あたしは小説を書くことがすごい好きだ/2024.05.06
GW最終日。
あたしは四谷にある、note placeで開催された創作大賞イベントに参加した。
イベントの内容は、オフライン創作会とトークイベントだった。
イベントがあるのを知ったのは、5月に入ってすぐ。
Xのタイムラインを流し見していたときに見つけた。
家や近所の喫茶店で、noteを書いていることが多いから、たまには行ったことがない場所で書くのも良いな、と思い申し込んだ。
同日に作家の新川帆立さんと秋谷りんこさんのトークイベントがあった。
せっかくだし聴いてみようと、こちらも申し込んだ。
イベント当日。
創作スペースとして解放された部屋には、喋りながら作業するグループがいたり、1人で黙々と創作してたりする人たちがいた。
あたしは空いている席に座り、持ってきた饅頭を食べながら、創作大賞に応募しようと考えていた新作小説のあらすじと登場人物をiPadに書き出した。
このアイデアが思いついたとき、これはすっごい面白いと思った。
多分、こんな話を考えた人なんて絶対いないと思う。
と、なぜか自信があった。
新作小説のあらすじと登場人物の特徴を書き終えると、トークイベント開始時間が迫っていた。
トークイベントが行われたイベントスペースに行くと、席はほぼ埋まっていた。
空いている席に座って待っていると、ステージに、新川帆立さんと秋谷りんこさんが現れた。
うわあ。
テレビやネットで見たことがある人たちだあ。
このイベントでお話しされていたのは、作家デビューまでのキャリアや創作大賞に応募するときの心得だった。
作家デビューするにあたって、賞に応募するとき、確率や傾向と対策の話をされたとき、ああ頭の良い人の考え方だ、と思った。
そりゃ、そうだ。
新川さんは元弁護士。
秋谷さんは元看護師。
もう経歴から華々しい。
お二人はご自身の職業経験を生かした小説を執筆し、それが賞をとり、小説家としてデビューした。
なんだか職業や学歴の時点で、あたしはダメだと久しぶりに大きなネガティブモードに陥った。
色んな小説を読んでいて、そこに書いてある作家プロフィールを読むと、ほとんどが〇〇大学卒業と書いてある。
お二人も大学を卒業されている。
新川さんに関しては、東大を卒業されている。
あたしはというと、最終学歴は専門学校卒。
というか、高卒に近いといっていいと思う。
卒業後は、いくつかの会社を転々としながら、今の会社で事務の仕事をしている。
その傍ら、作品を書いて発表、応募、販売などをしてきたが、花が咲くどころか、タネが発芽しているのかわからない状態だ。
大学を出ないと作家になれないのかな、と落ち込んだときがあった。
そんな学歴コンプレックスはしばらくの間、地中深くに沈み落ち着いていたが、このイベントで、また顔を出してきた。
そして、あたしの弱点だと思っているところを、思いっきり殴られる話もあった。
もう作家を諦めた方が良いのかな、と聴いていて悲しくなってしまった。
イベントが終わったあと、本の購入及びサイン会が行われた。
今すぐ、ここから去りたかったが、なんだかそれはあたしの中のプライドが許せない感じがして、お二人の小説を購入した。
そのとき、新川さんに愚痴のようなことを話してしまった。
すごく申し訳ないと思ったし、こいつなんでここにいるんだ、と新川さんに思われたかもしれない。
小学生のときに観たあるアニメで、物語を読むのが好きな女の子が物語を書くシーンがあった。
当時、絵本や童話などを読むのが好きだったあたしは、それが作家というお仕事だということを知り、将来は作家になって、それで生活して、素敵な人と結婚するんだと思った。
高校のとき、書いた小説を小説投稿サイトに発表していたが、一度だけ投稿した小説がサイトで、おすすめの小説として紹介されたこともあった。
あたしは小説家になれるかもって思った。
しかし大学受験のとき。
小説の創作を学べる学部がある大学を知り、そこに進学しようと考えていた。
しかし、親はそれを反対してきた。
理由は将来役にも立たない勉強する必要がない。
あたしはそれ以外の大学には魅力を感じず、大学受験は辞めた。
それでさらに親に怒られた。
結局、地元の専門学校に進学して、さっさと就職することで、親は納得した。
この時点で、小説を書くことや作家になる夢を手放してしまった。
専門学校卒業後は、地元の企業に就職するが、女性先輩の機嫌を損ねたことで集団いじめに遭い、退職した。
そのあと半年間、働かず家にいる日々が続いた。
親から毎日怒られて、家にいるのが嫌になり、少ない貯金を元に上京してきた。
上京後はシェアハウスや会社を転々としながら、生活していた。
今日のご飯、今晩の寝床のために働いていた。
自業自得である。
ある晩。
たまたま見ていたテレビに出ていたあるタレントを見つけた。
その人はすごく太陽みたいに笑う人で、スタジオにいた人たちやあたしも自然と笑顔になっていた。
その人が気になって、数ヶ月後に行われた、その人が主演の舞台を観に行った。
観ているこっちも感情移入してしまうくらい芝居が上手だった。
この人がもしこんな役を演じるなら、こんな話を書いてみたい。
……書いてみようかな。
自分が書いた作品の主役を演じてほしい。
あたしは手放してしまった夢をもう一度手に取った。
それから数年間、賞に出したり、ネットで発表したりしているが、うんともすんともいわない。
今日のイベントを聴いていたら、あたしは一生叶わなかもしれない。
それに今はそのタレントに、あのときのような好きという熱量はそこまでない。
今いる会社より、もっと給料の良いところに転職して、生活を安定させて、老後の資金を貯めようかな。
家に帰っているとき、トークイベントの前に考えていた新作小説のことを思い出した。
そういえば、あのキャラクターにこんな設定を入れたら、ラストが面白い感じになって良いかも。
主人公はギャルにする? それとも優等生?
考えていたら、口角が上がっていた。
専門学校に行っていたときや会社でいじめに遭ったとき、頭の中ではたくさんの妄想をしていた。
恋人にそんなこといわれたら、絶対キュン死にする。
バンドマンが武道館でライブするまで、どんな道のりにしようかな。
その時間が、すごく幸せだった。
どんなに辛いことが落ち込んだことがあっても、あたしは小説のことを考えていた。
あたし、小説を書くことがすごい好きだ。
たとえ、良い大学を出ていなくても、頭が悪くても、この気持ちは誰にも負けない!
今考えているこの作品を絶対完成させて、応募する!!
ズタズタの心の中にある夢はまだ手放したくない。
創作大賞2024に応募している作品(2024.05.16現在)