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【詩】チェインステッチ・クロス

雪の降り積もる窓辺で
お妃様は刺繍をしておりました
きらきら光る金色の糸で
チェインステッチを施しておりました

うっかり指を針で刺し
雪の上にぽたり ぽたり ぽたり
三滴の血が滴り落ちました

お妃様は
「そうね この雪のように白い肌
窓枠の黒檀のように黒い髪
そして血のように赤い唇をした女の子
そんな可愛い娘が欲しいものですわ」
と思いました

けれど布についた血は
お妃様を不安にさせました
お妃様は神様の守りが欲しくて
刺繍の最後をクロスステッチにしました

「神様 私をお守りください
おなかの赤ちゃんをお守りください」

神様 この二人をお守りください

その日もお妃様は秘密の部屋で
正直な鏡に問いかけました
「鏡よ鏡 世界で一番美しいのは誰?」

   *

白い肌には帯
黒い髪には櫛
赤い唇にはりんご

祝福の数だけ呪いがある
それゆえ姫はお母様からの贈り物を
拒むことができなかったと言います

姫は息を吹き返した後
お母様を刑に処しました
二人の愛の絆は永久に絶たれてしまいました

親は親以前に他者である
そういうことを分からせてくれもするけれど
白雪姫とはそんな切ない物語です

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