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「車椅子での生活」 ~段差だらけの家でも、車椅子で生活できますか?~

「バリアフリー」という言葉が昨今主流になってきております。。
新築の家を建てる時、老後の生活や車椅子を使用した生活を想定した造りや設備も整ってきているようです。

「家」と言っても分譲・賃貸マンションや一戸建住宅など、大小様々な形や機能を備えた「家」が多種多様にあります。

昔は平屋が多かったですが、今は3階建て住宅が主流で1階が車庫、2階以上に住宅という造りも珍しくありません。

昭和58年以前に建てられたマンションの7割はエレベーターが無いそうです。

今回はエレベーターの無い場合、場所ごとに車椅子生活が可能であるか考えていきたいと思います。

出入口

日本は、湿度が高い気候のため、一般的な住宅は、土台から約50cm程高い位置に床を作っています。
床下の換気を行うためです。

これが段差の原因になっているのですが、敷地が傾斜地であったり、土盛りをして住宅を建てた場合は、さらにこの段差が大きくなります。
段差が1mを越してしまうケースも少なくありません。

図1

新築や増改をした時には先の事を考えて、いかに段差が少なく、スムーズな出入りが出来るかという事に重きを置くべきだと感じます。

近年のマンションは入口にスロープがあったり、1階ホール全てがバリアフリーになっている所も珍しくありません。

それがこと一軒家になるとほとんどと言っていいぐらい少ないです。

特に日本は限られた土地に建てるため、どうしても上に上に高くするしかありません。
これは先にお伝えした通り、床を上げるという観点からなのですが、未来を視野に入れるなら入口はスロープ付きにすべきだと思います。

たった1段のおかげで今後苦労すると言っても過言ではありません。

それをクリアにする方法として、福祉用具でスロープをレンタルし設置する方法で多くの場合改善は見込めます。
いつまでも元気じゃない、未来を考えるならスロープを作る、手すりを取り付けるなど人生の大半を過ごす自宅にも事前準備があっても良いと思います。

世の中こんなに沢山の住宅事例があるのにも関わらず、工務店、不動産屋さんからアドバイスがないのでしょうか。

それとも見栄えが先行し、今が良ければ、その時に考えれば・・・となっているのでしょうか。

屋内

健常者で考えてみれば分かりますが、私たちは、朝起きて夜眠りにつくまで、部屋の移動を多く行っています。
トイレ・廊下・寝室・台所・洗面所・ベランダ・・・等々

移動手段は車椅子で考えてみましょう。

車椅子が通る事が出来る幅を確保する。
通路には物を置かないなど導線の確保が第一にあげられます。
小回りの利く車椅子で考えた場合でも、廊下の幅は最低55cm~60cmは必要です。

例えば、自走式車椅子を自宅の廊下など、狭い通路で使用される場合、角を曲がる時など
フットレスト(足をのせる台)やタイヤが柱など位ぶつかってしまうことがあります。
そんなときは、小回りが利き、操作性の高い車椅子を選ぶと改善できます。

小回りが利く6輪車タイプの車椅子後輪の後ろに、さらにタイヤが2つ取り付けられていますので、狭い廊下でも小回りが効き、回転なども可能になったり、多少の段差なら乗り越える事も可能です。
さらに低床タイプなら自分で足こぎができるため、動きの幅も広がります。導線の移動はクリア出来できます。

トイレ

車椅子ごと入る事を考えるのあれば、住宅を改修する事が必要になります。
ドアや扉など交換する必要があります。
手すりの設置や、据え置き型の手すりなどもあるので、「福祉用具貸与」のサービスも利用できます。
また、車椅子に座った状態で使用出来る高さの洗面台等が必要になる場合もあります。

図1

階段

①屋内

一般的に自宅屋内で考えた場合、車椅子ごと昇降出来る環境がある方は少ないと思いますが、
専用の椅子に座ってもらい昇降ができる「家庭用階段昇降機」というものがあります。
「階段昇降機」を設置する場合、ご検討されている階段の有効幅をまず確認する必要があります。

直線階段用であれば70cm程度、曲がり階段用であれば75cm程度の階段の横幅が必要となりま
す。

階段が直線と曲がった階段の場合では、それぞれ椅子やレールの形状が異なってくるため必要な階段幅も変わります。

幅のイメージとしては、一般的な大きさの車椅子の1.5倍幅ぐらいと思って下さい。
少し高額にはなりますが、レンタル(福祉用具貸与)が可能です。

図1

②屋外

マンション・ビルの屋外用階段の車椅子での昇り降りについては、「階段昇降機(階段移動用リフト)」という物を活用出来ます。

気を付けることは、専用の階段昇降機を設置する際、建物の敷地内で上手くレールの設置
などを行うことが出来ていれば問題ありませんが、建物の立地などによっては階段昇降機
を設置するとレールや椅子が敷地外にはみ出てしまう場合が出てきます。

ほとんどの屋外階段は公道に面していることが多く、敷地と公道の境界を越えないように
注意する必要があります。
場合によっては門扉取り外したり、交換も必要になってきます。

図1

その他・キッチン等

本人の介護度によって変わりますが、お料理が大好きで、一緒に料理したいなどがある場合、車椅子にあった高さにする必要があります。

住宅改修の域を超えてしまう事にもなり、費用も当然かかってきますので、あれもこれも
と言う訳にもいかないと思いますが、安全・安心して暮らせる自宅であることはもちろん、
趣味をはじめ、生活に楽しみを持つ事はとても大切です。
※キッチン、水回りの事も車椅子対応が可能な商品など大手メーカーさんも出してます。

図1

まとめ

優雅な旅先から狭い我が家に帰って、「家が一番落ち着く」と言うぐらい、
高齢になっても住み慣れた自宅でできる限り長く暮らしたいと思うのはごく自然なことです。

そのために介護保険制度には住宅改修の補助があります。

改修後に自立や介護状況でその効果があるのかが判定され助成する仕組みのため、利用するには、申請・判定・認可の手順が必要となります。

まずはケアマネージャーに相談してみましょう。

こんな事例も実際にあります。
・家の中で車椅子を使用するようになり、家族の負担が減った。
・スロープの設置で、一人で外出ができるようになった。
・おむつを使っていたが、トイレにいけるようになり、経済的にも軽くなった 

などなど。

家の中といえど、自分の意志で行動できるという事は、生活全般を一変させるくらい、生きる活力を与えてくれます。

もちろん、転倒や怪我などのリスクも伴います。
しかし、車イスで、リスクを背負ってでも自宅で生活をしたいという、本人の意思を尊重するのであれば、それに近づけることは可能ではないでしょうか。

上記で紹介した設備を全て叶えるのは難しいかもしれませんが、介護保険制度の住宅改修のサービスを利用し、足りない部分は訪問サービス等を利用すれば、車イスでも十分、生活できる環境を整える事ができます。

大切なことは住宅改修が「できるできない」よりも、する意思が「あるのかないのか」によるのかもしれません。


東住吉介護センターでは、「福祉用具レンタル・販売」も行っております。
プロの相談員がメンテナンス等も行っておりますので、ご要望の際には是非ご相談下さい。

フッターB



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