酒井花織
カテゴリー不明作品の物置き場です
雑多な短歌たち
つぶやきの倉庫です。
本詩集「ミルテの棺」は2006年頃シューマンの歌曲に感銘を受けて著したものです。
公的なものも私設なものも。
◾️名前…酒井花織(フィギュアスケートの坂本花織さんから) ◾️性別…女 ◾️誕生日…3月17日(魚座) ◾️血液型…O型 ◾️趣味…ピアノ(モーツァルトが好きだけど弾くならラヴェルとかドビュッシーとか) ◾️好きな花…ひなぎく すみれ 花ほたる ◾️好きな食べ物…辛いもの全般(大抵の食べ物にタバスコかけます) グミ ◾️好きな作家・マンガ家…なし。フィクションにあんまり興味ない ◾️好きな詩人…ゲーテ(悪い意味での芸術家らしさが感じられない。代わりに父性のよ
私が憎いのなら 構うものですか もっともっと憎みなさい そうしてあなたの心は 流れを失った川のように どんどん澱んでいくのだわ どれくらい憎いのか もっともっと伝えてください その思いの深さが そのままあなたの不幸のほどなのだから
結実の見込みなき身を悲しみて一層美しく咲く彼岸花 (短歌結社誌掲載作)
きしきしとたわむ枝音聞きつけて潜む山鳥共に寂しく (短歌結社誌掲載作) ・・・・・ ある風の強い曇りの日、庭のつるバラがフェンスに擦れてキシキシ音を立てていました。 ?ちょっと違う音も混じってないか? 振り返ると見たこともない山鳥がきしきし鳴いていました。 仲間が呼ぶ声だと思ったんだろうな。
罪深きわが声かなしと泣くは誰ぞ慈悲の訪れ告げる郭公 (短歌結社誌掲載作品)
憚らずはびこるヤロウをむしり取り分別を知るカタバミを愛づ ・・・・・ カタバミもしぶとい雑草だけど、控えめだから。 ヤロウ…ノコギリ草に棲みつかれたらもうジャングル。 (短歌結社誌掲載作品)
「この事件は大変残虐で 悪い影響を受ける人もいると思うので 詳しく知るべきかよく考えてください」 私はたぶん知るべきではなかった 悪い影響を受けた なんという残虐な事件 こんな目に遭ってしまった人がいるのか そんなこと考えられない 人類の歴史上に こんな目に遭う人が一人でもいるのなら もう人類はいなかったことにしてほしい 「こんなことが二度と起こらないように いつも気をつけて生きていればいいのよ」 黙れ 誤魔化すんじゃねえ 後々この事件を反省材料にして 救われる人が増え
「目に映るすべての幸は我のもの」赤子の無垢は王にも似たり (短歌結社誌掲載作品) ・・・・・ 赤ん坊を見ていると、所有という概念がなさそうだなと。
いつも無表情でそっけない女性が 無邪気にはしゃぐ赤ん坊を見て まるでうっかりやってしまったように 笑みを綻ばせた 私はその瞬間が忘れられなかった 花さえも一年中咲き誇ったりはしない 彼女の笑顔を花にたとえるなら 百二十年に一度しか咲かないという 竹の花でしょうか クレマチス ネモフィラ ユキドケユリ 秋明菊 ジャコウアオイ ひなぎく ミニバラ 彼岸花 花ほたる スズラン ラナンキュラス りんどう れんげ草 すみれ 白いタンポポ 芍薬 好きな花と同じ数だけ 人を好きにな
あの日から私は泣かなくなった 泣き方を忘れた その時の最後の涙は涙ではなく 鋭い刃物で顔を切られて 血が流れたのかと思った クローゼット あの日着ていた服を見ては心揺さぶられる 「私はもう幸せにはなれないんだ あんな目に遭った人間は もう決して幸せにはなれない なぜならそれに見合うほどの幸せはないのだから」 私は泣き方を知りたくて 痛ましい思い出のこびりついたその服を いつまでも捨てないでいた ・・・・・ (※ヤンキーに怒鳴られただけです)
夕暮れに閉じてまどろむ紅睡蓮陶枕で眠るアジアの趣 ・・・・・ スッと立ったような状態のまま花を閉じる睡蓮。 電車の吊り革につかまってウトウトしてる人を思い浮かべました。 睡蓮、リラックスしたくないのかな…。 (短歌結社誌に掲載)
花尽きて人気も絶えしつるバラに秋明菊は今も寄り添う ・・・・・ 夏のバラの花が咲き終わった頃秋の秋明菊が花ひらく。 少しさみしい景色。 (短歌結社誌掲載)
雪虫のほの青きさまは北国の暮れのさみしさ宥むるごとく ・・・ 雪虫を見たことがないと思っていたけれど、宙に舞うそれが雪虫なのだと教えてもらいました。 ほの青くて幻想的…。夏のカゲロウ冬の雪虫。美しい。 (短歌結社誌に掲載)
小さな頃から気になっていたの 雪が積もると時々現れては 私の庭のナナカマドを見て ため息ついてどこかへ行く子 あなたはだあれ? 同じものを好きだと思えば 私も好きになってくれる? じいっと赤い実を眺めてみても 何が楽しいのだか悲しいのだか スズメがついばんで飛び去って行ったわ あなたは私よりスズメが好きね だって私より嬉しいんだもの 庭にあの木があることが ずうっと大きくなってから あなたの口からそれを聞いた 「いびつな思いを白で葬り 再び赤くしたいのだ」と どんな穢れも思
日よ 決して私を照らさないでください あなたの知らぬ暗き獣が 再び私を引き裂くでしょう あなたの光は あの人からしか受けることはできません 月よ 決して私の元へ降りないでください ここは魔女の飼い蛇の穴ぐら あなたがここを照らせば 私は石に変わるでしょう ただあの人と共に行く国を示してください
囀るように歌う娘は うら寂しき森の城に閉ざされていた 魔術師が連れ出そうとはしたけれど 隠れ逃れる場所もなく 娘を小さな彫像に変えて 城の隅に隠し囚われた 魔術師は雪花石膏になるまで咎めを受け粉々に 娘は心すらなく暗闇に転がったまま 古城の扉を開け放つと風が吹き荒び 幾億にも砕かれた魔術師を連れ出した 風は砕かれた数だけの想いを忍ばせ 久遠の花嫁の目覚めを乞う