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こだわりの強い子どもへの新たな学校のアプローチ#4

こだわりが強い子どもたちは、日々学校で困難を経験します。みんなで学ぶ際に合わせること、他の子どもたちとうまくやっていくことなど難しい場面があるかもしれません。そして、その困り感をうまく自分でコントロールできず、人との関わりを断たれることも・・・。今クラスの半分は何かしらの支援を要すると言われることもあります。子どもたちがのびのびと学んでいける、自分たちで困り感を解決したり、折り合いをつける力をつけることが、子どもたちの未来をよりよくすると私は考えています。もし自分のクラスで、または自分の子どもで少し気になるなという方は新たなアプローチを模索する機会と考えるべきです。この記事では、どのようにして学校でこだわりの強い子どもたちをサポートするのかということを、提案していきます。

こだわりの強い子どもの課題

こだわりが強い子どもたちは、自分の考えや、習慣に固執し、新しいアイデアを考えたり、ルールの適応が困難なことがあります。そういった子どもたちは学校という環境において、生きづらさを感じることもしばしばあると思います。
実際にこだわりの強さが原因でトラブルになることもあります。
例えば、学校での遊びの定番、鬼ごっこでは、鬼にタッチされていても「タッチされていない!」と言い張って、まだ逃げることも。これは負けたくないというこだわりだったり、自分なりのルール(指先で少し触れるのはセーフ、走りの速いこのタッチは無効など)で判断していることがあります。そういったときに先生に指導をされて変わる子もいれば、それでも変わらない子も。しかし、先生の指導で変わった子も、後日先生という指導者のいない場所ではまた同じようにこだわりが強くなり、周りから嫌がられることも。ルールを守れないと周りから嫌がられるということは考えればわかることも、それができない。それが続けば場合によってはいじめに繋がる可能性もあります。こだわりの強い子どもが少しでもクラスでのびのびと過ごすためにできることを紹介します。

こだわりの強い子への対策

私の記事を読まれている方は対策と言われると薄々感じていると思いますが、そうです。ボードゲームです。
ボードゲームとは、オセロや将棋、人生ゲームはもちろんですが、私が主に指すボードゲームは最近で言うと、ナンジャモンジャや人狼、はぁっていうゲームなど短時間でサクッと遊べるものを指します。(ボードゲームには40分以上かけて遊ぶものもありますが、学校現場での活用は困難なため、今回は省きます。また、オセロや将棋は運要素のない実力のボードゲーム、人生ゲームは実力のない運要素のボードゲームと考えています。)
ボードゲームはただ楽しいだけでなく、教育的な利点も多く持っています。例えば、論理的思考、戦略的計画、そして問題解決のスキルなど。またボードまたはカードなどを使って、みんなで輪になり、共同作業を経験し、他のプレイヤーと何度も何度も意思疎通をします。さらに、短時間の中に、ゲームの構成の中で予想外の事態への対応があったり、失敗からの立ち直りが必要な場面では子ども達の適応力が試されたり、さまざまな状況を自ら、または仲間と解決していくことが求められます。これら全てが、こだわりの強いこどもが新しい状況や変化に対応する能力を養うために重要な要素となります。


学校の課題

今の学校の課題は私は多忙すぎる、自由度のなさだと思っています。
学校は授業はもちろんさまざまな行事、会議、子どものトラブル対応、授業準備、保護者連絡など多忙を極めています。またこの多忙の中今までの時代に合っていないルールを変えようと行動しても、他の先生から賛同されなければなかなか変えることができず、結局疲弊して変えることができないということが多々あります。私が今までいった学校には長い休みは必ず外に出るというルールがあ理ました。私はこのルールが正直嫌いです。子どもの中には外で遊びたくないという子がいて、その子達を無理やり外に出さなければなりません。もちろん小学生のうちに外で遊ぶ習慣をつけることで健康な体を作るということはわかりますが、ルールというだけで、無理やり出すということには納得できません。また私がボードゲームにこだわる理由に、勝ち負けが実力だけでなく、運の要素もあるというところにあります。例えばドッジボールは投げる、キャッチするのが上手い子が活躍し続けるようになっています。鬼ごっこは走るのが速い子が活躍し続けるようになっています。ここにこだわりの強い子どもは苦しみます。ドッジボールが苦手な子にとっては、試合に勝ったとしても、自分は足を引っ張ってしまったとなってしまいます。もちろん努力すればうまくなりますが、その悔しさを何度も味わうなら、違うことをしようとなってしまいます。
学校のシステムが子どもを苦しめていることもあるのだと思います。

大人の課題

私は子ども2人の親です。子ども同士がケンカをしたとき、ついお互いを謝らせることがあります。「ごめんね」「いいよ」というものです。でも実はこれは本質的ではないです。大人が間に入って無理やり謝らせることは簡単です。その場はおそらくすぐにおさまります。しかし、また数時間後にはまた同じようなことが起こります。それは相手を理解していないからです。大人が介入すれば「怒られる」という防衛本能が働き、子どもたちはすぐに謝ります。そうではなく、相手が何に対して怒る人なのか、また自分はどういうところが許せないのかをしっかりとお互いが学んでいくことに、本質があると私は思います。
それをするにはそういった気持ちを話し合う時間、またそういった状況を何度も経験する必要があります。
〇〇ちゃんと仲良くしてほしいから先生もウチの子がそうなれるようにサポートしてあげてくださいという保護者の方がいますが、これは子どもの内面操作になり、その子はよくなるかもしれませんが、その子を王様のように扱って、周りが我慢するような状況になれば、今度は周りの子が苦しい思いをします。
子どもの関係に大人は介入しないことが大切です。大人はいかに子どもたちが自分たちの力で関係を持てる、失敗をしても大丈夫、何度も挑戦できる環境を用意することが大切です。そう!その最適なのがボードゲームです!

学校や家庭でのボードゲーム活用ガイド

ボードゲームは子どもたちの学習体験を豊かにし、同時にこだわりの強い子どもたちをサポートする効果的なツールとなります。
まず、ボードゲームを選ぶ際には、子どもたちの年齢や興味に適合するもので且つ、短時間(5分から20分以内のもの)であることが重要です。そういうものがわからないという方は次の見出しで具体的なボードゲームを紹介します。
ゲームは楽しい時間を作るだけでなく、子どもたちに挫折感を経験させたり、競争する機会を与えることで、自己調整能力や耐久力を育てます。ただボードゲームをやり続けるだけでももちろんそういった力はつきますが、プレイ中、もしくはプレイ後のフィードバック(振り返り)をすることでより効果的に、学びが増えます。
例えば、こだわりの強い子がプレイ中に固まってしまった場合、どうして固まってしまったのかを一緒に確認しながら、周りにもその子が今どういう状況なのかを説明してあげて、受け止めてあげようと声掛けをしてあげましょう。また固まった子にもみんなが受け止めてくれたよ。でもみんなも我慢してくれたからありがとうって気持ちを持ってねと他の子への気持ちも汲み取れるように話しましょう。それがお互い相手を理解する経験につながっていきます。
またプレイし終わった後も、それぞれの気持ちを聞くことで、相手がどう思ったのかを振り返ることで、プレイ中はわからなかった相手の考えを知ることができます 。こういったフィードバックがこだわりの強い子が変わる経験に、周りがその子を理解する経験になります。この経験が多ければ多いほど、成長するチャンスが多いということです。あとは大人も一緒になって全力で楽しむことが大切。

おすすめボードゲーム

ハゲタカのえじき(メビウスゲームズ)
プレイ人数:2〜6人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間20分
説明書には年齢は8歳以上、20分と書いていますが、大人が1人いればもう少し年齢が低くてもできます。また慣れれば20分もかからず10分弱でできます。

【ゲーム内容】
1(弱い)〜15(強い)の書かれたカードをみんな一斉に1枚場に出し、周りと被らずに一番強いカードを出した人がポイントを獲得していくゲームです。
相手がどのような数字を出すのか、自分が勝負に出るタイミング、弱いカードをいつ出すのか、相手が今までどんなカードを出し、何が残っているかなど、単純なゲームなのに、ものすごく考えます。またこのゲームのいいところが、考えなくとも運要素で勝てることも多々あります。プレイの中に勝ち負けが何度もあるので、一つの勝ち、負けにこだわることも少ないのがこのゲームの特徴です。

【このゲームの良さ】
このゲームで小さな負けをたくさん経験することができる。また、たくさん負けてもポイントの高い場で勝てば逆転ができる。(次に切り替えることに気付ける)。みんな毎回同時にカードを出すので、待ち時間が少ない。ポイントポイントごとにフィードバックもできる。ただし、子どもが楽しんでいる場合はフィードバックを入れると逆効果にもなるので注意。
フィードバックの例(子どもによってさまざまであるが、参考程度に・・・)
・「素晴らしい戦略だね!どうしてそれを選んだの?」・・・子どもが新しい方法や戦略を試すことを推奨します。
・「今回うまくいかなかったかもしれないけど、失敗から学ぶことは大切だよ!次はどうやったら勝てるかな?」・・・失敗を学習の一部として受け入れることを助けます。
・「他の友達と一緒になってゲームを進めて、すごく強力的だなと感じたよ。」・・・他者との協力の重要性を強調します。
・「他の人を待つことができて、本当に我慢強いなと感じたよ。」
・・・自己制御と忍耐力の価値を伝えます。

もしボードゲームを買うのはまだ躊躇するという方は普段の日常の中に「負けるが勝ちじゃんけん」を取り入れるといいと思います。
こだわりの強い子は、勝ち負けにすごく敏感です。自分が負けることが認めることができないこともしばしばです。日頃から負けることに慣れるために、負けることが勝ちというようなルールをいろんな場面で活用しておくと、負けることに対しての抵抗が少しずつ和らぐこともあります。

まとめ

こだわりの強い子だから、これはやめておこう、この子には違うことをさせよう、というようなことは一時的にその場はうまく行くことはあると思います。しかし、それは教育の本質ではないです。もちろん現場では35人一人一人に手厚く教育的アプローチができるかといえば、なかなか難しいと思います。ただ、ボードゲームは自ら学ぶ、仲間と共に学ぶ、経験することができる素晴らしいツールです。なかなか学校現場にボードゲーム一つを置くことさえ難しいとは思います。支援教育という観点からならボードゲームも学校現場に置く可能性も出てくるかと。実際に学校の教材カタログ等に近年ボードゲームが追加されています。またそういった小さな行動から波紋が広がるように、教室にボードゲームが当たり前に置かれる未来になればと思います。

ちなみに、今自分でボードゲームを作っています。自分の夢は上記に書いたように教室にボードゲームが当たり前に置かれる未来です。そのために今自分の構成で、印刷さえすれば誰でも遊べる著作権フリーのボードゲームを作っています。そのボードゲームさえあれば、現場でよく言われる「あなたのクラスだけ・・・」という平等性もクリアできると思っています。それがまた浸透すれば、きっと市販の素晴らしいボードゲームも学校現場に活用され、今回紹介したこだわりの強い子や、それ以外にさまざまな困り感を持った子への新たな教育的アプローチにつながると私は考えています。

まずは我が子や、自分のクラスの子達にボードゲームを使って遊んでみてください。

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