【おテラのミ・ラ・イ】フリスタ代表 加賀俊裕僧侶
仏教の、僧侶の、新開地に挑み続けて10年 『フリースタイルな僧侶たち』
初回を飾るのは、発足10周年を迎えた、フリーペーパー『フリースタイルな僧侶たち(以下「フリスタ」)』3代目代表の加賀俊裕僧侶(真言宗御室派)。企画からデザイン、取材、文章、写真、イラストに至るまで、「制作は僧侶たちでやっています」というから驚きです。フリスタの役割、寺院再生のヒントとなるお話など、加賀代表に伺いました。
『フリースタイルな僧侶たち』とは
フリスタは、初代、池口龍法僧侶(浄土宗)が立ち上げ、その後、若林唯人僧侶(浄土真宗本願寺派)が2代目代表に就任。2018年4月より私が3代目代表として引き継ぎました。10年前、「仏教を身近に、日常に。そして、あなたの生きる力に」。この思いのもと、宗派を超えて僧侶が集まり、今は8名ほどのスタッフで、フリスタの発行、ウェブの発信、イベントの実施など、型にとらわれない活動を行っています。
この10年間、3人の代表はそれぞれ、自身の中で投影したいテーマを掲げ、誌面を企画。私のテーマは、「日常のなかで、仏教を生きる」。仏教の教えをどのように実生活に結びつけていけば、仏教をより日常に取り入れてもらえるのか。それを実践しているお寺の奥さまや、『仏女新聞』を発行している女子高生など、一般の方の目線を通じて仏教にスポットをあてています。
51号で登場いただいた「フェリシモおてらぶ」部長の内村氏もそのお一人で、仏教を実生活に結びつけ、さまざまな仏教グッズを開発。フリスタと、その「おてらぶ」がコラボして、トイレの神様で有名な「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」をモチーフにした、浄化グッズ「うすさまトイレットペーパーバック」を現在、共同開発中です。使いたくなるような日用品を通して、仏教を身近に感じていただく。これもまた仏教を日常に浸透させていく、きっかけの一つになればと願っています。
僧侶も在家もともに学ぶ、目指すは「松下村塾」(しょうかそんじゅく)
これまでは、「寺離れ、檀家離れ」を食い止めるために、お寺に人を呼ばなければ・・・と、ファッションショーを開いたり、有名人を招いたりしましたが、一過性で終わり、お寺に残る人は少しでした。寺院再生に必要なのは、そういうことではなく、お寺さんに足を運ぶ可能性のある人は、どんな悩みをもっているのか。どうすればその苦しみを取り除けるのか。そういったことに想いを寄せることが大事なんだと、フリスタと関わることで改めて気づかされ、私も日々学ばせていただいています。
10周年は通過点。今後は、さまざまな議論をする場であったり、仏教の本来の目的である苦しみを取り除いていく、そのためのプラットホームにフリスタがなればと。松下村塾のように僧侶も在家も関係なくともに学び、何かを生み出していける。そんな面倒見のよい団体にしていきたいですね。
加賀俊裕(かが・しゅんゆう)。1986年、大阪ミナミ・三津寺の長男として生まれる。京都大学工学部中退後、障害者サポートのボランティア参加を機に、仏門に入ることを決意する。2013年から京都「仁和寺」にて1年間の仏道修行を勤めたあと、自坊に帰り、副住職となる。
加賀俊裕僧侶のインタビュー動画はこちら
「フリースタイルな僧侶たち」公式HP
「フリースタイルな僧侶たち」の記念すべき創刊号
フリスタの発行は年4回。発行部数各回15,000部。全国約80か寺の寺院、企業・団体・個人など全国600か所に配布。「修行体験ブッダニア」「はんにゃしんぎょう』を咀嚼する会」
「アラサー僧侶とゆるーく話す会」などフリスタ主催イベントも年10回ほど開催。現在、フリスタの活動を応援してくれるサポーターや、スタッフとして参加していただける僧侶、ボランティアを募集中。
(2019年発行当時、現在の情報は公式HPをご確認ください。)
2023年9月現在、62号「金」を発行し、発行部数は毎号15,000部を超えているとのこと。近年ではTikTokのフォロワーが4万人だとか・・・すごい!
現在の3代目編集長、稲田ズイキ僧侶はX(Twitter)で若い世代にも共感できる話題に仏教の視点を取り入れ発信するなど、これまでにない切り口によって若い世代に信仰の有無を問わず支持されておられるカリスマ的な存在です。「巡縁」運営も、これからのフリスタのさらなる発展を陰ながら応援しております!
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