ヴァレンタイン
冬を、逆手で握って、ふりあげて、
自分の太腿に突き立てるとあらわになる
春の温度
青空にも、驟雨にも、嘘をつかれているようで、
でも、もともと地球は宇宙しか見ていないというような
温度
温度だから実体なんかなくって、
体感した事実だけが、私の手の中にある
自分の骨を、有害な男らしさで打ちつけて、
舞う粉塵を吸い込んで、くしゃみが出る
思ったより危険度が高くて、
もうひとつ出る
胃から這い上がる溶けかけのイモムシみたいな、
温度をかきわけて
玩具を取り出す
辞書に載っているような、工業製玩具ではなく、
いつかの夕暮れのなかで見たことある玩具
辞書を参照すれば、
暴力的に、独り言へと変えられる玩具
私は幼い
いつまでも積み木遊びをやめられない
私は血を固めてチョコをつくっている