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夏休みにぜひ!大学の研究者に聞いたおすすめ自由研究テーマ

夏は、研究。夏休みも中盤ですが、自由研究は順調でしょうか。

夏休み前から決めていたテーマを着々と進めている人、実験はしてみたけれどどうやってまとめたらいいか分からない人、そもそも調べたいテーマが見つからない人、いろいろだと思います。

わたしたち「かがやくサイエンス」は、理系の総合大学・東邦大学内のプロジェクトなのですが、大学には研究者がたくさんいます。自由研究の悩み事は、プロである研究者に聞いてみるのが一番のはず。という訳で今回は、研究者である大学の先生方に「先生の専門分野で、中高生におすすめの自由研究テーマは?」と尋ねてみました。

研究テーマに悩んでいる人もそうじゃない人も、ぜひ見てみてくださいね。


たまごの観察|理学部 生物分子学科 吉田彩舟先生

スーパーでたまごを買う家庭は多いと思います。調理用なので何日おいても育つことはありませんが、有精卵だったら話は別です。この夏は有精卵のたまごを手に入れて、ヒナが育っていく様子を観察してみては?

有精卵は、殻の上の部分だけをうまく削り取ると、「胚」と呼ばれる殻の中の赤ちゃんのからだ全体がどのように育っていくのかを観察することができます。

よく知っている生卵の状態から、どんな変化を経てヒナとして生まれてくるのか。これは、吉田先生がお子さんとしてみたい自由研究でもあるそう。発生学の世界に触れてみてください。

観察方法等はこちらが分かりやすかったです▼


吉田先生の研究室では哺乳類の発生のメカニズムを解明すべく研究を進めて、がんなどの薬に活かすことを目指しています。


食品の抗酸化能調べ|理学部 生物学科 松本紋子先生

「抗酸化作用」がある食べ物はアンチエイジングに効く」といった話を耳ににしたことがありますよね。

抗酸化能とは、酸化を防ぐ能力のことなのですが、私たちのからだは、酸素を使って活動に必要なエネルギーを作っています。その際エネルギーと一緒につくられる活性酸素は、老化や病気の原因になってしまうのです。

この研究で食品ごとの抗酸化能を調べて、抗酸化能の高い食べ物を意識して摂るようにすれば、皆さん自身の病気予防などにつなげられるうれしい効果も。PPPHという試薬と吸光度計があれば調べられるそうです。チャレンジしてみてくださいね。

松本先生が専門にしている生化学は、生物のからだの中でおこっている現象を、化学的に解き明かす学問です。理科の授業でも薬品を混ぜて化学反応を観察したことがある人は多いと思います。この実験に関係する酸化や還元もからだの中で毎日起こっていて、それで生きていられるのですね。体の中の化学、調べてみてはいかがでしょう。


松本先生は、加齢や疾患で起こる体内変化を解き明かし、将来病気の治療に役立てようと研究を進めています。


薬の成分調べ|薬学部 薬理学教室 小原圭将先生・吉岡健人先生

服用したことのある薬や家に置いてある薬、どんな成分が入っているかよく見てみたことはあるでしょうか。薬のパッケージに注目し、何が入っていて、どんな効果が期待できるものなのか、調べてみるのは薬学の世界の入り口としておすすめです。

たとえば風邪薬は、熱・のどの痛み・鼻水など症状に合うものが処方されます。熱を下げるための薬ならどんな成分が共通しているのか。それは、からだの中でどんな風に働いているのか。眠気などの副作用の正体はどの成分なのか。

一度調べてみると、これからの薬との付き合い方が少し変わるかもしれません。


臓器の観察|薬学部 薬理学教室 小原圭将先生・吉岡健人先生

こちらも薬学につながるテーマ。内服薬の多くは、胃でとけて小腸で吸収されます。そのため薬学部では、薬の効果を学ぶために動物の腸管を使った実験・観察をすることもあるそう。という訳で、薬が吸収される小腸の観察を、みなさんもこの夏してみませんか?

お肉屋さんなどに行くと、ホルモンなど食用の腸を手に入れることが可能です。ちなみに、薬学部で実験に用いるもの食肉用の臓器なのだそう。

腸以外の臓器も合わせて、時間の余裕がある夏休みにからだの作りを観察してみるのはいかがでしょう。


小原先生・吉岡先生が所属している薬理学教室では、薬物が結合する部位「受容体」について探っています。受容体とは、消化管や血管にある薬の鍵穴のようなもの。受容体の研究が進めば、副作用を抑えることも可能に。将来これを治療に役立てるべく研究を行っています。


ナンプレを連立方程式で解いてみる|理学部 情報科学科 土谷昭善先生

数学への理解を深めるために、数字を使ったパズルゲーム・ナンプレを数学的に解いてみるのもいいでしょう。

自然数の割り算は小学校で学びましたね。自然数の割り算は、余りと商が必ず存在し、その答えは一つしかないと定義できています。割り算の答えを見つける方法(=筆算アルゴリズム)が定義できれば、ナンプレだって連立方程式で解くことだって可能です。

1つのナンプレは、約1000個の連立方程式を解くと答えが分かるそう。
…1000個の!連立方程式!

気が遠くなりそうな数ですが、解けたときの達成感は間違いなしです。

土谷先生が資料をこちらのページにまとめてくれています。ぜひ見てチャレンジしてみてください。


土谷先生は「凸多面体の代数的組合せ論」「組合せ論的可換代数」の研究を行っています。数学的な知識を生活の中で使うことはそう多くありませんが、事実や仮定から矛盾や飛躍のない道筋をたどり、結果を得る論理的な思考は非常に重要です。論理的思考を身に付けたい方には数学が近道になります、ぜひ覗いてみてください。


スペシャル|ブルーバックスの本を読んでみる

数学の基本は、様々な現象を数学的に定義して、数学的言語を使って抽象化・拡張すること。そしてそれが成り立つ法則を見つけて証明するのが数学者の研究です。高校までの計算して答えを出す数学とはやはり違いがあります。

研究はなかなか難しいけれどもっと数学の世界を知りたい!という場合はどうしたらよいか土谷先生に尋ねたところ、本や専門の雑誌を読んでみるのがおすすめと教えてもらいました。

数学はもちろん、自然科学の広いテーマを扱っているブルーバックスの本は中高生でも読みやすいです。理系分野で研究してみたいテーマを探すためにも、こういう本を読んでみるのはおすすめです。

土谷先生のおすすめは下記の2冊。

他にもおもしろそうと思った理系分野の本を、いろいろ手に取ってみてくださいね。


まとめ

以上、東邦大学の5名の先生方に教えてもらったおすすめの自由研究テーマは下記の通り。

  • たまごの観察

  • 食品の抗酸化能調べ

  • 薬の成分調べ

  • 臓器の観察

  • ナンプレを連立方程式で解いてみる

  • スペシャル:ブルーバックスの本を読んでみる


参考にして、この夏休みは理系分野の奥深さに触れてみてくださいね。



東邦大学のプロジェクト・かがやくサイエンスでは、中高生にもっと理系分野に関心をもって様々なことにチャレンジしてほしい!と様々な発信をしています。noteや他SNSをフォローして、次の情報をお待ちください!

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