってしまった。真に可哀想なのは誰なのか。きっと真に奏多を任せた当事者はまさかそれほど長い付き合いになってるとは知らないだろうし、自分が押し付けたとは微塵も思ってないんだろうな。ちょっとした怒り……。

真の彼氏・昌也がとにかく光の存在過ぎました。彼の存在があるおかげで、真にも心の拠り所がいるんだなと安心できました。それに比べて奏多、お前は何なんだ……。深夜に突然やってきたと思ったら、「開けて!」だなんて真を寝させてあげてくれよ……! そう思いながら「裏」を選びました。

〜裏〜

なんかヤバそうな音しましたね。明らかに骨が砕けるような音と血が飛び散るような音が……。真は悪くない。悪いのはいつまでも真に頼り切って自立しない奏多の方だよってめくるページ越しに言いたくなりました。
ところが死んでから(?)も真につきまとう奏多の声には本当にうんざり……。死んでも迷惑かけるのかよお前は!? ってツッコミたくなりました。昌也、ちょっと今すぐ真を助けてくれ……!!!!扉を開けてしまえば明らかにヤバそうなものにつきまとわれ、でも扉を開けっ放しにすれば良いのでは?と一瞬考えたものの、家のなかならともかく、冷蔵庫だの玄関扉だの、あるいは町中に行けば電車とかどこかの出入り口とか。考えるだけでも開けっ放しにすることは不可能な扉ばかり! いっさい鏡に映らないようにすることを心がけるくらいに不可能すぎる。なんて恐ろしいモノになってしまったんだ奏多のやつ!!
最後の展開は出くわしたらきっと、トラウマになってしまう。この物語の光の存在である昌也に影が差さないことを祈るしかない……。

そして、自分が選ばなかった方へ。

まさかの「裏」でバッドエンドになってしまったので、じゃあ「表」は比較的マシエンドかな?となりました。(そもそもこちらのアンソロジーのタイトルが「理不尽な選択」ですからね。どちらに転んでも最悪なのは間違いないのか)
一瞬の迷いを見せたものの、真は奏多を助ける選択をしました。結局奏多は何に追われていたのか、その正体は謎のままでしたが、とりあえず何事もなかったようで安心。真が「こんな状態の相手を見捨てたとなれば一生後悔してた」と言ってたけど、ごめん。私は見捨てたわ……。真、良い子すぎる……!
ところが安心していたのも束の間、奏多は突然「真になりたかった」という。そこからの改行をいっさいはさまない連続セリフはもはや狂気……! てか奏多ぁ〜!!! お前〜!!! これまでたくさん真を頼りにしてきて救われてきただろうに、言うに事欠いてそれかぁ〜!!!
この物語の光の存在・昌也が真を心配して現れたの、本当に良い彼氏すぎるな……。でも玄関を開けてびっくり。現れたのは真ではないという展開に……!(昌也は奏多に会ったことなさそうだし、奏多か?)
え、え、じゃあ真はどうしたってわけ? 「真になりたかった」って言ってたけど、呪術的な方法で成り代わるものだと思ってたから(外側は真の皮だけど中身の魂は奏多みたいな?)、不安になりながらも再び昌也の前に現れた奏多(?)を見て驚愕!
おそらく奏多は真の顔の皮を剥いで自分の顔に被せていたという……。き、狂気〜……!!!!


『ばけ家族』

鶴に亀にコンにポン。人間が動物になったか、動物が人間になったか。ふとそんなことを思い出した。狐と狸はよく知られているけど、鶴と亀は「浦島太郎」をちょっと思い出しました。ゆえにばけ家族なのかな〜、と。

とはいえ、話はそんなにメルヘンな展開ではなかった……。やはり、人間的怖さに勝るものはないんじゃないかなと。ストーリーは、ある人物が事件(あるいは事故)の取材として、とある一家に会いに行くモキュメンタリーもの。父から始まり、娘へと話が進み、そして選択肢で母に聞くか、息子に聞くか、というところへ繋がっていく。

ストーリーでは父から最初に話を伺うので、急に不幸に見舞われた家族として読者の目に映った。けれど、父は終盤になるにつれて徐々におかしくなっていく。そのあたりから、この父親の不可解さに疑問を感じるようになる。実は、父に話を聞く前に娘に話を聞いた形になっているが、娘の言い分は「自分たちは、頭のおかしな父親に狂わされた被害者たち」という意見。時々頭がこんがらがりそうになった。誰が正しいことを言っていて、誰が間違ってるの? そんなことを考えながら、「裏」の選択肢を選びました。

〜裏〜

息子に会いに行くと、彼は自分の家族を「気の狂った父と、気の狂った姉と、殺された母」と告げてきた。
あれ? じゃあ今まで聞いていた、娘の話はなんだったの? あれも嘘? 娘の話では毎日、母は亡くなった幼い息子の仏壇を拝んでいるんじゃなかったっけ? じゃあ目の前にいるこの子は? それと彼が口にしていた「母」とは? 誰が正しいの? 誰が正しくないの? もしかして父と娘は、息子の言う通りに頭がおかしいのか、そうだとしたら正しいのは息子のほう? じゃあ娘の言っている「母」は誰? 幻覚か何かなのか。
なお、息子は母を殺した「あいつ」について口にしていた。あいつとは。「人間じゃないもの」と息子は言っていて、容姿も口にする限りでは、明らかに子どものように思われるけれど、誰なのか。それに息子は母に抱きかかえられながら、廃ビルにいたのではないのか。まるで、母が落ちてきた瞬間を、車から見ていたみたいな言い方にゾッとしました。
何より、最後に息子がこのカフェの名前を口にした、「セリーヌ」と。それは廃ビルのなかにあった、カフェの名前だ。この世のものではない人たちがたむろするようになった場所にあるカフェ。そこに呼ばれたということは、息子はもうこの世のものではない?

そして、自分の選ばなかった方へ。

面会した母は、そもそもの家族全員を「狂っている」と称していた。狂ってる父親。とっくに成人済みの2人の子どもたちは、自分らのことを「幼い子ども」と勘違いしている。フツーとは何なのかと疑問に思う母。もしこちらの母の言い分が正しかったら、今まで見てきた物語の、全ての前提が崩れる。共通しているのは、死んだのは母か、息子かのどちらかということ。父と娘は全員の言い分ではどちらも生きている。じゃあ、正しいことを言ってるのは誰なのか。そもそも母だって、「一緒に狂ってしまえたら」も言っていたけれど、本当はとっくの昔に狂っていて、それを自覚していないだけなのではないか?
心にイヤ〜なモヤモヤが残るストーリーでした。

あとがきを読み終え、改めて見返してみると私はどうやら「裏」を選択することが多かった模様。私はどうやら「いつか(文字化け)」となっているらしい。最後に映った福の面らしき目元が、本を読み進めていたときに風に煽られチラ見できてしまい、びっくりして思わず一度本を閉じてしまいました。

今回使った栞

基本的に本を読むときって気分も変えたいので、読む本によって、その都度栞を変えたりしています。
今回使った栞はこちら!

レンコン

昨年末に科博で行われていた、和食展で手に入れました。
かわいい。

文フリで読み終えた本はまた随時、こちらのnoteで感想を呟かせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました!

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