子守歌
“ゆりかごのうた”
生まれてからずっと聞いていたね
今は君が歌いだし
ぼくが声をかさねる
ほら電線に三日月が掛かった
夕焼けに飛び立った蝙蝠が
藍色の夜に出逢うころだ
君はぼくの肩に
頭をもたせかけ
段々に降りてくるまつ毛を
ときどき持ち上げようとする
そうして
ふわりと夜が降りてきて
くるりふたりを包む
君の
小さな手と足
考え深そうな目
くすぐるとコロコロと笑う唇
ぼくは
しあわせな重みを
腕に抱きとめる
そうして
ゆるりと進むぼくの足音
ひらりふたりの影が重なって
ちいさな子守歌をぼくはくちずさむ