ふれあうことが幸せへの近道
触れるだけで癒す
人には触れるだけで自分も他人も癒す力を持っています。
友好的なふれあいは脳を刺激しオキシトシンの分泌を促します。オキシトシンは「愛情ホルモン、幸せホルモン」など言われていて、抗ストレス作用や自律神経調節作用が認められています。
例えば、体調がすぐれないなど、何かしら悩み事をかかえているとき、だれかに手を握ってもらったり、さすってもらったり、抱きしめてもらったりして、ほっとした経験はないでしょうか?
今日はそんなオキシトシンの癒しのチカラと、ふれあい(タッチ)について、ウィスコンシン医科大学名誉教授 高橋徳(たかはしとく)さんの著書「人のために祈ると超健康になる!」から整理してみました。
オキシトシンの効果
オキシトシンの効果をまとめると以下のとおり。
オキシトシンは、「副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)」の放出を抑制することで、コルチゾールコルチゾールの分泌を抑制します。
コルチゾールは本来、運動に備えて体内の血糖値を上げたりする役割を持っていますが、長期的なストレスなどによって、過剰分泌になると、落ち着きがなくなり、いわゆるキレた言動がふえ、血糖値コントロール不良による糖尿病や、胃酸のコントロール不良による胃潰瘍などを引き起こすおそれが出てきます。
うつの人のコルチゾール数値は、一般の2倍近くにもなるというのは有名な話です。
また、ストレスにより、自律神経は交感神経が優位になります。交感神経は、身体の活動性を生みだす神経系です。 昼間や活発に活動する時間帯に優位になります。 交感神経は、心臓の働きを促進して血流を促進します。 すると血圧・拍動・体温などが上昇するため、活発に活動するエネルギーがわきます。
過度なストレスかかかると、体は常に臨戦体制になってしまうと言う事です。
しかし、オキシトシンは副交感神経の活動を高めてくれます。
副交感神経は身体を休息させる神経系です。夜間やリラックス中に優位になります。副交感神経は心臓の働きを緩やかにします。血圧・拍動・体温などが下がるため、心身の緊張がほぐれやすくなります。睡眠・急速によって疲労回復が期待できるのも、副交感神経の働きによるものです。
オキシトシンにより副交感神経が優位になると、交感神経が優位のときには収縮していた血管が拡張し、血圧が下がり、また、自律神経の乱れによって生じていた不定愁訴などもよくなる可能性があります。
なでるだけでオキシトシンが放出される
ではどのような仕組みでオキシトシンが分泌されるのでしょうか。
オキシトシンを増やすものは、大きく次の二つに分けられます。
・感覚的刺激(五感への刺激)
触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚の五感それぞれが「心地よい」と感じる刺激を受けたとき、オキシトシンが分泌されます。
・心理的刺激(人との交流)
受動的な刺激(=愛される、好意を持たれる、共感される、関心を持たれるなど)
能動的な刺激(=愛する、好意を持つ、共感する、関心を持つなど)
友好的なふれあいにより、オキシトシンが分泌されます。体調がすぐれないときや、何か悩み事を抱え気分が晴れないときに、誰かに手を握ってもらったり、背中をさすってもらったり、抱きしめてもらったりすることで、心が自然と落ち着き、ほっとした経験がある方は多いんではないでしょうか。このように、親しい人とのスキンシップ、触覚刺激やぬくもりが「安らぎや結びつき」の感覚を呼び起こし、幸福感をもたらします。また、パートナーとの性的なスキンシップも、オキシトシンの濃度を高めることが分かっています。
余談ですが、サルはお互いの毛繕い(グルーミング)で互いの関係性を確かなものにしています。グルーミングによりオキシトシンが分泌され、高ぶった神経が静まり、心拍数が減り、血圧も正常範囲に下がり、サルも健康になるわけです。
触覚への刺激でもオキシトシンは増加します。なでるという刺激が、知覚神経を介して脊髄(脳髄とともに中枢神経を構成している器官)の脊髄視床路(脊髄から発する感覚伝達路)を通って視床下部(自律神経や内分泌機能などを調整する部位)に至り、そこでオキシトシンを産生させます。オキシトシンは、中脳の「中脳水道周囲灰白質」でオピオイドを分泌させます。オピオイドの鎮痛作用で痛みが和らぐわけです。
ツボの刺激でオキシトシンが増える
「人のために祈ると超健康になる!」の中では、面白いラットの実験が紹介されています。ストレスを与えたラットは胃腸障害を起こします。胃腸の状態を整える代表的なツボとして、足三里というツボがあります。人と同様に、ラットにも足三里が存在します。ラットの足三里に鍼を打つことで、ストレスによって動きが止まっていた胃が動き出したらしいのです。
このラットの脳を調べたところ、なんと、オキシトシンを作り出す細胞の数が増加していることが分かったとのこと。
ツボの刺激でも、オキシトシンを増加させることができるということです。
足三里への刺激
俳人、松尾芭蕉も「足三里」に灸をすえて、奥の細道を旅したといいます。古くから、足の疲れを癒すだけでなく、胃腸の働きを改善する効果が期待できるツボとして知られています。健康長寿のツボとも言われているようです。
そんな足三里の位置はスネの近くです。ひざのお皿の下から指4本分下。スネの骨の外側のくぼんだところです。
指でゆっくり押す以外に、スネのあたりから足三里まで、下から上にかかとでこするように押すのも効果的とのこと。僕も押してみたら、とてもいた気持ちかったです。皆さんもぜひ、足三里を押してみてください。
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