13歳からのアート思考#2
課題図書の『13歳からのアート思考』ですが、ボリュームがあるのでいくつかにわけて投稿していきます。
あなたは素晴らしい絵をどう選ぶのか?
前回の続きはなんと自分の自画像を描いてください!から始まります。私は絵が得意ではなかったので、自然と「え・・嫌だな」なんて思ってしまいました。
ページをめくると、こう書かれていました。
・面倒だし嫌だな
・自信がなくうまく描けない
・いきなり描けと言われて戸惑った
著者の方にバッチリ見破られています。
『まさに』自分の中の苦手意識を言い当てられてしまいました。
しかし、ここから『あなたにとっての素晴らしい絵』って何?という疑問を投げかけられます。
私にとって上手い絵は自画像なら本人そっくりな絵で、素晴らしい絵は『マイナス面』もしっかりと描き込まれた絵かなって個人的に考えました。プリクラのように加工するわけでもなく、コンプレックスとなっている部分も描かれていると『素晴らしい絵』かなって個人的に思います。
何を基準にして『素晴らしい絵』とするかが今のあなたが持っているものの見方だと著者は言います。
今までしっかりと考えたことなどなく、本物そっくりであれば上手いとしか思っていなかった私の心の中をズバズバと言い当てられ、次のページが気になりました。
20世紀を切り開いた絵は上手いのか?
末永幸歩 (2020)「20世紀アートを切り開いた絵」は本当にうまい?末永幸歩・藤田悠(編) 13歳からのアート思考 ダイヤモンド社 p63 より引用
ん〜なにこれ・・
これがこの絵を見た私の第一印象でした。
顔の真ん中に緑の線が入っているし背景が3色もあるぞ・・この絵は上手いのか?紹介されるくらいだから上手いのか?なんて考えていると『自分のなかにアートは無い』なんて感じてしまいますね。
この絵はマティスという画家が奥さんの自画像を描いた作品で、代表作の一つとされているそうです。
アウトプット鑑賞をしてみよう
さて先ほどの絵に描かれていた眉毛の色を覚えていますか?
私は全然覚えていませんでした。なぜなら、絵を見た時間なんて2〜3秒だったからです。
実は絵を見る時って作品よりも、「タイトル」や「説明欄」を見ている時間の方が長くありませんか?と著者は訴えています。
確かにタイトルや、誰が、いつ、描いたのか?などを読んで「へ〜そうなんだ」と美術館などで絵を見た時には感じて、そのまま次の絵に進んでしまっていたと思い出しました。
しかしこれではアート思考は磨かれないので、そこでオススメな方法がアウトプット鑑賞だそうです。
これは至ってシンプルで、作品を見た感想を紙に書き出すだけです。
先ほどの作品を見ての感想はシンプルに「なぜ?描いたんだろうか」の疑問はこの先にありました。
ルネサンス画家と20世紀アーティストの違い
ルネサンスの時代は『画家が好きなように描く』という考え方はほとんどなかったそうです。基本的には依頼された通りの絵を描くことが普通であり、家具などを作る「職人」と同じように扱われていたようです。
当時の素晴らしい絵は、目に映る通りに描かれた作品でそれが正解(アート)とされてきたようです。
画家に自画像を依頼するのってお金持ちのイメージがありますので、先ほどのような絵を「完成しました!」と持ってこられても「え!?」ってなりますよね。
しかし、世の中に『あるもの』が誕生して一気に変わっていきます。
それは「カメラ」です。
カメラの登場で「目に映るとおりに描く」ということが一瞬で崩れ去りました。
『今日を限りに絵画は死んだ』
こんな言葉が生まれるくらいカメラの登場は、絵画の世界に衝撃を与えたようです。
確かに、固定電話しかない時代に携帯電話が急速に普及して行った結果は皆さんもご存知のとおり『固定電話』使わなくなりましたよね。
先ほどのマティスさん奥さんの肖像画を描いたのは、そんな時代の最中でした。カメラの登場によってアートの世界が変わってしまったが「アートにしかできないこと」を模索した結果の作品だったようです。
『目に映るとおりに世界を描く』という目的からの解放
先ほどの肖像画を見て「うーん・・」となったことは何も不思議なことではありません。なぜなら「うまさ」や「美しさ」から評価されているわけではなかったからです。
アートしにかできないことはなにか?を考えた結果たどり着いた作品であり表現の独自性が素晴らしいということになります。
それ以降アーティストの活動は徐々に独自性を出す方向にシフトしていきました。
あの肖像画は
『アート思考の幕開け』
ともいえる1枚となりました。
日本の小学校や中学校での教育で『独自性』を学んでいたら、日本人は「みんながやるからやる」という風潮ではなくなっていたかもしれませんね!