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糖分の多い食事が、尿酸や腎結石を増やす

今回は、糖分を多く含んだ食生活が、プリン体代謝に悪影響を及ぼし、尿酸値上昇や腎結石の蓄積、さらには寿命の短縮につながっていることを示した研究を紹介します。

糖分を多くとる食生活が、肥満や糖尿病を引き起こすということはよくわかっていますが、実はそれだけではなく、尿酸値の上昇や腎結石の蓄積も引き起こしていることが明らかになってきています。

紹介論文

Cell Metab. 2020 Mar 16. pii: S1550-4131(20)30075-9.
Sugar-Induced Obesity and Insulin Resistance Are Uncoupled from Shortened Survival in Drosophila.

糖分を多く含んだ食事が、肥満や糖尿病、さらには寿命の短縮を引き起こしている

糖分を多く含んだ食事をとりつづけることが、肥満や糖尿病を引き起こすことは、多くの方がご存知のことだと思います。

また糖尿病になると、腎臓病や心筋梗塞など、様々な随伴疾患の誘発にも繋がり、結果として糖尿病患者の方の寿命が短くなることも分かっています。

ですが、糖分の多い食事が、実際どのように肥満の方や糖尿病患者の短い寿命とリンクしているのか、はっきりとは分かっていません。

高糖質な食事が、一体どのようにして肥満や糖尿病の方の寿命を短くさせているのでしょうか。

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高糖質な食事によって引き起こされる短寿命は、水分バランスの異常に起因している

今回紹介する研究では、糖分を多く含んだ食事が引き起こす短寿命は、肥満やインスリン抵抗性に起因するものではなく、水分バランスの異常に深く起因していることを、ショウジョウバエをモデル動物として用いて明らかにしています。

まず、ハエに高糖質な餌を与え続けることによって、肥満や高血糖、インスリン抵抗性など、2型糖尿病に典型的な症状が引き起こされることを確認しています。
そして当然、高糖質な餌を摂取し続けたハエは、通常の餌を摂取したハエに比べて、寿命が短くなります。

ですが驚くべきことに、高糖質餌を摂取したハエは、水分を十分に補給してやることで、寿命が通常の長さに戻ることが明らかになっています。
ちなみにこのとき、水分の十分な補給によっては、糖尿病の症状は改善していません。

つまり、高糖質な食事によって引き起こされる短寿命は、肥満やインスリン抵抗性などの糖尿病症状によって引き起こされているわけではないのです。

水分バランスの異常が、短寿命を引き起こしているのです。

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水分バランスの異常は、尿酸や腎結石の蓄積を引きおこす

またこの研究では、高糖質な餌を摂取したハエでは、血中の尿酸値が上昇していることを明らかにしています。

過去の研究では、ジュースなどの糖質を多く含んだソフトドリンクが、尿酸値の上昇と腎結石の蓄積を引き起こしていることが明らかになっています。

また多くの研究により、尿酸値の上昇と腎結石の蓄積は、心血管疾患による死亡のリスクと強く相関していることが分かっています。

よって、高糖質な食事によって引き起こされる短寿命は、尿酸値上昇と腎結石の蓄積に起因していることが示唆されます。

肥満や糖尿病になってしまうという観点から、高糖質な食事はほどほどにすべきと考えられていますが、尿酸上昇や腎結石などにつながるプリン体代謝という観点からも、気をつける必要がありそうです。


今後も分かりやすい、簡潔な記事を心がけていきます🙇🏻‍♂️