【詩】ヒュプノスの哀歌
ひなげしが右に揺れた
今は笑う人が眠る時
苦しみを忘れ 幸せな夢を
ひなげしが左に揺れた
今は泣く人が眠る時
喜びを忘れ 安らかな夢を
この人はあまりにも
笑うことを知りすぎた
裂かれた時の痛みは
どれほどのものか
この日を知っていたならば
空も 樹々も 母すらも
何も与えはしなかった
日射しは射抜き 苛むばかり
風は憐れみ 遠くでさわぐ
どうかすべての幸福を忘れ
安らかな夢を 目覚めは待たぬ
姿形もなきものですが
私はここに留まりましょう
この人はいちどきに
多くを知りすぎた
私は長い年月をかけて
同じだけを知りましょう
そうして形づくられたものが
あなたの慰めとなりますように
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