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【ほんたす/ひみつの本屋】対照的な2つの無人書店を訪れてわかったこと

昨今、シェア棚本屋や無人書店など新しい形態の本屋が増えています。

「ほんたす」さんのインスタアカウントに掲載されていた無人書店さんだけでもこれだけあるらしいです。

▼当時ノートに残ってた無人書店さんたち。
#阿仁合の本やさん (秋田県)
#今時書店 (新潟県)
#Naramachi BookSpace ふうせんかずら (奈良県)
#SELF BOOKS (滋賀県)
#無人古本屋BOOK ROAD (東京都)
#ほん、と (宮崎県)
#古本馬酔本 (北海道)
#AMAMI・MUJIN (鹿児島県)
#ひみつの本屋 (静岡県)
#無人古書店「こころ堂」 (福島県)

ほんたすができるまで #2 

今回は、最新技術を使いこなして運営している「ほんたす」と、素敵な世界観の詰まった「ひみつの本屋」という対照的な2つの無人書店について調べてみました!


ほんたすに行ってみた!

ほんたす@溜池山王

溜池山王駅の出口に向かって、歩いていくと現れる「ほんたす」
店内撮影禁止のためメモを書きます📝

【利用の流れ】
①LINEで会員登録。
利用規約/プライバシーポリシーに同意するだけ登録可能。
ハードルの低さを感じる。
②LINEミニアプリの会員証QRコードをかざすと入店できる。
③店内にはセルフレジ2台があり購入可能。キャッシュレス決済のみ。
④退店時も会員証QRコードをかざして退店。

【客層】
平日19:30来店した際は男女比=5:1ぐらい。
サラリーマンの方が多めの印象。

【売り場について】
小説、雑誌、漫画がバランス良く並ぶ。
「占い、ビジネス、NISA、ウェルビーイング、スローライフ、習慣術、リーダー、マーケティング、時間術、お金、chatGPT、戦略思考」などのテーマが目立つ。文具も販売している。

【店内利用ガイド】
・飲食禁止
・店内の写真撮影禁止
・注文は受け付けていない
・ペット禁止
・たばこ禁止
・長時間の立ち読み禁止
・空調操作はできない。
・緊急事態の時は、緊急ボタンを押す
・落ちていた本を戻していただけると、スタッフが喜びます
・困ったらモバイル(LINE)で問い合わせ


ひみつの本屋に行ってみた!

ひみつの本屋@熱海

熱海にある「ひみつの本屋」。調べたらわかりますが、公には場所などは公開されていません。
同じくメモを残しておきます📝

【利用の流れ】
①ひみつの本屋に入店するためには「鍵」が必要。鍵を手に入れる手段は色々探してみる必要がある。(是非調べてみてください!)
②ひみつの本屋には錠前がかかっているので鍵を使って入店。
③3冊まで貸出可能。購入の場合、ドアの横にある会計用の箱に現金を入れる。決済手段は現金のみ。

【客層】
観光客

【店内の空間】
・ずっと音楽が流れてる。寂しくない。
・机の上に1冊のノートと羽ペンが置いてある。皆さん、この店に来るまでの色々な思いを書いてたりする。無人の店でノートが置いてあると、たしかに書き込みたくなる。
・特定の条件を満たした人だけが深夜でも入店可能。そこがまた特別感があって良い。


2つの本屋を比較して気づいたこと

1.コンセプトについて

「ほんたす」は「1分でトレンドがわかる無人書店」というコンセプトです。最新技術を使いこなす店舗運用もコンセプトにマッチしています。

一方の「ひみつの本屋」のコンセプトは「熱海のまちで本が読める、かぎのかかった本屋」。
行くと分かるのですが、目立ちにくい立地はまさに「ひみつ」感があります。集客を考えると不利かもしれない条件を逆手にとったコンセプトといえるかと思います。


2.決済手段について

「ほんたす」がキャッシュレス決済のみ、「ひみつの本屋」が現金のみという対照的な内容でした。

「ほんたす」では、キャッシュレス決済にすることで運営負荷/セキュリティリスクを軽減できるメリットがありそうです。(来店者の情報含めたデータ活用なども可能かも)

現金を取り扱わないことで運営負荷を軽減させ、複数のキャッシュレス決済を用意し、来店者にマッチした決済方法を選んでいただくことで、スマートな購買を実現します。
※クレジットカード決済・交通系ICおよび各種QRコード・バーコード支払いが可能です。

日販と連携して開発した完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」が9月26日にオープンします

一方の「ひみつの本屋」では、手触りのある運営が一貫されており、料金箱に現金を入れるだけ。店舗運用としても現金を定期的に回収すれば完結するので、各種機器を導入するより運用コストを下げられるメリットがあるといえます。

・本の購入は料金箱へ (現金のみ、おつりは出ません。)

ひみつの本屋


3.セキュリティについて

「ほんたす」では、LINEミニアプリの会員証QRコードを介して自動で入退店管理を行います。各来店者の入退店時間のデータも残ることになるので、運営改善にも活用できるといえるでしょう。

LINEミニアプリによるデジタル会員証が入店/退店時のカギとなり、会員毎に入退店を管理することで、完全非対面でのセキュリティ管理を実現します。また、入店ハードルを最低限にするために、ニックネーム登録のみで会員証発行を可能としました。

日販と連携して開発した完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」が9月26日にオープンします

また、ライブカメラも回っており、セキュリティと運営改善のどちらにも寄与しています。

ライブカメラを通して、来店者の属性や動線などをAIにより可視化・分析することで、購買者(POS)だけでなく来店者(店内行動)のデータをもとにしたインストアマーケティングを行います。また、会員管理を行うLINEを通じてお客様の声を収集し、ニーズのあるキャンペーン企画、商品告知等、店舗づくりに反映していきます。
(カメラデータについては個人を判別できないように変換したうえで分析を行います。)

日販と連携して開発した完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」が9月26日にオープンします

一方の「ひみつの本屋」は錠前がかかっており、鍵をあけて店内に入ります。徹底的にアナログで非日常の体験を提供しています。

「面倒でも鍵を開けるプロセス自体を楽しんでほしいんです」

「ひみつの本屋」人気のカギは町探検 熱海 鍵を探して入店「地域つながる拠点に」

どちらの店舗も利用ルールなどは店内にしっかりと書かれていました。
とはいえ、やはり無人店舗のため、セキュリティ面とかは割と性善説で運営されている気がします。


無人店舗だからこそ求められる「一貫性」

近年、素敵なコンセプトを掲げる本屋さんを目にする機会が増えました。

その中でも無人店舗となると、前述した「決済方法」「セキュリティ」など運用面での様々なハードルを乗り越える必要が出てきます。

その際、ハードルをクリアすることに気を取られて、その店舗のコンセプトから外れた手段をとってしまうリスクがあります。店員さんの人柄などでカバーすることもできないため、店舗のコンセプトと運用スタイルに一貫性があるのかが非常に重要になるなと感じました。

今回取り上げさせていただいた2つの店舗は、全く異なるコンセプト/運営方法でしたが、どちらもコンセプトや世界観が隅々まで行き届いた「一貫性」のある素敵な店舗だったと思います!


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