ICTは生徒の学力を向上させるのか?
多くの都道府県で休校が5月末まで延長される中で、広島県の教育委員会は全県をあげたオンライン学習環境整備へ乗り出した。公立学校におけるICTの導入方法やスピード感は足並みがばらばらであるが、これをきっかけに全国的にオンライン学習の機会が広がることは間違いない。
そのことを海外の知り合いの研究者に連絡したところ、彼女のリサーチではインターネットを活用しても学力の向上は見られないという結果が出ているという。
現段階のインターネットによる学習環境整備はあくまでも学習機会の確保で学力向上を目指しているわけではないけれど、この環境変化が生徒の学力へどのような影響を及ぼすかというのは興味深いところ。
情報量が多く、楽しみながら学べるという意味ではインターネットを活用した授業で生徒が賢くなっているという記事も多い。
しかし、あくまでもインターネットはツールである。それも21世紀を生き延びていく生徒たちには欠かせないスキルを学ぶためのツール。インターネットを活用して以前書いた学びのモードをバランスよく取り入れたり、個の学びやすさやペースで学習を進めることが大事なのだろうと思う。
アメリカにいた時に一緒に日本語を教えていた先生が「日本語を学校で学ぶだけでなく、私の授業をとればテクノロジースキルも身についたと思って欲しい」と話していたのを思い出した。テクノロジーが公教育の表舞台へ現れる中にあって、教員に求められるのは教科の知識だけでなく、授業を通して社会が必要とするスキルが生徒に身につくようそれに付加価値をつけること。
これからインターネットを使用した学校運営や授業活動が本格化する中で、インターネットとを使うことが教育の目的なのではなく、インターネットリテラシーを伸ばしつつ、ポストコロナを生き延びる力を備えた生徒の育成が目標であることを忘れないよう、ここにメモしておきたい。