「コロナとバカ/ビートたけし著」ビブリオエッセー
《こう思っている人は少なくないでしょ》
そもそも、これだけ二極化した人は珍しいだろう。
映画監督としての「世界の北野」。
この本で自分でも言っているように、今の時代に30代40代を生きていたら、逮捕ぐらいで済まされない(まぁ、逮捕はされてるか)ほどのはちゃめちゃな事をやっていたらしい「芸人ビートたけし」。
本人の中で、一元化しているのかはわからないけれど、テレビの画面や紙媒体でしか知れないこっちとしては、もし顔が見えなくて、「北野武」「ビートたけし」とそれぞれの活躍ぶりを聞かされたとしたら、同一人物と思うのは難しいかもしれない。
「ビートたけし」として書かれたこの本。
書いてあることは多くの人が気づいているけれど、声に出しづらくて、モヤモヤしている事かなと思う。
少なくても私はそのひとりだ。
政治批判しては‥‥
ワイドショー批判しては‥‥
コロナ警察とか、SNS炎上とか、一般市民でも標的になる時代。
躊躇する場面はある。
偏った考え方を持った人が、斜め上から目線で小馬鹿にしたような口調、したり顔で御託を並べ、そう考えない私の方がおかしいのかと勘違いしそうになる。
私の仕事で、よく言われるのがいくつかある。
「自家製天然酵母じゃないんだぁ」
「砂糖使ってるんだぁ」
「小麦粉食べないんだよね」
「米粉じゃないんだぁ」
「バターなんだぁ」
‥‥
(あーそうですか、じゃ、安全性がわからない窓辺でぶくぶくさせた自家製酵母でじぶんでつくれば?はい、砂糖はわるものじゃないし、少しでも栄養素が残っていて体に優しい甜菜糖を使ってますが、それが何か?小麦粉アレルギーなのかしら?グルテンをとっちゃいけない人は、グルテンが良くない病気がある人ですけど?植物性のマーガリンが体に良い?トランス脂肪酸は関係ない?上質な昔ながらの製法で作られた北海道バターで悪かったかしら?)
と、まぁ、心の中で叫んでいたりする。
「そうなんですねー」
と流して、お引き取りいただけるのを待つのみ。
本書から
「国民が政治を嘲笑しているあいだは嘲笑に値する政治しかおこなわれない」
「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」
松下幸之助氏の言葉だそうだ。
たけしさんの言葉で言えば
『安倍前首相もあきえふじんも「国民のレベル」を反映していた。あの「甘さ」こそ、ニッポン人の象徴だ。』
そうか、あの姿は私たちの姿なのか。