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包摂の転機【第三章】課題領域の分析と理論の適用②【1】外国人労働者受け入れ政策の意義と課題】

東城敬貴 keiki tojo

【第三章】課題領域の分析と理論の適用②
【1】外国人労働者受け入れ政策の意義と課題】

【1,215字】

包摂の転機【第三章】課題領域の分析と理論の適用①序説
【前回からの続きです】

　外国人労働者受け入れ政策は、労働市場を支えるうえで大変重要な役割を担っております。

　特に、技能実習生制度や特定技能ビザなどの枠組みを通じて、さまざまな国や地域から人材を招き入れる機会が広がってまいりました。あくまでも民間の主導的な歴史の中で、制度の創設や改正が後追いだったことが課題でもありました。

　こうした政策は、深刻化する人手不足を補う即効性がある一方で、民間の大企業や中小零細企業が自社の経営課題のために主導してきた歴史の中で、当該外国人が地域社会との接点を持ちにくいまま就労するという側面をはらんで来ました。

　その結果、特に地方地域では、彼らが孤立し、生活やコミュニケーション面で不安を抱える状況が生じやすくなる点が懸念されてきました。

　このような問題を解決するためには、言語教育や住環境、生活サポートなどを含む包括的な受け入れ体制を整えることが不可欠であります。

　具体的には、外国人向けの日本語講座や相談窓口を地域社会が主体的に用意し、日常生活全般にわたる情報提供を行うことが挙げられます。

　また、職場と地域コミュニティが連携し、文化交流イベントや日本の生活習慣を学ぶプログラムを開催することも有効と考えられます。

　こうした試みは、外国人が職場だけで完結する存在ではなく、地域の一員として迎え入れられる大切な契機となります。

　さらに、このような多文化共生への取り組みは、互いの文化や価値観を理解し合う関係を育むうえでも大きな意味を持ちます。外国人労働者は「異質な存在」として遠巻きに扱われやすい一方、日本社会側にも慣れ親しんだ暮らし方や考え方を変える負担感が生じる場合がございます。

　しかし、言語や習慣の違いを克服しながら共通の目標に向かって協力する過程は、新たな発想やスキルをもたらすだけでなく、国際的な視野を広げる絶好の機会でもございます。

　社会統合モデルの観点から申し上げますと、外国人労働者を単なる労働力として扱わず、生活やコミュニティにおける役割を明確に位置づけることで、多様性を推進する「共創の土台」を形成することができます。そのためには、自治体や企業のみならず、NPOやボランティア団体、教育機関など、多様な主体が協力し合いながら環境整備を進めることが望ましいといえましょう。

　多文化共生を意識した受け入れ政策を進めることで、外国人労働者にとっても日本社会にとってもウィンウィンとなる状況が生まれ、地域の活力や社会の創造性を高める効果が期待されます。

　寛容さをもって、外国人労働者を温かく受け入れ、多文化が交わる場を積極的に作り出す姿勢こそが、これからの日本に求められる変化の一つと言えると思います。

　彼らが担う役割を社会全体で認め、その生活を包括的に支え合うことで、さらなる成長と多様性を実現できるのではないでしょうか。

　こうした取り組みを着実に推し進める先にこそ、社会統合モデルが目指す「共生社会」の具体像が見えてくるのだと考えます。

【次回に続きます】

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