【vol.15読書記録】仮想人生/はあちゅう

現代ならではの小説。
この間、古市さんの本を読んだ時にもそう思ったけど。

架空の人物だけれど、確かにこういう人、世の中に沢山実在しているだろうなと感じる人が小説の中で登場してくると一気に話が身近に感じる。

誰に聞いて欲しいわけでもない。
でも独り言ってわけでもないSNSの投稿。

一人が気楽だとか、一人が好きだとか言いつつもやっぱりみんな誰かと繋がっていたいんだ。

反応が欲しい。

でもリアルな友達に話しを聞いてもらうというのとは違くて。
その矛盾が集まってるのがSNSなんだと思う。

SNSがなかった時代、どうやって過ごしてきたかな。

自分とは違う人間の存在を生み出したいという思いは毛頭ないけれど、私のツイッターのアカウントを知っているリアルな友達は数人。

どこかで自分とは切り離して何かをつぶやいたり感情を出したいという思いはあるのかもしれない。

愚痴や弱音も本音も気軽にツイートできる。

そこでどれだけのことをつぶやこうが、汚い言葉を使おうが、めんどくさい位に落ちこもうが、次の日私を見る周りの反応が変わることはない。誰かに嫌われるんじゃないかって怖がる心配も相手を不快にさせちゃったかななんていう後悔もそこにはないから。

見たくなかったら一つボタンを押す。
フォロワーの数字が1減る。
たったそれだけのことで済むからだ。

こういうとすごく嫌な感じがするけれど、それで誰かに八つ当たりしたりするくらいなら、それでいいかなと思ってしまう自分もいる。

“現実世界で「普通の人」でいるために裏での息抜きが必要なんだー。”

物語のユカや愛のように、いつか自分が、理想の自分との距離を少しでも埋められた時、SNSから少しずつ離れられるのかな。



登場人物、それぞれの視点や気持ちをみれるのが現実社会とは違う、本や映画ならではの楽しみだと思う。

話は移り変わりつつも一本に纏まっている構成が個人的に◎ 


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