触れられない音
そう思ったら、止まらなくなってしまった。
それも一つや二つじゃない、このたくさんの想いを寄せる人。
そうやって繋いできた。私の生きてきた証だった。
独りにされることはなかった。
寂しくもなかった。でもそれは別世界だったんだ。
別世界を好きになりすぎて、現実が浮遊した。
現実じゃんって言う人もいるけど、なんだか違う。
生きている身体と住んでいる世界が違うような感覚。
心の居場所が現在地な気がした。
人がきらいだと言いながら、誰よりも見ている自分。
本当は誰よりも好きだったんでしょう?
それを奪われて、消されて、辛かったんでしょう?
人のいない世界もまた、恐ろしいほどに怖くなる。
人の声のない世界なんて楽しいはずがない。
一番近くで耳にしていた距離。
その人そのものの声と、鼓動という名のメロディで
今の自分に必要な人を感じて選んできた。
無数に聞こえるものは大抵流れていくけれど、
必要なものだけ全部、心に止まって聞かせてくれた。
それが届くということ。
最近は、ため息が出るほどの好きが溢れる。
ため息が出るほどの会いたいが溢れる。
本当の絶望の先にもやっぱり”人”が必要な私たちだった。
手を伸ばす先に、どれほどの想いが重なるだろう。
これが臆病がゆえの最大限にして最も近い距離。
そう思ったら、もっともっと近くに居たかった。
温度が確かめられるほどの距離とそばに居たかった。
まだ間に合うのかな?
触れられないって、こんなにももどかしいんだね。
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