合意形成の必殺技
身の回りにある影響力のうち大きなものとして
「他人が何かしてくれたら
こちらも何かしてあげなくてはいけない」
という常識があります。
この「義務感」が存在することによって
人類は発展してきました。
今回は
この「義務感」をベースに
「返報性」「譲歩」をメインテーマとして
日常生活に活用する方法を述べたいと思います。
前回同様
今回もサクッと読める文量となっており
読み終えた直後から日常生活へ生かすことができます。
1. 返報性
1-1. 返報性の威力
先ほども少し触れた
「何かをしてもらったならば
何かをお返ししなければならない」
というこの「義務感」は
一体どれくらいの威力を持っているのでしょうか
簡潔に伝えると
「到底釣り合わない要求に対しても応えてしまう」
ほどには効果を発揮します。
とりわけ
最初に与えられるサービス・施しが
「個々人にとってカスタマイズされたもの」
であればあるほど大きな効力を持ちます。
ただ
この恩恵を受けたいならば
注意すべき点があります。
自分が相手に対して
先に何らかの恩恵を与えた際に
「大したことじゃありませんよ」
といった具合に
自らの親切を矮小化しないことです。
例えば
「立場が逆だったなら
あなたも同じような親切を私にしたでしょう」
といった言葉を使って
できるだけ返報性の効力を維持することに努めましょう。
また
返報性が発揮されるのは
個人同士の関係に留まりません。
もしあなたが
相手の子供に対して何らかの親切を実行したならば
その親はあなたにお返しをしてくれるでしょう。
つまり
「相手が所属するグループ」
に対しても返報性は効力を発揮するのです。
1-2. カスタマイズされた返報性
先ほども少し触れたのですが
とりわけカスタマイズされた親切に対して
返報性は大きな効力を持ちます。
例えば
とあるホテルに宿泊していた客が
テニスをしたいのでラケットを貸して欲しい
とホテルのフロントに頼んだ事例がありました。
しかし
ホテルには1組のテニスラケットしかなく
しかもそれは既に他の客に貸し出されてしまっていました。
そこで
ホテル側はすぐさま従業員へ指示して
近くのホームセンターでラケットを1組買いに行かせ
その客に貸し出しました。
このことに宿泊客は大変感激し
その場で次の宿泊予約を取ったのです。
もし仮に
最初からラケットをもう1組用意していたならば
この宿泊客はむしろ
特別な感謝の念を抱くこともなければ
記憶に残ることもなかったでしょう。
「生じた問題に対応する」という親切は
受け手からすると都度カスタマイズされたものであり
返報性の中でもとりわけ大きな威力を発揮します。
1-3. 不公平な交換
返報性は威力の高さゆえ
明らかに不公平な交換であっても
相手を応じさせてしまうことができます。
その理由は2つあります。
1つ目は
親切にされたままの状態は
私たち人間にとって非常に不愉快であるという点です。
どうしてそのような感情になるかは非常に明白です。
人間社会においては
相互扶助は極めて重要であるため
私たちが幼少の頃から
恩義を受けたら返さなくてはならない
という常識を刷り込まれているのです。
2つ目は
嫌われたくない
という感情に起因しています。
返報性のルールを破る人はしばしば
乞食・たかり屋などどして周囲から疎まれ
集団から阻害される傾向にあります。
このレッテルを貼られたくないばかりに
人は不公平な要求にも応じてしまうことがあります。
2. 譲歩
2-1. 譲歩の威力
我々は
人と交渉する際
自分にとって最も理想的であるものの
相手にとって簡単には受け入れ難い要求を持っているものです。
譲歩とは
最初の相容れない要求をうまく調整し
妥協する手続きによって成立します。
返報性のルールは
譲歩にも作用します。
既に行われた譲歩に対して
同じような譲歩を行うことを
受け手に対して圧力をかけることができます。
そのため
最初に自由に譲歩をした方が有利ということになります。
そこで
以下のようなテクニックが存在します。
2-2. 譲歩のテクニック
①まず確実に断られるであろう要求を提示
②譲歩して自分が本当に通したい要求を提示
するという方法です。
非常に単純ですが
絶大な威力を発揮します。
なぜ大きな効力を発揮するのかというと
このテクニックには
「知覚のコントラスト」も
含まれているためです。
つまり
最初に大きなものを見た後では
その後に見たものを実際よりも小さいものだと
認識してしまうのです。
①譲歩による圧力
②知覚のコントラスト
この二つの力が作用するため
「ドア・イン・ザ・フェイス」もとい
「あえて一度断らせる」ことは非常に有効な手段と言えます。
また譲歩には
先ほど説明した2つの力に加えて
「譲歩された側が満足感を得る」
という嬉しい副産物があります。
相手からすると
当初の大きな要求を屈服させ
自分の思い通りに「取りまとめた」と感じ
その契約をより忠実に履行しようとするのです。
2-3. 身を守る方法
では
この仕組みを知り尽くした
玄人柔術プレイヤーのような人物が現れたなら
どのようにして身を守れば良いのでしょうか。
方法は至って簡単です。
まずは相手からの好意を素直に受け取るのです。
そして
その後の相手の動きを観察し
最初の親切がただの好意から来たものではなく
その後の成約へ結びつけるための第1歩であると分かったなら
その要求のみを断れば良いのです。
まとめ
いかがだったでしょうか
今回の記事では主に「返報性」「譲歩」について
解説してきました
「返報性」においては
相手もしくは相手が所属するグループに対しても効果を発揮し
とりわけ個人にカスタマイズされた親切が
大きな効力を発揮するとお伝えしました。
「譲歩」については
①先に断られるであろう要求を提示
②譲歩して真に通したい要求を提示
することが有効で
達人が現れた場合は
好意のみを受け取り
その後の成約へ結びつけるための布石であったならば
断れば良いという話でした
ぜひとも今日から日常生活へ落とし込んで
活用してみてはいかがでしょうか