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『僕の同居人』(ノンフィクション)

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コロナの影響でバングラデシュから日本に一時帰国した友人との同居生活の日常。
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#東京タワー

余命3年〜僕の同居人#7〜

奴との同居生活中、 僕は睡眠時に口テープが義務付けられた。   僕のいびきがうるさいという苦情は、 次第に正式な嘆願へと変わり、 いよいよ、 ルールという形で突きつけられた。 当然のように、  「会社から持ってきたから」  と、ただの紙テープを押し付けられた。 僕はそれを口に貼って寝る生活が始まったのだ。 たいてい朝には丸まってどこかに消滅するか、 口の中だ。  確かに僕のいびきはうるさい。   らしい。 たまに無呼吸にもなる。    らしい。 それで

ペスカトーレ〜僕の同居人#8〜

奴との同居生活が始まってから、 (ほぼ)毎日の散歩が定着化しつつある。 こんなに歩いているにも関わらず不思議と体重は変わらない。 そんな中、僕らの深夜の散歩に新たな目標ができた。 ライトアップされた東京タワーを拝もうというものだ。 毎度、東京タワーに到着した頃には僅差で消灯されてしまう。 単純に早く家を出ればいいだけの話なのだが、 依然、目標は達成されずにいる。 「ペスカトーレは食べられる?」 「なにそれ?」 とある日の夜。 珍しく僕らは晩飯を家で作ろう

シェアハウス、シェアバイク、シェアパンツ〜僕の同居人#10〜

奴との同居生活が始まって以来、 深夜の散歩は断続的に続いている。 この日は、 広尾、恵比寿、中目黒と、 日比谷線を沿うように進み、 駒沢通りを蛇崩の方へひたすら歩いた。 1時間半程歩いたところで、 疲労と飽きがやってきた。 「そろそろ帰ろうか」 こんな感じで僕らはいつも帰路に就くのだが。    しばしば遠くまで歩き過ぎてしまい、 帰りがしんどくなってしまう。 帰りのことも考慮しながら調整して歩くということが下手くそな僕らは、 「どうする?今日はタクシーで帰る?