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『魔道祖師』考察①藍湛の呟き

この数ヶ月この物語に出会ってしまってどっぷり嵌まった。
寝ても覚めても魏嬰ウェイイン藍湛ランジャンが頭の中で好き勝手に動きまわる‼️
アニメがキッカケで原作を読みたくて、でも【あの分厚さが4冊】という強迫観念に果たして読みきれるのか⁉️
ところが、疑心暗鬼はどこへやら、読みはじめたら止まらない。
朝は目覚めと共に本を開き、食事もそこそこで気づけば午前1時。
一冊をほぼ、丸1日で制覇。全4巻と小冊子をまとめて5日で読み終わった😃
が、読めばよむほど数々の疑問が浮かんで来て、『あれ?そもそも、あの事件の発端は……⁉️』えっと、どこに書いてたっけ?
と、また、戻ってページをめくりその度に付箋を色分けして貼り分厚い本が更に太っちょになって、ボロボロに。
ブログが、二期を終了したのにもかかわらず、未だに『そういえば、あの時何て言ってたっけ?』と唐突にひらめいてはまた、ページを繰ると言う毎日。
日々、魔道の世界に支配されている。

そんな中、やっぱり魏無羨と藍忘機の恋の始まりはそもそもどこなのか⁉️
と言う疑問に付いてあれやこれやと浮かんでは消える可能性を、『今一度文章にしておきたい』という衝動に駆られこの考察をアップすることにした😃あくまでも、いちファンの願望の現れとして捉えて戴きたい😅
うざい憶測ばかりですが、どうぞ、共感を頂けたら励みになります🙏




🐰藍忘機は重度のコミュ症?💕

藍忘機の恋の始まりをたどるため、藍忘機目線での原作を拾いあげることにした。
オリジナルのシチュエーションを藍湛側から見た創作文としてあげました。前に参照頁を記載。原作と読み比べてみると面白いかも。ネタバレなのでご注意ください❗️

✨✨✨✨✨✨✨

【雅騒】(一)

出逢い

《原作  日本語版  第1巻 P120下段~》
姑蘇藍氏の公子として、誰からも手本と成るべく育てられた藍忘機。
幼くして、叔父藍啓仁の元に預けられ、厳しい家訓を守り、辛くても背筋をピンと伸ばして正座をする姿は痛々しいほど。
礼節を守り他人への慈しみを忘れず、修為を深め格技を磨き世の人々の楯となり、邪宗を抑え宥めて改心させる。
どんなに不満に思っても兄、藍曦臣と一緒なら我慢できた。忘機にとって兄はたったひとりの理解者であり、彼の仏頂面の微かな変化を読み取ることのできる唯一の存在。

15歳の春。毎年行われる清談会の修士たちを集めての座学。藍忘機は同席するように叔父から言われた。修士たちもみな15~17歳の少年少女たちだ。同世代の者との友好を深めることができれば、忘機のコミュ症も治るかも知れないとの藍啓仁の親心でもあったのだが、その思惑は見事に裏目にでた。
忘機は、修士たちのお目付け役を仰せ遣い、いつもにも増して、品行方正であることを強いられた。

清河聶氏の公子、懐桑ほわいさんは毎年座学に来る度によその公子たちに『アイツにだけは目をつけられないように気をつけろ』と言わしめるほど、既にうざい存在となってしまっていた。これでは、友好なんて計れるはずも無い。

《第1巻P123》
座学初日の前夜、時は亥の刻。雲沈不知処ではこの時間、外出も入処も禁じられている。いつもの様に見廻りをする藍忘機の前に現れたひとりの少年。手にはあろうことか姑蘇の名酒「天子笑」をぶら下げている。どうやって結界を破って侵入したのか?
「夜戻ったものは辰の刻まで入れない。出ていけ」
「固いこというなよ、ほら天子笑だ!分けてやる!」
「飲酒は禁止だ、罰をうけろ」
ヘラヘラと笑いながらのらりくらりと言い訳を言う。藍忘機の氷のような冷たい眼差しにも物怖じしない人物は初めてだ。ああ言えばこう言う。もともと、思いを表現することが苦手な藍忘機だ。
言葉につまり思わず剣を振りかざした!
が、相手は素早い身のこなしで剣を避け、片手で酒壺を空中に飛ばした隙にあっという間に屋根の上に掛け上る。
「わかったよ、入らなければいいんだろ?じゃあここで飲むよ」目の前で悠々と酒を煽る。悔しさで剣を握る藍忘機。
この時、胸の中でひとつの殻が弾けた気がした。今まで自分をこんなに軽々しく扱った者が居ただろうか?
五代成家のお手本として敬われ、その眼差し一つで皆が縮みあがり、彼に目をつけられないように距離を置いた。なのに、こいつは悪びれもせずに、掟を破り、挙げ句の果てに「黙っててくれたら、俺もお前のピンチのときに助けてやる」
と懐柔してくるではないか❗️こんなことは絶対に許してはいけない!「黙れ❗️」



学友

《第1巻P126上段》
座学が始まり、案の定魏無羨あの者は授業を受ける気もそぞろでだらだらと落書きをしている。
それを見つけた藍啓仁の詰問が飛んだ。
が、意外にも間ともな受け答えで応戦する魏無羨の声を藍忘機はまっすぐに前を向いたまま聞き入った。澄んだ声色は良く通り心地よく耳に届く。
調子良く正解して得意げな彼に藍啓仁が「では、これはどうか」と邪宗の更正の方法を問いかけた。魏無羨は一瞬口ごもり何やら思案しているので、「代わりに忘機、教えてやりなさい」と藍啓仁。
叔父はなにかと自慢の甥を他家の修士たちに見せつけて黙らせようとするのだが、藍忘機は正直こんな風にひけらかすのは好きではない。第一藍家家訓に反する行為だ。できれば誰とも関わらずひとりで修行するほうが気が楽だ。
そうでなくとも同い年の修士たちは自分からは一線を引いていて近づこうとはしないのにこれで一層、溝が出来るだろう。所詮同期の桜などは現実的ではない。
ところが、藍忘機の模範解答に満足気な叔父に反論するものが現れた。
魏無羨は「第四の方法」となるものを提言して叔父をやり込めてしまったのだ。あの・・叔父に反論した上にさっさと蘭室から出て行ってしまった。それもさも楽しげに。

(なんて奴だ。あんなやつは初めてだ。)
けれど、藍啓仁の苦虫を噛み潰した顔を思い出すとなぜか気分が晴れた気がした。

《第1巻P133上段》
「魏無羨から目を離すな!」と叔父の命令もあり、姿を消した魏無羨を探しに出た藍忘機は古木の下に差し掛かった時、あの澄んだ笑い声を耳にする。
見れば屋根の上から江の公子たちとさっきの武勇伝を自慢していた。
わざわざ自分がでしゃばらずとも彼を探す人は多数いるのだ。
蔵書閣に戻ろうとしたそのとき、「忘機さーん、おーい」魏無羨の澄んだ声が聞こえたような気がした。
既にできあがっている輪の中に入る余地もないだろう。藍忘機は踵を返して去った。

了簡

《第1巻P136上段》
かねてより、古くなった経典の書き写しを命じられていた藍忘機はせっかくのひとりの時間をかき回されることになる。蔵書閣は雲深不知処のなかでも高台にあり、風が良く通り涼やかな場所で、ここで書に向かうと心がしんと落ち着き無の境地にはいることが出来る。藍忘機はここで過ごすひとりの時間が何より好きだった。
が、そんな静寂は見事に破られてしまった。試験中に解答用紙をばらまくと言う破天荒な行動への罰として魏無羨が毎日蔵書閣に通うことになったのだ。

藍家家訓の上義編と礼則編の書き写しを命じられて清書が終わるまでは外出も禁止だ。
魏無羨は藍忘機の向かい側でもう限界とばかりに机に突っ伏していた。まだ、半分も書き終えていないのに、辛抱のない奴だ。
突然、なにかに閃いたように立ち上がりこちらを覗きにきた。
「へぇー、綺麗な字だな、すごく上手だ」
経典の書き写しは姿勢が字に顕れるため、心を平静に保つことが最優先だ。
魏無羨の減らず口は座学と塀の上でのやり取りで周知の上だ。
藍忘機は気を剃らされないように慎重に筆を運ぶ。魏無羨は応えない藍忘機の後ろにまわると「忘機さーん。…忘機ー。」何度も耳元で呼んだが、反応しない藍忘機にこらえきれなくなって叫んだ。
「藍忘機ー藍湛らんじゃん!」
区切りのついた筆をおもむろに置くと藍忘機はゆっくりと視線をあげた。
そう言えば何年ぶりだろうこの響き。
藍湛らんじゃん』と呼んだのは母だけだ。兄も叔父も普段は『忘機』と呼ぶし、門弟や他家の修士は『藍忘機』か『含光君』と呼ぶ。じっと見つめられた魏無羨は弾かれたように防御の姿勢をとった。
「そんな目で見ないでよ、呼んでも応えないから仕方なく藍湛って呼んだだけだよ。嫌だったらお前も魏嬰うぇんいんって呼んでいいからさ」
泣き笑いのような顔をして両手をあげ、片膝を立て体は斜めにしなだれた魏無羨の姿はこの蔵書閣には目に余る。
「膝をたてるな」注意したと言うのに、魏無羨はぱっと明るい笑顔になってサッと足を引っ込めた。そして少し咳払いをすると真面目な声色で話し始めた。
「藍湛、質問してもいいか?お前、そんなに俺のこと嫌い?」
また、減らず口が始まった。聞くに及ばず。無視をして経典に目を落としているとその口は留まることを知らず延々と耳元をざわつかせる。すると、ぱちんと指を鳴らし「お願い、こっちを見て」と懇願してきた。
「ー書き写し、もう一回追加」
「えー、勘弁してよ。俺が悪かったって!」
魏無羨の方便は明らかだ。「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん……」彼に反省と言う文字はないらしい。案の定いい加減な謝罪を繰り返し煙に巻こうとしてきた。
「全く、反省の色が見えない」
藍忘機は静かに筆を置くと念を込めた。
禁言術を掛けられた魏無羨は走り書きで「我鍺 了忘れ機兄」「犬と鶏」様々な書き付けを飛ばし続けたが憐れにもすべて丸められて塵と化した。
「くだらない」
にべもなく投げ掛けられた言葉に、魏無羨は不承不承に清書が終わるまでおとなしくなるしかなかった。

一月の間、魏無羨の藍湛攻防戦は続き、毎日懲りもせず無駄口を叩いては禁言術を掛けられ清書を強いられた。そのうちに清書を早く終わらせれば、解放されることに気づいたのか朝のうちはせっせと清書に励んだ。
勤丙本 徳丙先 和丙貴 学在前」(勤めを本分として徳を第一に和を貴び学を優先する)
謹信亿愛 重道尊師 謙恭礼让 忠孝并」(人を思いやり 道を重んじ 師を尊び 敬って譲り 忠孝を両立する)
天信不立 心誠則灵 精誠所至」(信じねば立たず  専念すれば成し 誠実であれば 道は開かれん)
文字は大胆克つ聡明でその人格を顕していた。思いつきで大盤振る舞いをするわりには後で損な役回りでいたりする。試験の解答用紙ばら蒔き事件も真相は懐桑ほわいさんの兄へ証拠隠滅作戦のとばっちりだと知った。災難を被ることがわかっていながら、後先を深く考えずに先走る。それでもあっけらかんと悔いることもなければ、改めることもない。
「あれ、こんなはずじゃなかったんだけど、まっいいか」とヘラヘラ笑う。

《第4巻P289上段》
魏無羨は清書が終わると退屈だと喚き散らし、のたうち回っては死んだふりをして藍忘機の気をひこうとした。
が、「見ない」「聞かない」「くだらない」しか応えて貰えず、仕方なく向かい側にしなだれかかると「ちょっとくらいこっちを見てよ」と今度はあれこれとたわいのない話を始めた。
《番外編P83下段》
「お前ん家の食事と来たら、ほんとに不味いよ。これなら西瓜の皮の炒め物のほうがいくらかましだよ」
(西瓜の皮……?)ぴくりと止まった筆をあざとく見つけて
「あれ?食べたことないのか?蓮花塢じゃ箸休めによく出るんだ、お前が遊びに来たらおれが作ってやる。」
「行かない」
「なんだよ、また、ないないづくしか?まあいいけど、もう少ししたら蓮の実が沢山出来るから食べさせてやるよ!ここの味しか知らないお前はきっとびっくりするさ❗️」

経典の書き写しも佳境に入った頃、ふと筆に違和感を覚えた。見ると藍忘機の右側の袖を下敷きにして魏無羨が突っ伏していた。
(また、死んだふり……)
慎重に引っ張ろうとしたが、どうやら本当に眠っているらしい。黙っていればなかなかの美青年にも見えなくもない。魏無羨は長い睫毛を揺らし眉を少しあげたかと思うと「藍湛…」と呟いた。悪戯をしている夢でも見ているのか、にっと笑うとまた深い眠りに落ちていった。とくんと胸がなり、筆が滑り落ちてしまった。藍忘機は彼の下敷きになった袖をいつまでも抜き取ることができなかった。

《第1巻P140上段》
最終日、魏無羨は珍しく早くにやって来て剣を机に置いた。
「さあ、今日で最後だ。明日からもう来てやらないからな」
「………」(今日はいつもと違う、なにを企んでいる?)
藍忘機は無視をきめ、書の頁をめくった。
「あれ?ほんとは寂しい癖に!なんとか言えよ、素直じゃないよな?
あ、くだらないって言うつもり?もう少し違う言い方はないのか?」
「非常にくだらない」
「あは、付け加えてくれたんだ!ありがとうな!これ、お礼にやるよ」
魏無羨はさも、悪戯っぽい笑みをうかべながらヒラヒラと一枚の絵を差し出した。そこには窓辺に座り本を読む藍忘機の姿。ニヤニヤと笑いながら覗きこんでくる。
「そうだ、忘れてたよ」そう言ってサラサラと何かを描き足した。横顔の耳元には花を差している。
「………!」目を見張り絶句する藍忘機。
「そんなに怒らないで、笑って見ろよ!可愛いいからさー!」
「くだらない!」
そう言って経典に目を戻した藍忘機は、その絵面に驚愕した。そこにはふたりの男のまぐわいの姿が?
火が付いたように投げつけた!経典はいつの間にか春宮図にすり替えられていた。誰がやったかは明白だ。
「ハハハハハハハハハッ」弾けるように笑い転げる魏無羨。
魏嬰うぇんいん……!」
「はーいここにいるよ」
「君って人はいったいなんなんだ!」
「俺?俺は男の人だけど?ハハハハハハハハハッ」本を拾おうとしたら同時に掴みあいになってしまった。
「あれ?こんなのを藍啓仁先生にみせたりしたら、お前が疑われるぞ。それとももっと見たかった?」
「黙れ!外へ出ろ!決闘だ」思わず壁塵を手に取り叫ぶ藍忘機。
「落ち着けって、藍湛!ここは蔵書閣だぞ、こんなところで剣を振り回しちゃ床が抜けちゃう……」次の瞬間ハラハラと舞散る紙吹雪。
「おい、なんてことするんだ、せっかくお前の為に借りてきてやったのに、もったいないなあ」「失せろ!」「ハハハハハハハハハハハハッ」



戸惑い


紫の竜胆りんどうがいちめんに広がる庭を抜けるとひっそりと佇む寒室が見えてくる。月に一度、ここに来るのが唯一の楽しみだ。
「藍湛、ほら綺麗でしょ?とても似合ってるわ」母はコロコロと笑いながら幼い藍忘機の抹額に芍薬をはさみ、顔を覗きこんだ。
(僕は女の子じゃない…)声に出せず、ぷくっと頬を膨らませて母をにらむと母はますます笑い転げる。
「大丈夫よ、藍湛は女の子よりもずっと可愛いんだから」そう言って藍忘機に頬擦りしてくれる母が大好きだ。
「ハハハハハハハハハッ」
不意に母の声に不吉な笑い声が重なり藍忘機は目を覚ました。卯の刻だ。
(なぜ魏無羨の笑い声が……?)
寝覚めの悪い夢のお陰で、ずきずきとこめかみが痛んだ。

《第1巻P146下段》
「おはよう忘機、どうした?悪い夢でもみたのか?」藍曦臣は藍忘機の顔を見るなり心配そうに覗きこんだ。兄には何も隠すことは出来ない。彼だけが、仮面のような弟の表情を読み取ることができるのだ。それでも後味の悪い夢のことは伏せておくことにした。
「なんでもありません」
「そうか。なら良いが。実は手伝って欲しいことがある」
彩衣鎮で水鬼が多発していると言う。叔父は清談会で留守をしているので同行することになった。
「おーい!藍湛!」遠くから叫ぶ魏無羨の声にビクンと硬直する藍忘機。玻璃のように薄い双眸の奥にメラメラと熱い焔が見えた。藍曦臣はいつになく落ち着きのない忘機の瞳の先を見て微かに微笑んだ。
魏無羨と江澄が一礼して声をかけてきた。「おはようございます、沢蕪君どちらへお出かけですか?」
「水の邪宗を治めに行くところだ。人手が足りないので忘機を呼びに来た。」
江澄と魏嬰は水鬼なら自分たちも役にたてるので同行させて欲しいと話している。
「結構だ、姑蘇藍氏も……」遮るつもりの藍忘機の言葉は届かず「助かるよ、では一緒に行こう」と兄の一存で同行が決まってしまった。
「なぜ、許したのです。水鬼駆除は遊びではありません。」
「江の一番弟子の彼とご長男はなかなかの評判と聞く。彼等も遊半分ではないと思うよ」
「………」兄は知らないのだ。魏無羨がいること事態が災いだと言うことを。
「それに、お前は彼に来て欲しかったんだろう?」
「……?」兄の言葉の意味がわからなかった。ポカンとした藍忘機ににっこりと微笑んで藍曦臣は言った。
「江の第一弟子の彼に、お前が来てほしそうにしていたから」
「……!」
(どういうことだ?私は…私は…?)
兄と言うのは不思議な存在だ。感情を表現する事に欠けている自分の内側をどういう訳か本人よりも正確に見抜く。母に対して一度も甘えたことがなかった藍忘機がいかに母を慕っていたかも兄だけはキチンと察してくれた。母が居なくなって受け入れられなかった時も、兄はそっと寄り添ってくれた。その兄が…。
(私が魏無羨に……)
「断じてあり得ません!」

_______つづく







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