映画「泣く子はいねぇが」
人は迷いながら大人になっていく
今回、是枝裕和企画・佐藤快磨監督の「泣く子はいねぇが」を視聴させて頂きました。
自分自身が主演の仲野さんが好きで公開している際に映画館で視聴後、改めて視聴させて頂きました。
公開中の時も号泣しましたが、今回も泣かせて頂きました。
①【内容】
主人公のたすく(仲野さん)は秋田県出身。娘が生まれ喜んでいたが、妻(吉岡里帆さん)は夫の大人になりきれてない部分に苛立っている。
そんな中なまはげが行われる。なまはげを行っている最中。たすくはお酒を飲み泥酔してしまう。なまはげの面をつけたまま、全裸で町内を回ってしまう。その様子がちょうど取材に来ていたテレビリポーターに撮られ、全国放送となり、なまはげが危機に陥る。
2年後、秋田から逃げるように東京に状況したが、うだつの上がらない日々を過ごす。
妻の父が死んだことを知り、秋田へ戻るが門前払いされてしまう。
信用を取り戻そうと奮闘するが、、、
②【表情】
吉岡さんの若さに似合わぬ”苦労”の表情がなんとも考えさせられる。誰にも自分のことを本質を言えないようなあの表情は今作でも印象に残っている。
一方の仲野さんも素晴らしい。
過去にレビューであげた「西瓜とマヨネーズ」でもそうだったが、色々な表情を自在に使い、その表情だけで見事に芝居を成立させている技術に圧巻。
③【撮影】
現地秋田県での撮影。
撮影を行なった月永雄太さんは、今作で第68回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を獲得しております。
風景と役者をカメラに収め、芝居を撮っているところに”綺麗”と感じてしまう。
天候が常に曇りなのにも注目していただきたい。
晴れないたすくの心情を表しているのではないだろうか。
④【まとめ】
最後になまはげのたすくが再婚相手の父親に抱っこされている娘に対して「泣く子はいねぇが」と叫んでいるシーンは、
「本当の父親は俺だけ」
と言っているようにも感じ取れる。
ここで涙が止まらなかった。
たすくの”なぜ自分はこんなにも大人になれないのだろうか。”
感情が言葉になっていたことに涙が止まらなかった。
人間誰しも勝手に大人になっているわけではない。人間関係、環境、責任によって人間は大人になっていくのではないかと感じる今作。