伊藤園新俳句大賞へのファンレター。
お~いお茶を買うと、必ず見る場所がある。
パッケージに必ず書かれている「伊藤園新俳句大賞」。私はこの受賞作を見て1人で唸るのが大好きである。
ご存知ない方も、存在は知ってるけどそんなに見たことないぞという方も、伊藤園の特設サイトに行くと過去の素晴らしい受賞作も見れるので是非見て欲しい。
年々エントリー数も増えてるみたい。
良いことだ。だって面白いもの!!!
選考委員の方のね!!選評がまたいい味だしてるんだこれが!!!
例えば第29回の14歳の女性の方の審査員賞を受賞した作品。
りんごと恋 同じ原理で 落ちてゆく
これだけでもその瑞々しい青春を感じられる大変素晴らしい作品なのだが、ここにこの句を選んだ金田一秀穂さんの選評が加わるとより一層味わい深くなる。
引用させていただく。
不可抗力で仕方がないんだよなあという嘆声が聞こえてくるような、戸惑いや愉しさや安心感でもある、醒めた女子中学生の冷静な観察眼がたいへん魅力的です。
こんな風に相乗効果でハチャメチャに味わい深く面白い作品とその選評が膨大な数ある。
その中で、私が特にどうしようもなく大好きな句がひとつある。
今日はここでその思いをぶちまけさせて欲しい。
第17回の一般の部B大賞、当時77歳の方の作品。
なめくじは 走っているの かも知れず
この発想!!この視点!!!
この優しい眼差し!!!!!
もう大好きです。この句を見た時の、張り詰めた肩の力がふっと軽くなるような、もがいているすべての人に優しい処方箋として刺さるような効力がこの句にはあると思っています。
見つけた当時の若かりし私の心をまぎれもなく救ってくれた作品です。
当時、伊藤園の俳句大賞のサイトを見ていてこの作品に出会った私は、職場の休憩室に置かれていた交流ノートに、この句がいかに素晴らしいかの想いを4コマに託し気持ちをぶちまけながら描いた。そうしたら、この句好きですのコメントや、就活で悩んでいた男の子からの「ちょっと救われました」の言葉で私も救われたような気持ちになれたのを今でも強く覚えている。
雑談の中で、「あれいいね」「いいですよね」し合ったりして、誰かに届いた記憶、とても大切な思い出となったきっかけを作ってくれたのはまぎれもなくこの方の作品でした。
この記事は、尊敬と敬愛とありったけの感謝を込めたこの句を作ってくださった当時の77歳の方へ向けたファンレターです。
本当にありがとうございます。
願わくば、この記事がきっかけでまたどなたかの心に届くといい。そして、もっともっとこの優しい処方箋のような素晴らしい句の事が広まるといい。
…もう一句紹介していい?
なんせ膨大な数あるから!!凄まじいの多くて!!!
なめくじの句がとびきり好きだけど、もちろん他の句も言わずとしれた猛者揃いである。
第29回審査員賞、浅井愼平さんが選んだ34歳の方の作品。
手ぶれした フィルムに写る 春一番
このセンスたるや!!!
凄すぎるの一言。風を写すという発想、この表現力。
初めて見た時鳥肌立ちました。
今でもやっぱり見るたびに唸る。
あぁやっぱり伊藤園の新俳句大賞は面白い。
大好きです。
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