マトリックス4 リザレクションズを観て〜それはトリニティの物語〜
私はマトリックスが好きである。
1999年公開のマトリックスは、公開から1年以上経ったのち、自宅のテレビで見たけど、あのアクションは異常なほどにかっこよくて、これを映画館で見てしまったらどうなっていただろう?と真剣に考えてしまうほどの迫力であった。
こうして2000年以降にようやく目覚めた私は、マトリックスにどっぷりとのめり込んでいくのである。
マトリックス好きには他にも理由がある。
私が当時好きだった男の子がマトリックスをとても愛していたのだ。
彼のお母さんはまじでトリニティそっくりのメチャクチャカッコいいお母さんで(私も授業参観で惚れたよ)彼ははそのトリニティのように壁を走ろうと練習していた。
もちろんネオの弾丸よけリンボーダンスもやっていた気がするけど、それは他の男子に任せていたようで、小学生の頃の彼はいつも壁を走ろうと、その脚で懸命に壁を踏み締め蹴っていた。
↓小学生の彼とのエモい思い出はこちら。
ああ懐かしい記憶。
人間というのは好きな人が好きなモノを好きになるようにプログラムされているらしい。
私はSFなんて好きじゃなかったけど、彼が好きだから好きになろうとした。あの頃授業中に、借りてきたSF小説を紹介してくれた彼。
全部全部遠い過去の宝物。
そんな話はどうでもよいのだが、とにかくSFなんて興味なかった私に、SFを感じさせてくれたのがこのマトリックスである。
というのも私の母が、とにかくハリウッド映画、なかでもアクション映画が大好きで
「金払って映画館で見るなら、金かけて作ったハリウッドに限る!」
という現金な価値観の持ち主で、とにかく現金趣味だったため、私も映画イコールハリウッドと英才教育を受けた。
だから
12歳にしてレイトショーは当たり前
のように見にいっていたし(当時は色々な規制が緩く、保護者同伴なら夜遅くの外出も、そこまで咎められなかった)それになにより、母はとにかくお得に見られるレイトショーが好きだった。
だから私はそんな母のお供として、喜んで映画を見に行っていたのだ。
そんな私でも、マトリックスは相性よく見られる映画だった。
なぜなら細かい設定は意味不明でも、
アクションがむちゃくちゃカッコいいから!!
あとはマシーン対人間という分かりやすい構図の戦いでもあったため、大まかなストーリーは誰にでも分かりやすく(細かい設定は本気で分かりにくいよ)とにかく細かい事に目をつむれば、むちゃくちゃカッコイイー!!!となる非常にクールな映画なのだ。
で、今作の
リザレクションズである。
まず、見る前にあたって予習はしておいた方がいい。最低でも初回作だけでも見ておいたほいがいい。
なぜならば
小ネタ満載だからだ。
何度でも言おう。
小ネタ満載だからだ。
まず、映画始まってすぐに初回作のシーンが出てくる。
うわーコレコレこのシーンだよと、私は映画館で口に出していた。多分。
まあそりゃそうだよね、久々に最新作作るんだもん。過去の要素は出しますよね。
あぁこれか!!これなのか!!と話が進むたびに興奮する。
ちなみに今作もトリニティで始まるので要チェックやで。
まぁ〜とにかく小ネタ満載ですよ(しつこい)
ウサギに、赤と青の薬。それから衝撃的なシーンのあれこれ達。笑わせてくれるな〜と往年のファンなら大喜び。きっと見れば見るほど色々出てくるとは思うので、もう一度映画館に行くかと悩ましい。それくらいに、とにかく楽しい。
とはいえ、予習しなくても見ることは可能。
前回作はこうでしたよーとご丁寧な解説も出てきますし、あぁ成る程、と分かりやすい。
…いや、違うな。
やっぱり予習すべきだな。
あの世界観訳わかんないし、今回は決してアクションスゲーでモノ言わせる映画というわけでもないので、とりあえず1だけは予習復習してほしい。
そうすれば大まかな世界観は理解しやすくなる。
実は前作と今作で、大きく変わった点が一つある。それは
監督が女性になったことだ。
あ、そうなんだ。
じゃあ監督誰?って思うでしょ??
変わってないんだよ
それが。
え、何言ってんのオマエって思ったでしょ。
そうだよ、私は事実をいっているだけ。
ウォシャウスキー兄弟はウォシャウスキー姉妹へと性転換したのだ。
私も詳しい事情は知らないし、そんなもの本人しか知らないと思うが、とにかくかつて監督であったウォシャウスキー兄弟は姉妹になった。
また、今作では妹は制作には関わっておらず、ラナ・ウォシャウスキーのみがクレジットされている。
私は性転換、というものがどんなものか知らない。きっとそれなりの肉体的な痛みは伴うだろうし、精神的な苦痛もあろう。彼女達は著名な人物でもあったから、精神的にもタフでなければいけない。でもそれらを乗り越えて、真の自分を会得した監督はカッコいいのだ。
そしてそんな監督の価値観が表れている今作の映画は、やはり素晴らしく、そして前作達とは趣が異なった。
スクリーンに映し出されるその空は明るかった。
鳥達が群れをなして飛ぶのを毎日のように見る、繰り返される日。
全てが順調に繰り返される日々。黄金色の朝日。でも、なにかがおかしい。
そう思って彼女は過ごしたのだろうか。
だから空を虹色に塗りたいと、トリニティに言わせたのだろうか。
今作の主役はネオじゃない。トリニティである。
トリニティ役を演じたキャリー・アン=モスは、地に足のついた役柄を演じるのが好きと話していた(よりにもよって、ホラー映画出演のインタビューで)
確かに。確かにそうなのだ。
トリニティはいつだって地に足がついていて、救世主と言われたネオよりも、常に覚悟が決まっていた。唯一地に足がついていなかったのはそう、ネオに恋をしていた時(多分)
撮影時のメイキングビデオなんか見ていると、キアヌもキャリー・アン=モスも、口数が少ないイメージ。
無口(そうな)2人が演じることで、言葉がなくても通じてしまう感覚が、とてもリアルに感じられる。
今作で、抜群の強さを感じさせるのはトリニティ役の、キャリー・アン=モスだ。
彼女は第1作から2作目の間にお母さんになったのだが、私も母になっていた。
だからですね、また!仮想現実に繋がれてしまったトリニティが、すっかりお母さんとして別人のようになっていて、それでいて優しくて、キレると怖い(トリニティは短気だよ)というのは、まさに母のリアルで納得。
それをを随所に表しながら、ほぼ別人になってしまった感のある、ボウボウボサボサのキアヌと親しげに話すのは、むちゃくちゃ違和感あって面白かった。
ウン、キアヌの素が出てるゾ!(あと妙に日本文化に馴染むキアヌも素だと思うの)
前作までは、キアヌリーブスが主演の映画だったのだけど、今作見てようやく気がつくんですよね。
本当の主役はいつだってトリニティだったと。
ずっとずっとネオを信じ続け、そこについて走り続けたトリニティ。
でも、よくよく考えたら彼女の方が先に目覚めていて、ネオのその目を覚まさせるのも彼女でして、彼女なしには話が進まないのですよ。
だからですね、ラナ監督も気が付いたんじゃないでしょうか。
今作を作るにあたって過去作を見たらば
「あれっ、これ主役トリニティじゃね?」
と。
と言うわけで、この映画は
小ネタ集
と
いい感じに歳を重ねてる
キャリー・アン=モス(トリニティ役)
を鑑賞する映画なのである。
そうか、監督も女性になって、女性の本当の強さに気が付いちゃったんだね、と感じる。
トリニティは強かった。いつだって強かった。
そう思い出させてくれる映画なのだ。
あっ!そうだ。
女性といえばナイオビも出てきます。
さりげなくゲーム版のエンターザマトリックスではゴーストと一緒に主役を張った彼女も健在でかっこよかったです。
ナイオビ役の方といえば、ご結婚相手はウィルスミスさんなので、うわ〜めっちゃセレブーとつい思ってしまう。
今作ではそんなことは微塵も感じさせない演技ではありますが。
そう、ナイオビも強かったですよね。
変わらないものもある、と言いきってザイオンを救いました。彼女に惚れた方も多いのではないでしょうか。
何にせよ、女性はつよい。
そんなことを感じさせられる映画です。
過去作が好きだった方には是非とも見に行っていただきたい映画の一つです。
きっと過去が塗り替えられること間違いなし。
性別を超えて、あらゆるものを超越して。
そんな映画です。多分ね。
※ダラダラ書いていたら今頃公開になっちゃった!でも読んでくれてありがとう。
マトリックス4を見ていないみんなは、今すぐ映画館に急いでね!!
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