読んだ:教養としての猫
良著でした。
わたしも猫と暮らしているので猫の飼育書やギャリコの小説などを嗜んではいるのですが、日本の猫本ってネコは2、3歳ていどの知能っていうのを拡大解釈して「日曜の朝にNHKでやってそうな漂白されきったアニメに出てきそうな無垢でけなげな三歳児」みたいな扱いしてるやつばっかりで苦手なんですよね……
ネコはネコという種族で別の価値観をもっており決して人間の幼児とおなじではないし、人間の幼児だって尊厳がある。
なので今まではジャクソン・ギャラクシーの本しか納得できてなかったんですね。ネコのプライドを守って飼育する、ということを軸にしてる。他の本も知識だけは拾ってたけども。
そして今年初めて二冊目が加わりました。
タイトルに違わず、「教養として」です。
進化学からの猫のなりたち(犬と同じ祖先だとは思わなかった!)、進化を根拠にする習性、いろんな実験で判明した性質、外科・内科的な知識、猫の言語学、世界史の中の猫、日本史の中の猫。
これらがしっかりと、わかりやすく、でも過剰にキャワワなねこたんの絵ではなくかわいさとクールさが同居するイラストに令和的くすみカラーで構成された紙面で、知識欲的にもデザイン参考本的にも最高〜〜〜〜〜〜でした。
他の猫本だとほとんどを占めてそうな「飼育のための向き合い方」みたいなのが最後にすこーーしだけ載ってるのもいい。でも核は抑えてる。
知らないことも知ってたこともたくさん載ってて満足です。
以下知らなかったり知ってたりしたことをざっと箇条書き。
猫の本来の体毛はキジトラ
緑色に光る猫が開発された
猫の体毛の遺伝学
猫の目が緑になる理由
猫が空中で体勢を立て直すメカニズムは近年解析され、宇宙飛行士の訓練に取り入れられている
猫フェロモンは5種類(猫飼うようになってから野良猫との遭遇率異様に上がったんですがこれうちの猫のフェロモンがついてるからかもしれない)
猫の色覚と視野
猫は前歯の裏側にも匂いを感じる器官がある
母猫に教わらないと獲物の仕留め方がわからないしネズミを食物とも認識できない
江戸時代まで猫は高級品なので農家でシェアしてた
硯箱の蓋に砂を入れた猫トイレの浮世絵、完全に「今」と同じ
ホワイトハウスの歴代猫一覧
ツイッターで見かけて反射で紙で買ってよかったです。ためになるしたのしいいい本でした。たまには新刊もいいもんだ。