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過去11年間で最高の授業とは②

それは今まで教えた中でも最も手がかかったクラスでした。チャイムがなっても立ち歩き、座らせて挨拶するのに10分。授業が始まっても私語ばかり。聞いているのは2、3人と行ったところです。教科書も筆記用具も持ってきていない生徒もいるし、教科書を開かせるのにも何分もかかります。勉強をする以前にせねばならない事がたくさんあり、「学級崩壊」という言葉が当てはまったかもしれません。でも、一人一人は可愛い子たちなのです。

「どうしてこの子たちは、学校にきているのに勉強しようとしないんだろう。」

学校は楽しむため。友達に会うため。親に卒業しろと言われたから。卒業して仕事するため…など理由は色々とあるにせよ、どうして学力をつけることを諦めているのだろうか。

生徒に話させてみよう。そう思った私は「なぜ英語を勉強したくないのか」をグループで考え、発表させる事にしました。すると、あんなに授業に対して後ろ向きだった生徒たちが、意気揚々と話し合うではありませんか!いつものワイワイガヤガヤが、授業の音に変わり、スルスルと意見がまとまりました。話し合った事をどの班もクラスの前で発表を行いました。発表する姿も堂々としたもので立派です。

「なんて素晴らしいんだ!」私は感動しました。

彼らの発表内容をまとめると「英語の授業を勉強しても実生活で使えない」「もっと使えるものなら勉強したい」と言ったものでした。彼らは分かっていたんだ。教科書に載っている長文を読めたところで日常会話すらままならない日本人を育てているのが日本の英語教育であることを。彼らの態度は「そんな面白くない授業受けたくない」と言う意味だったんだなぁ。ごめんなぁ。もっと面白い授業、使える英語の授業、飽きない授業できる先生になろう。

それが9年後の今の私の授業スタイルを支えています。もっと面白くできると毎日思うたびに、この授業を思い出す。教えてくれてありがとう。生徒に感謝。ありがとう。

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