グーグル翻訳が進化する一方で、英語教育が過熱する矛盾

わたしは仕事でグーグル翻訳を使うことがある。
2016年にニューラルネットワークが取り入れられてからの進化は目を見張るものがあった。もう翻訳者は必要ないのかもしれないとも思った。

と同時に、子ども達の英語教育は過熱していく一方だ。

昨今の新型コロナの影響で影を潜めているが、2020年から学習指導要領が変わる。その中でも英語教育の存在感はとりわけ大きい。
グーグル翻訳があるからもう英語を勉強する必要がないのではと言う大人がいる一方で、英語教育の改革が求められる現実がある。

では、なぜそんな矛盾が起きているのか。
私なりに考察してみた。

1.世界はもはやひとつ
今回の新型コロナで改めて認識したが、言うまでもなく世界はひとつに繋がっていた。繋がっていなければこのスピードで感染はしないのだろう。
既に人間は国を超えた地球人なのかもしれない。
言葉で分断される理由はもはやないのではないか。

良質な情報を得るためには、共通の言葉を武器にできたほうがやはり有利だ。そして膨大な情報のなかから良質な情報を取捨選択するのは未だ人間の役目だ。AIは言われたことを人間とは比べ物にならない速さで処理するが、その処理を指示するのは人間だ。


2.日本はゆっくりと衰退している
日本は2055年には人口が1億人を下回ると推計されている。35年後といえば現在義務教育の子どもたちが働き盛りの頃であろう。人口が減っているのに、経済が潤っていくことは厳しいのではないか。

35年後も現在と同じく国内企業で働いている人もたくさんいると思うが、英語ができれば外資系企業や、外国で働く選択肢も増える。その場合、機械翻訳をするためにいちいちスマホを開いたり、グーグルグラスを身に着けたりする動きはあまり人間的ではないのだろう。


3.グーグル翻訳で文化は学べない
英単語を覚えたり、文法を学んだりすることはもちろん大切だが、それ以上にその国の文化を知ることは重要だ。ことばは文化と密接な関係がある。以前「海外のスターバックスでちょっと恥ずかしかった話し」でも書いたが、現地での空気感みたいなものを知るには、やはりそこに行かないとわからないことが多い。グーグル翻訳では文化まではわからない。日本語の「よろしくお願いします」の意味は無数に何通りもあるけど、その様なことばを相手に寄り添って翻訳することはまだグーグル翻訳には難しい。


4.グーグル翻訳もたまに間違える
かなり進化した機械翻訳だが、やはり間違えることはまだある。そして進化すればするほど、その間違いは見つけづらくなる。その進化に比例して、間違いを見つけるための英語力は高いものが求められるのではないかと思う。


まとめ
個人的な経験になるが、以前駅で電車が止まってしまった時に、中国人の女の子にグーグル翻訳で今どんな状況かを聞かれたことがある。中国語から日本語に翻訳したちょっとぎこちない日本語がスマホ上に表示されてあったが十分理解できた。中国語を知らない私は、出来る限りの優しい日本語と英語でとっさに言葉で説明してみたが、それがちょっと滑稽だったのか中国人の女の子はちょっと笑顔になった。そして何故かわたしも笑顔になった。結局話は伝わったのだが、機械翻訳がなかったら日本で困っている外国人に何かを伝えることは出来なかったと思う。その子とはその場限りの会話だったが、こんなに話が通じるなんてもっと話してみたいとも思った。

旅行などの一時的な会話となると、機械翻訳は大活躍するが、人間とは欲深いもので、一旦会話が成立すると、もっと話してみたい欲も出てくるものだとその時思った。機械翻訳が進化して世界の垣根が低くなったからこそ、その先の何かを追い求めたくなる気持ちが強くなるのではないだろうか。


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