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『僕の同居人』(ノンフィクション)

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コロナの影響でバングラデシュから日本に一時帰国した友人との同居生活の日常。
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2020年8月の記事一覧

着るもの、着せられるもの〜僕の同居人#9〜

燃えるゴミの日のことだ。 「しっかり分別して下さい」   その注意書きと、 ご丁寧に缶コーヒーがしっかり透けて見えるゴミ袋の写真付きの紙が家に届いた。 どうやら可燃ゴミの袋に缶コーヒーが紛れ込んでいたようだ。 それを管理人が発見し、 僕らが出したゴミだと特定したようだ。 問題は缶コーヒーのことではない。 その注意書きの宛名だ。 僕と同居人の名前の連名になっているのだ。 まず犯人は奴である。 それは間違いなく。 ただ、 「共犯だ」 そう言われたような気がし

シェアハウス、シェアバイク、シェアパンツ〜僕の同居人#10〜

奴との同居生活が始まって以来、 深夜の散歩は断続的に続いている。 この日は、 広尾、恵比寿、中目黒と、 日比谷線を沿うように進み、 駒沢通りを蛇崩の方へひたすら歩いた。 1時間半程歩いたところで、 疲労と飽きがやってきた。 「そろそろ帰ろうか」 こんな感じで僕らはいつも帰路に就くのだが。    しばしば遠くまで歩き過ぎてしまい、 帰りがしんどくなってしまう。 帰りのことも考慮しながら調整して歩くということが下手くそな僕らは、 「どうする?今日はタクシーで帰る?

真夏のピークが去った〜僕の同居人#11〜

同居生活を始めて1ヶ月半が経ち、 東京は本格的な夏に突入した。 本当は海や山にでも行って夏を満喫したいところだが如何せん休みがない。 キンキンに冷えたビールを飲みに行こうにも、同居人は下戸。 結局、僕らはカラオケか喫茶店に入る。 年に一度くらいしか帰国しない奴とのカラオケではもはや恒例になっているのだが、 寿司屋の大将の如く、 旬な曲を何曲か僕が歌い、 「今これが流行ってるぞ!」 と、得意げに奴に薦めるのだ。 大抵、奴は知っている。 なんなら奴の方が詳しかっ