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浅倉秋成『家族解散まで千キロメートル』書店員さんの感想まとめ

2024年3月に発売となった浅倉秋成さんの『家族解散まで千キロメートル』。張り巡らされた伏線と、突きつけられる「問い」の衝撃に、思わず誰かと語り合いたくなる1冊です。

本記事では、全国各地の書店員さんからいただいた感想コメントを一部抜粋してご紹介します。

※本記事に掲載する感想コメントは、2024年5月2日にカドブン(kadobun.jp)にてご紹介したものです。


■ あらすじ

〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。
どんでん返し家族ミステリ

実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?

■ 書店員さんの感想まとめ

▼ 思わずホロリとさせられる至極の1冊

家族の絆とは、家族愛とは?
様々な疑問を抱えながらも思わずホロリとさせられる至極の1冊です!

BOOKSえみたす 大口店
近藤さん

▼ 一番身近に居る存在だからってお互いのすべてを分かっているとは限らない

家族の在り方について考えさせられた気がします。
一番身近に居る存在だからってお互いのすべてを分かっているとは限らないし
逆に自分の思う相手の想像を当てはめてしまったり。

ご神体を無事に神社へ返すだけのストーリーかと思っていたのにそれだけじゃない家族の在り方の壮大なストーリーでした。

椿書房
牧野さん

▼ 一度ハマってしまうと抜け出せない面白さ

ロードムービー+小津安二郎 という離れ業!
ハラハラさせつつも伏線がそこかしこに張られていて、最後は納得のエンディングを迎える。軽妙でありながらも深読みさせるセリフはさすがの一言。
一度ハマってしまうと抜け出せない面白さ。

HMV&BOOKS OKINAWA
中目太郎さん

▼ 自分の選択に自信を持つための勇気をもらえる

迫るタイムリミットと、縮まっていくゴールへの距離に手に汗を握りながら読み進めました。
進学・就職・結婚など、節目となる出来事の前に読んでおいてほしい一冊です。
自分の選択に自信を持つための勇気をもらえると思います。

紀伊國屋書店学習院大学ブックセンターさん

▼ 固定観念がふっとびます

紆余曲折ありながらも楽しいロードノベル、と思いきや予想外の着地!
固定観念がふっとびます。多様化と言いつつまだまだ生きづらさのある世の中に投じられた大きな光る一石のようなそんな小説です。

未来屋書店水戸内原店
大谷典永さん

▼ 見てみぬふりをしてきたものが突きつけられる

ものすごい荒治療。ロードムービーを見ながら、段々と家族の歪みが現れてくる。見てみぬふりをしてきたものが突きつけられる。

ジュンク堂書店滋賀草津店
山中真理さん

▼ 読む前に戻ってもいいのか、そもそも戻れるのか

浅倉先生のこれまでの作品中、最も攻めたテーマを展開と言葉で研ぎ澄まし放った作品!
「読む前と後では世界が変わる」なんて言い回しもありますが、これは「読む前に戻ってもいいのか、そもそも戻れるのか」と思わされました。

紀伊國屋書店グランフロント大阪店
豊永 大さん

▼ 伏線がこれほどまでに周到に張り巡らされているとは

最後まで読んでじっくり物語を反芻して、ページを遡った。伏線がこれほどまでに周到に張り巡らされているとは…鳥肌ものだ。核となる事件が終わったのにまだまだページがある。え、終わりじゃない? そこからのジェットコースター級の展開にはついていくのがやっと。家族ってなんだろう。読み終わってからずっと考えてしまうこの問いに出会わされた物語だった。

紀伊國屋書店あらおシティモール店
田中知夏さん

▼ コント劇のような展開からの大どんでん返し

ここの家の親父最低だな! だけでは終わらない、コント劇のような展開からの大どんでん返しが秀逸!! 家族の解散を見せられたはずだか、これは人の生き方の再構築の話でもあるのだと思った。人は何を選んでも選ばなくても生きていていいのだ

本と文具のBSさんわ
山田由樹さん

▼ 究極の質問のようなラスト

バラバラだった家族が、ある事件をきっかけに、何とかしようと奮闘する先に気づいた本当の気持ちに、「はっ!」と開眼するようでした。もう、目から鱗が無限に落ちるようです。
そんな、家族の意味と存在を問われるような人間ドラマ。究極の質問のようなラストが、熱く胸に突き刺さっています!

紀伊國屋書店福岡本店
宗岡敦子さん

▼ きっと心が救われる

テンポよく軽快でとても面白かったです。ミステリとロードムービーをかけあわせているようで、その実、家族とはという難しい問題を投げかけている。
もし今、家族のあり方に悩んでいたり、型にはまることに窮屈さを感じている人がいたら絶対に読んでほしい。きっと心が救われるから。

未来屋書店新浦安店
中村江梨花さん

▼ めちゃくちゃ痛いところを突かれました

冒頭からの疾走感と謎解きに引き込まれ、さすが浅倉秋成と思いながら読んでいたら。
なにこの展開! めちゃくちゃ痛いところを突かれました。
「家族」聞き慣れたその言葉の正体は?

紀伊國屋書店天王寺ミオ店
木曽由美子さん


▼ みんなそれぞれちょっとずつ怪しい

青森の神社から盗まれたご神体が、家にあったらびっくりする。
家族の誰かがここに持ち込んでいるはず。それは誰か。一番怪しいのは父親だけど、みんなそれぞれちょっとずつ怪しい。
正しい家族の形なんてどこにもないはずなのに、「家族」という枠に囚われてしまっている人々。一緒にいる人が幸せであったらそれでいい。そう思えたら楽なのに。

SuperKaBoS鯖江店
峯森和代さん

▼ 家族だからこそ生じる歪な繋がり

家族だからこそ、ちゃんと見れていないことがあるんじゃないか。家族だからこそ生じる歪な繋がりに、考えさせられ胸が締め付けられた。

未来屋書店碑文谷店
福原夏菜美さん

▼ 家族という鎖が弾け飛ぶ!

家族という鎖が弾け飛ぶ! 千キロの疾走感で緊迫する状況や景色が変化し続けていくロードノベル的ヒューマンミステリーに、終わりは始まりと心に流れ込む。

うさぎや矢板店
山田恵理子さん

▼ 結末について読んだ人同士で話すのも面白そう

家族とは。一番近い場所にいる人たちだからこそ、わかっているようで理解していないのかもしれない。わからないと言えるのならマシな方だが、わかった気でいたり理解していると思う方が危険かもと思った。
話の展開は二転三転、いやもっと転がってハラハラドキドキ。物語の結末は人それぞれ想像にお任せですね。結末について読んだ人同士で話すのも面白そうです。

宮脇書店ゆめモール下関店
吉井めぐみさん

▼ それぞれの思考が複雑に絡んでおもしろかった

予想外の方向に話が進んでった。それぞれの思考が複雑に絡んでおもしろかった。
変な家族のようで普通のような気もするし、トラブルに巻き込まれた不運なだけの人たちのようで闇を感じるところもあるし。
「家族なんだし」「普通そうだよね」とかで流しがちなこと結構あるなと考えるきっかけもあった。

ジョイム緑町店
吉田さん

▼ 今の時代の求める先を示すかのような物語

末子の結婚独立を機に、実家を解体し引っ越しすることに決めた家族の正月。長らく使っていなかった倉庫にある物を発見し・・・。
ロードムービーさながらの光景に、家族のさまざまな情景・光景があぶりだされていく。次々と明かされる家族の真実に二転三転しながら得た結末はなんとも複雑な感情を呼び起こす。社会構成単位の意義をミステリー仕立てで問いながら、今の時代の求める先を示すかのような物語。

明林堂書店 南宮崎店
河野邦広さん

▼ ぜひ著者からの挑戦を受け取ってほしい

家族の大事さとは安心か絆かそれとも……?
人間としての視野の広さと包容力と試される小説。
ぜひ著者からの挑戦を受け取ってほしい。

大盛堂書店
山本亮さん

▼ めちゃくちゃおもしろくて一気読み

めちゃくちゃおもしろくて一気読みでした!
家族それぞれの思考が、行動が、…なんかおかしいぞ! 次々と発覚するトラブルや家族のヒミツ。この展開…、ほんとに!? ありえなくて時おり笑いがこみあげる。
家族って、お互い知らないことばっかり。喜佐家最大のヒミツを知って読み返してみれば、そこここに滲み出ていた本当の気持ちに、胸がいっぱいになりました。

紀伊國屋書店京橋店
坂上麻季さん

▼ あれもこれも、どんでん返し。面白い!

タイムリミット迫る中、少しずつ真相に近づいていく緊張感が面白かった。この「家族」に騙された。
「家族の在り方」に答えは家族分だけあるのだろう。それぞれの幸せのカタチも。染みついた常識と多様性の狭間で考えさせられる。読了後、一つの答えを得た様に心は晴れ晴れしい。驚きの連続の後に、考えもしなかった感情にたどり着いた。
あれもこれも、どんでん返し。面白い!

未来屋書店明石店
大田原牧さん

▼ だまされた…と思ったらまただまされた!

だまされた…と思ったらまただまされた! と思ったら今度は何!?
〈家族〉という多面体のサイコロがゴロゴロと面を変えながら千キロメートルの道のりを勢いよく転がり出す。さあ、面になぞらえた家族は何人だ?
間違いなくミステリーであり、家族ってなんだろう、と自分にもう一度問うてみたくなる、これは浅倉秋成の新境地だ!

紀伊國屋書店武蔵小杉店
鶴見真緒さん

▼ 家族だから言えないことはきっと誰でも持っている

家族だから言えないことはきっと誰でも持っている。
家父長制だとか難しく考えることで縛られる現代の家族に一石を投じる作品。
血縁という濃い繋がりをどこまで薄く軽く細い糸で結びつけていけるのか、あと20年もしたらこれがスタンダードになっているのかもしれない。

ブックマルシェ我孫子店
渡邉 森夫さん

▼ 読了後言葉が出なく呆然としました

家族という繋がりの強さは目に見えない手錠のよう。
読了後言葉が出なく呆然としました。家族という枠を叩き付けられたような…解散と旅立ちに見えました。

未来屋書店武蔵狭山店
柴田路子さん

▼ 共感できて戒めにもなる物語

「家族だからなんでもわかってる、わかってくれる」という縛りでぎっちぎちになってどうにもこうにもならなくなった家族の、共感できて戒めにもなる物語。

未来屋書店姫路大津店さん

▼ 人を疑わせる小説書かせたら日本一ではないだろうか

ミステリーで、家族小説で、ロードノベル!
浅倉さんの文章はどうしてこうも読者の猜疑心を掻き立てるのだろう。今や、人を疑わせる小説書かせたら日本一ではないだろうか。

紀伊國屋書店仙台店
齊藤一弥さん

▼「これで終わり」からの展開が凄い

「これで終わり」からの展開が凄い。ミステリとヒューマンドラマを両方楽しめました

ブックスジュピター
林 貴史さん

▼ あなたの家族は何人ですか?

「解散」皆の答えはYES or NO? 
前半の疾風の如き騒めきと、後半は思考の溝に嵌るが如く。
あなたの家族は何人ですか?

未来屋書店入間店
佐々木知香子さん

▼ 「家族」って1人では作れない

家族の形は、家族の数だけある!と実感。
「家族」って1人では作れない。
理想の家族になるには、一人一人の努力と心構えも必要だと実感。

文真堂書店ビバモール本庄店
山本智子さん

▼ パッと答えることならできるのに、突きつめて考えると言葉に詰まってしまうものばかり

時々に投げかけられる問いの鋭さが、とても印象深かったです。
「結婚って何なんでしょうね」
「浮気って、何なんでしょうね」
「今この家族は何人なの」
「浮気の何がいけないのか答えてみてよ」
パッと答えることならできるのに、突きつめて考えると言葉に詰まってしまうものばかりでした。
ラストシーンでは周ほど都合よく物事を考えられず……。
この先の展開を想像し、震えました。

福岡金文堂 行橋店
富山未都さん

▼ よくぞこんな物語を思いつきましたね

驚きの展開でした。よくぞこんな物語を思いつきましたね。
「家族の概念」のようなものにとらわれてる人、たくさんいると思います。私も一緒になって考えました。
でもこの家族全員が納得して解散できてよかったです。

明屋書店厚狭店
小椋さつきさん

■ 書誌情報

書名:家族解散まで千キロメートル
著者:浅倉 秋成
発売日:2024年03月26日
ISBNコード:9784041145647
定価:1,870円(本体1,700円+税)
総ページ数:320ページ
体裁:四六判
発行:KADOKAWA
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322309001298/

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■ 著者プロフィール

浅倉 秋成(あさくら・あきなり)
1989年生まれ。2012年に『ノワール・レヴナント』で第十三回講談社BOX新人賞Powersを受賞しデビュー。19年に刊行した『教室が、ひとりになるまで』が第20回本格ミステリ大賞〈小説部門〉候補、第73回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編部門〉候補となる。21年に刊行した『六人の嘘つきな大学生』は第12回山田風太郎賞候補、2022年本屋大賞ノミネート、第43回吉川英治文学新人賞候補となる。22年に刊行した『俺ではない炎上』は第13回山田風太郎賞候補、第36回山本周五郎賞候補となる。

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