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取材チームのない自分は、その苦労をも楽しむつもりで、頑張る! -⑲

 安部龍太郎の「等伯」を読んで、そのあと上田秀人の「百万石の留守居役」を読み進めている。いずれも、「長谷川等伯」を物にするための資料だと思って読んでいる。しかし、「等伯」では、直木賞作家の実力のすごさを思い知らされ、自分自身の文章力の無さに絶望的に落ち込んだ。さらに、加賀藩の江戸時代初期を舞台にした「百万石の留守居役」を読んで、その知識の細かさ、広さにさらに打ちのめされてしまって、立ち上がれそうになくなってしまった。
「等伯」については、前回、その実力に打ちのめされたことを書いた。今回は、「百万石の留守居役」のすごさについて。
 この作品は、幕府の組織に関する知識の緻密さ、そして、加賀藩の仕組みに関する資料の使い方。それのいずれもが、徹底されていて、よくもここまで調べ上げたなという、その調査力のすごさに脱帽させられた。
「百万石の留守居役」は全17巻で完結。幕府の組織、江戸城の内部の間取り加賀藩の組織など、よく調べあげてあると感じた。
 安部の「等伯」は日本経済新聞で連載されたものである。だから、資料集め等では、新聞社のスタッツがアシストしたであろうことは想像できる。さらに、執筆のためにどういう取材を行ったかを書いたエッセイで、その大まかなところがわかった。
「百万石〜」では、講談社の方で、資料集めや時代考証のための取材チームが組まれ、さらに主要な歴史学者や研究者に、作家本人が会って取材したであろうことは想像に難くない。でなければ、幕府の組織や加賀藩の組織などを書き込むことはできないであろうと思われる。いい作品を書くためにチームを組むことができる環境にある人が、羨ましい。
 そうは言っても、無いものは無いのである。無いものをねだったところで、どうにかなるものでも無い。手持ちの物で戦うしか無い。人手のない部分は、自分の時間をかけるしかない。思っただけで気が遠くなりそうだが、決めたのだから、やり切るしか無い。それも楽しみの一つだ、と発想の転換で乗り切るしかない。

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カゲロウノヨル
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