#17.生活リズムを立て直そう②
そうしてお風呂に入りまくった頃、今度はリワークの皆さんと睡眠についての話題で盛り上がりました。
うつ病や双極性障害の方は、ほぼ例外なく睡眠に問題を抱えています。なので睡眠薬を処方されたりするのだけれど、薬以外にもできる対策はないだろうかと。
さすがは歴戦のメンタルブレイカー達でして、各人、色々なオススメを持っているご様子。眠る前にホットミルクを飲む、目元を温める、アイマスクをする、軽いウォーキングをする等々。
「カバネさんはなにか工夫とかされてます?」
そう聞かれたものの、パッとは思いつかぬ。
仕事を休む前の生活と言えば、1日4~6時間睡眠(しかも悪夢を見る&途中で起きる)で、疲れ果ててお酒飲んでお布団ダイブ以外の方法なんて考えてもみなかった。
「……そういえば最近も、あまり眠れてない気がします」
「そうなんですか」
「はい。朝方に明るくなってくると、どうしても目が開くといいますか。アイマスクも寝ている間に外しちゃいますし」
そう言ったとき、竹中さんの目が光りました。キラーンって。
「カバネさん、遮光カーテンおすすめですよ!」
「遮光カーテンですか?」
「えぇ、外の光がかなり遮られるので、光で目を覚ます人には良いですよ!」
かなり食い気味のオススメ感でしたが、なるほど一理ある。そしてもう1つ気になることが出てきました。
「そういえば、みなさんは光で目が覚めたりしません?」
「私はしますね。でも、人によるんじゃないかな」
と、竹中さん。
「僕は真っ暗じゃないと眠れないですね」
これは藤本さん。
「明るくても全然寝れる」
なんて声も。
「カバネさんは、けっこう光に敏感なんじゃないですか?」
この頃の僕は大体23時半に寝て7時頃に起きるリズムでした。仕事に復帰することを考えるともう少し早めたい、でも上手く行かない、しかも朝日で中途半端に目が開くイマイチな状況。
光に敏感……その言葉が頭に引っかかった僕は、睡眠環境の見直しに着手することに。色々と調べた結果、タイマー機能付きのシーリングライトなるものを発見。
あらかじめ時刻を設定しておくと、18時から徐々に明かりが落ち、21時頃には大分と暗め。残念ながら最後のオフタイマーは手動で設定(30分後に消灯)が必要だけれど、朝6時にパチッと明かりがついてくれる優れもの。
そんな照明と遮光カーテンを併用すれば、かなりいい感じに睡眠できるのでは……?
明かりに敏感という特性を逆手に取って、寝起きをコントロール出来るのではないか。
更に調べてみると、スマート家電なるものが存在し、これもタイマーで色々と自動的に動いてくれるのだとか。遮光カーテンも購入して早速セッティング。
そしたらですよ。
ちょっと想像以上に効果テキメン。明かりが暗くなると『あっそろそろ寝なきゃ』ってなって、朝6時には照明がついてパチリと目が開く。
そう、これですよ。これでしたのよ。
生活リズムを整える、というのは意思の力だけではとても難しい。というか不可能と言っても過言ではない。そして朝を迎えるといつも『なんで昨晩は早く寝なかったのか……』とやもすれば自己嫌悪に陥るけれど、そうじゃない。足りないのは意思ではない。必要なのはハード面での環境構築だ!
というわけで僕の睡眠に関する工夫は『視覚』。人によっては聴覚、或いは嗅覚なんてのもアリかも知れません。そんな取り組みをリワークで報告したところ、療法士の工藤さんからこんなメッセージを頂きました。
『シーリングライトの話、とてもカバネさんらしいなと思いました。以前、お仕事でも、もっと良い方法があるんじゃないかと考えて、どんどんやってしまうと言ってましたね。それの日常生活バージョンだなと……ほど良い妥協点を見つけて、妥協する人とケンカしないようにしてくださいね(笑)』
なるほど、なるほど……。
ついやり過ぎてしまう自分。
これはもう僕のクセになっていて、もっといい方法があるんじゃないか、もっと効果的な工夫はないか、そういう変な凝り性スイッチが入っちゃうのです。
そして工藤さんの言われるように、職場では先輩や上司とぶつかる事も多々ありました。なんでそんな非効率な事やってんですか、こうしようって言いましたよね、みたいな……。
向上心や好奇心と言えば聞こえは良いし、それ自体が悪いことではないのだと思います。
ですがそれ故に負荷が高まり、ストレスを抱えて、自分を押しつぶすようでは元も子もない。良い感じの睡眠環境と同時に、自分自身のクセを振り返ることになるカバネでした。