散らかった部屋で何思ふ・第42回 “のぞき穴”
もう9月になった。早いものだ。私は相変わらず、心の中に空いた穴を埋められずに居る。でも、今はそれでいいと思っている。この喪失感を背負い続けることが、私に課された試練なのだと思ったから。
もし仮に、心が完全に満たされたならば、私は私ではなくなってしまうだろう。それがとても怖いのだ。何かを生み出す原動力となるのは、結局のところ、心の内にある欠落であったりもするのだ。
心の乱れをアウトプットすることで、私自身に内在している魔物を抑え込むことができるような気がしている。生きることに疲れたら、ノートを開く。その繰り返し。一種の暇つぶしだが、欠かせないルーティンになりそうだ。綺麗事だと言われようが、偽善者だと言われようが、外野の声なんて一切気にしない。
人は何故苦しむのだろうか。考えても答えは出てこない。それでも考えてしまうのが人間だ。苦しみの正体は分からないし、朝起きて突然絶望感に襲われたりすることだって往々にしてあるし、ある種の炎症なのだろう。時間が解決してくれるような、そんな類のものなのだろう。
心の中にぽっかりと空いた穴を見つめる。得体の知れない巨大なブラックホールのような、そんな今にも吸い込まれそうな穴を覗いてみる。いっそのこと、吸い込まれてしまった方が楽になるのだろうか、と考えそうになるが、ギリギリのところで思いとどまっている。
あぁ、何のために生きているのだろうか。答えは誰にも分からないし、私だって知らねぇよ。それだけの話。