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観劇レポ博多座ヤマトタケル④かぶきDOU其の80アフタートーク

いつもかぶきDOUを御愛顧頂きありがとうございます✨
博多座で上演中のスーパー歌舞伎 ヤマトタケルは10/14に中日を迎えました。
大変心配なニュースが入っております…ご出演中の中村錦之助さん萬屋が負傷のため10/14の公演を休演されました。
※追記※
中村錦之助さんは負傷のため千穐楽まで休演となりました。

◯熊襲弟タケル       
中村歌之助さん
◯尾張の国造
市川青虎さん

が代役を勤められます。中村錦之助さんのご快復を心よりお祈りしております…



ヤマトタケルかぶきDOU観劇レポ

今回のかぶきDOUでは観劇レポートをお届けいたします。
私は10/11Eプログラムのヤマトタケルを観劇しました!

Eプログラムの配役
◯小碓命後のちにヤマトタケルと大碓命の2役
市川團子さん
◯帝の使者
中村隼人さん
◯兄橘姫と弟橘姫の2役
中村壱太郎さん
◯みやず姫
中村米吉さん
◯熊襲弟タケル
中村錦之助さん


私が印象に残ったところをピックアップしてご紹介いたします!

第一幕

ヤマトタケルは初演の時、制作費が10億円!そのうち衣装費は2億円かかったそうです!
巨額の制作費と優れたスタッフを揃えたことは極めて異例のことであると1986(昭和61)年3月2日号の毎日グラフでも報じられています。
衣装の見えない部分にもゴージャスな装飾が施されていましたが、安全性や軽量化のため手直しされながら、きらびやかな衣装が現代まで受け継がれているのも見どころです。
今回、照明がとても効果的な演出となっていて時折 髪飾りなどの装飾が照明のライトに照らされたときにその輝きをより放っているように見えました☆
朱色の大きな柱を挟んで、小碓命と大碓命 兄弟の二役の市川團子さんのお役が入れ替わります。
早替りのスピードに客席から「おおーっ」と声があがりました!
そして中村壱太郎さんが兄橘姫と弟橘姫 姉妹の2役を、年の差も感じられるような演じ分けをされていました。
熊襲では宮殿の新築を祝って宴が催されています。蝦夷の国 相模の国造(その地域を束ねる長)ヤイレポ(市川猿四郎)がたくさんのお祝を持ってかけつけます。
美しい踊り女(め)姿の小碓尊のちのヤマトタケルが登場します。
赤い衣装でターンをするたびに美しくプリーツがひろがってとても綺麗で市川團子さんの若さ溢れる美しさ可愛らしさが出ていました✨
小碓尊が、宮殿に吊り下げられている大きな照明を落下させると暗闇になります。歌舞伎演出のだんまりです。小碓尊は暗闇の中、熊襲兄タケル市川猿弥)を襲撃します。
そこからセットもバタバタと崩れて小碓尊と熊襲弟タケル(中村錦之助)が討ち合いとなります。
舞台上に大量に転がる樽の間をすり抜けるように2人の激しい殺陣が繰り広げられます。
弟タケルを討ちその魂と名前を託されて「我こそがヤマトタケルだ!」と團子さんが叫ぶシーンで熊襲の人々がひれ伏します。
背景にはとてつもなく大きな太陽が浮かび視覚的にも大変見どころであります! 


第二幕

父の 帝(市川中車)の命令で蝦夷の討伐へ向かうヤマトタケル一行の行手を阻むのが、第一幕でも登場した蝦夷の国 相模兄ヤイレポ弟ヤイラム(市川青虎)です。巨大な布を使って燃え盛る炎を表します!
ヤマトタケルも倭姫(市川笑三郎)から授かったアイテムで炎をあげて応戦します!
すると赤い頭巾をかぶった役者さん達が登場。旗をゆらして燃え盛る炎を表現します。客席からはその表情は見えませんが沢山の役者さんたちの動作によってヤマトタケル側とヤイレポ・ヤイラム側の二つの炎が対立する様子が演出されています。
10/10に開催されましたおもだか屋ファミリートークショーのなかで今回演出補助も勤められている市川猿弥さん市川青虎さんが「見えないところで役者さんが頑張っている点にも注目していただきたい」と話されていました。

ブルックリンパーラー博多にて


ヤマトタケルとタケヒコ(中村福之助)も大きな旗を炎にみたてて時には片手であざやかに振り回します。
中村壱太郎さんの公式YOUTUBEかずたろう歌舞伎クリエイション福之助さんは「重心が少し違うと旗の扱いが変わり難しい」と話されていました。


ヤイレポ・ヤイラムはヤマトタケルに討たれてしまいますが最期の言葉はヤマトタケルの心に大きな影響を与えます。
世界で現在もなお続いている紛争の問題とも共通している部分もあり考えさせられるシーンでした…

火のあとは走水での海のシーンです。こちらも荒れ狂う波が布で壮大に演出されていました!
前回もお伝えしましたが弟橘姫が海の神の皇后になるため荒れ狂う波に身を投げるシーンでは、ヤマトタケルたちが畳を海に沈めますと、仕掛けが全然わからないくらい自然に畳が海面に浮かんでくる様子が表現されていました!
波に消えた後も泣きながら弟橘姫の名を呼ぶヤマトタケルの姿が本当に切なかったです…



第三幕

ヤマトタケル一行は蝦夷の戦いでも勝利し、ヤマトタケルを慕う蝦夷の少年ヘタルベ(中村歌之助)も一行に加わります。
大和国へ戻る道中で立ち寄ったのが尾張国です。
出会ったのはみやず姫(中村米吉)です。幼い頃に会って以来、美しく成長したみやず姫をヤマトタケルは気に入ります。
大和国も情勢が変わり、ヤマトタケルの活躍ぶりからみやず姫の両親の国造(中村錦之助)妻(市川笑也)が「娘をぜひ妃に!」とはりきって博多弁もとびだすやりとりが笑いを誘っていました。
みやず姫と舞に興じながら、ヤマトタケルの心が癒されていくのが伝わりました💕


しかし大和国に帰る前に、父の帝に命じられた伊吹山の討伐でヤマトタケルは山神(市川猿弥)姥神(市川門之助)との激しい戦いとなります。
山神の死に際、背面から崖に落ちる様がとても迫力がありました!姥神が命がけで降らせた巨大な雹や雪が吹き荒れ、最後は山神の化身の巨大な白イノシシとの戦いになります。
倭姫から託された剣さえあれば、その力で山神たちは手出しできなかったのに…ヤマトタケルの優しさと、すこしの油断が命取りとなってしまいました。
夜空に浮かぶ細い三日月がヤマトタケルの命が燃え尽きようとしているのを表しているようでした…

そして白鳥となり宙乗りで天を翔けていくヤマトタケル。スピードはとてもゆっくりで團子さんのお姿をたっぷりと堪能できます。
今までいろんな歌舞伎役者さんの宙乗りを拝見してきましたが、三階席のゴール地点である鳥屋の高さまで来ると、バシッと型を決めて目線は鳥屋の奥の方をまっすぐみながら入っていくスタイルがほとんどでした。
しかし團子さんの宙乗りは鳥屋に体が入るギリギリの直前まで三階席の客席の方を向いてくださっていたのが驚きでした!

スーパー歌舞伎ヤマトタケルは19歳の設定で、現在20歳の團子さんとはほぼ同い年です。若さと勢いのあるヤマトタケルは今の市川團子さんにしか出せない魅力であるとしみじみ感じました!
Wキャストでその日ごとに異なる魅力が発見できるかと思います。
立見当日券もありますのでお時間ある方は三階席からの眺めもお楽しみいただけたらと思います。
今回のかぶきDOUは博多座で公演中のスーパー歌舞伎ヤマトタケルEプログラムの観劇レポートをお届けいたしました!



縁の一曲〜七代目尾上菊五郎さん〜

歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー。
今回は七代目尾上菊五郎さん音羽屋です。
10/2に菊五郎さんは82歳のお誕生日を迎えられました!おめでとうございます!
菊五郎さんは歌舞伎座 錦秋十月大歌舞伎の昼の部の演目
音菊曽我彩(おとにきく そがのいろどり)工藤左衛門祐経(くどうさえもん すけつね)役でご出演中です。
 題名に「曽我」と入っていますが鎌倉時代に時の将軍 源頼朝が富士山の裾野で行った鷹狩りの際に曽我五郎 曽我十郎兄弟が父の仇であった工藤祐経を討ったという史実から生まれた物語です。
 歌舞伎では初春の興行に曽我兄弟の仇討ちを題材とした「曽我物」を上演するのがおめでたいこととされ様々な作品が生まれました。
中でも 寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)という演目は有名な登場人物が勢揃いする人気演目です。
その背景は雪を纏った富士山で紅梅白梅があしらわれますが、今回の音菊曽我彩では秋の紅葉が美しい箱根山を背景に新しい着想の曽我物語となっています。
今回、曽我の兄弟は幼い頃の名前でのご登場です。
弟の「箱王」を菊五郎さんのお孫さん尾上眞秀さん、兄の「一万」を音羽屋の尾上右近さんが勤められています。

菊五郎さんは1980(昭和55)年放送のNHK大河ドラマ「獅子の時代」高松凌雲(たかまつりょううん)役でご出演されました。
凌雲は現在の福岡県小郡市出身で身分を問わず命を救う、日本で最初の赤十字活動を行った医師です。小郡市にはその功績を称え、顕彰碑が建てられています。
素顔の三十代の菊五郎さんと若き頃の凌雲が髪型を含めてとても雰囲気が似ているので驚きました!

音楽 宇崎竜童 NHK大河ドラマ獅子の時代のテーマ音楽をお届けしました♪
 


公演かわら版 帝の部屋へようこそ 市川翔三素踊り&トークショー


現在上演中の博多座スーパー歌舞伎ヤマトタケルにちなみましてさまざまなイベントも行われます。
 
アフタートークショー「帝の部屋へようこそ」2回目が開催されます。ヤマトタケルの父親 帝(すめらみこと)役の市川中車さんをMCに、出演者の公演や役への思いに迫ります。
カーテンコールのあとまもなく始まります
日時:10/17昼の部終演後
ご出演:市川猿弥さん、市川笑也さん、市川笑三郎さん、市川青虎さんです 
市川寿猿さんは体調不良のため残念ながら休演となっております                         ※時間は20分程度を予定
10/17昼の部公演のチケットをお求めください             

そして、コミてんに以前お電話でご出演いただきました福岡市ご出身の歌舞伎役者市川翔三さん✨
ヤマトタケルの舞台にもご出演中です。                             翔三さんの記念すべき第一回素踊り&トークショーがいよいよ本日13:30より福岡市中央区の森本能舞台で開催されます。
素踊りの振付けは藤間可笑さん(翔三さんの師匠 市川笑三郎さんの舞踊名です)
長唄 秋の色種(いろくさ)をご披露されます。                                                   当日券が出ます!お席は残り10席程となっており会場にお越しいただいた先着順でのご案内となります。価格は4,500円(税込)です。当日券ご希望の方は森本能舞台の開場時間から受付開始となります。
開場時間が前倒して12:30になりました!
開演時間は13:30です。        
お問い合わせは「市川翔三素踊り&トークショー実行委員会」
shozo.ticket@gmail.comまで       お願します!


次回公演の様子をご紹介します

めでてえなぁ10/9-10/15

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。10/9から10/15がお誕生日の皆さまです。公演スケジュールが公開されている方のお名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますので何卒ご了承ください。


10/9市川男女蔵さん 
滝野屋

10/9中村橋吾さん 
成駒屋

10/10片岡孝法さん
片岡仁左衛門一門
 
10/12尾上隆松さん
尾上松也一門
 
10/12澤村藤十郎さん
紀伊國屋
 
10/13中村仲弥さん
中村屋一門
 
10/14市川高麗蔵さん
高麗屋
 
10/14中村歌六さん
播磨屋
 
10/16片岡松十郎さん
松嶋屋
 
10/17 尾上菊三呂さん
音羽屋
 
10/17 中村獅一さん
中村獅童一門

 
 
今回11名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!
 


10/15アーカイブはこちらからどうぞ

ヤマトタケル公演中、博多座1階客席ロビー売店では麻布十番麻の葉さんの歌舞伎手ぬぐいが販売中です!

スタジオに飾らせて頂いております
博多座限定バージョンの隈取五種の
手ぬぐいもお買い求めいただけます♪

次回は10/22(火)午前10時〜FM77.7Mhzで25分生放送です!権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください

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