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『僕の同居人』(ノンフィクション)

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コロナの影響でバングラデシュから日本に一時帰国した友人との同居生活の日常。
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#デブ

始まる〜僕の同居人#1〜

6月上旬。 奴は日本に帰国した。 "奴"とは、 付き合いの長い地元の友人である。 奴が大学卒業後、 仕事のためバングラデシュに移住し、 日本には年1で帰国する。 その度、僕らは会って近況を報告しあう。 ただ、 今回は違う。 奴が住むバングラ(デシュ)では、 コロナの蔓延が凄まじいく、 一日で感染者が数千人という増え方で急増してるらしいのだ。 その影響により、 奴に会社から日本への帰国命令が出て、 暫くバングラには戻れないという。 そう。 無期限の日本滞在が決ま

散歩が旅になった深夜〜僕の同居人#2〜

奴がバングラディシュから帰国し、 僕の家に転がり込んでから数日後。 仕事終わりに散歩でもしようか。 僕がそう提案したのだ。 というのも、僕が構想中の脚本のイメージを固めたかったからだ。 2人の若い男女が、蒲田から羽田空港へ行き、そこからただただ南の方角へと歩くと、 とある海岸線に辿り着くといった一連のシーンを考えていて、 漠然とイメージしたその導線を自ら歩いて登場人物の気持ちに寄り添ってみようかなんて思って。 いや・・・違うな。 そんな高尚な目的を口実にただ痩せ

ペスカトーレ〜僕の同居人#8〜

奴との同居生活が始まってから、 (ほぼ)毎日の散歩が定着化しつつある。 こんなに歩いているにも関わらず不思議と体重は変わらない。 そんな中、僕らの深夜の散歩に新たな目標ができた。 ライトアップされた東京タワーを拝もうというものだ。 毎度、東京タワーに到着した頃には僅差で消灯されてしまう。 単純に早く家を出ればいいだけの話なのだが、 依然、目標は達成されずにいる。 「ペスカトーレは食べられる?」 「なにそれ?」 とある日の夜。 珍しく僕らは晩飯を家で作ろう