中学受験 時事問題の最重要POINT
近年の中学入試において、「時事」に関する出題は定番になっており、例年、約8~9割の学校で出題されています。
このように出題校が多い理由としては、時事問題は、現実の様々な問題に関心を持ち、受験生自身の頭で考えているかどうかを確認することができるからです。
時事問題とは
時事問題とは、主に入試の前年に発生した日本や世界の重大事件、社会情勢、政治経済などの分野から出題される問題です。また、受験の前年または受験の年が節目となるような歴史上の出来事に関する問題である「周年問題」も時事問題の一種です。
「周年問題」の例として、2024年度の入試では、2023年が発生して100年にあたる関東大震災について、首都圏を中心とした多くの国立・私立中学で出題され、雙葉中学では理科で出題されました。
【出題校:雙葉中学(2024年)】
2023年は関東大震災を引き起こした大正関東地震の発生から100年の節目の年でした。大正関東地震の発生した日は「防災の日」とされています。それはいつですか。以下から一つ選び答えなさい。
①1月17日
②3月11日
③9月1日
④11月5日
⑤12月7日
【正解】
③9月1日
筑波大学附属駒場中学の社会では、関東大震災が発生した日が何の日であるかを答えさせる出題がありました。
【正解】
防災の日
時事問題と聞くと、範囲が広く取り組みにくいように感じるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
入試本番で出題されやすいテーマは確実に存在し、問われるポイントが明確であるケースが多いです。
まずは、これまでに難関校で実際に出題された時事問題の例を紹介します。
時事問題 過去の出題例
【法律の改正に関する出題例(広尾学園)】
昨年の民法の改正によって変更された内容として正しいものを選びなさい。
ア:今回の民法の改正により、18歳が成人となるため、飲酒や喫煙が18歳から認められるようになりました。
イ:今回の民法の改正により、それまで男性18歳、女性16歳あった結婚開始年齢が男女とも18歳に統一されます。
ウ:今回の民法の改正により、憲法改正の国民投票で選挙できる年齢が18歳以上に引き下げられます。
エ:今回の民法の改正により、それまで25歳以上であった国会議員への被選挙権(立候補できる権利)が18歳以上に引き下げられます。
【正解】
イ
【財政に関する出題例(ラ・サール中学)】
日本の国家予算に関連する説明として正しいものを選びなさい。
ア:国家の機関の中で、国家予算に関する仕事をする省庁は経済産業省である。
イ:2017年度国家予算の収入において、借金の額が徴収した税金の額を上回った。
ウ:2017年度国家予算の収入において、金額が多い順に三つの税金をあげると、所得税・法人税・消費税となっている。
エ:2017年度国家予算の支出において、金額が多い順に三つの項目をあげると、社会保障費・地方財政費・国債費となっている。
オ:軍事や防衛に関連する金額が国家予算の支出額に占める割合を比較すると、2017年度の方が1935年度よりも高い。
カ:2018年12月に内閣で決定された2019年度国家予算案の金額は、初めて100兆円を超えた。
【正解】
カ
【身の回りの時事出題例(ラ・サール中学)】
現在世界中で、石油に依存した社会からの脱却に向け、様々な取り組みが行われています。日本で2020年7月1日から始まった( )有料化もそういった運動の一つです。一方で、まだまだ石油に依存した社会から完全に脱却することは難しいのが現状です。
問1:文中の( )に適する語を答えなさい。
【正解】
レジ袋
2025年入試で出題が予想されるテーマ
新紙幣の発行
これまでにも既に多くの中学校で新紙幣に関する出題がありましたが、今年度は更に多くの出題が予想されます。
まず、慶應義塾中等部で以前に出題された問題を紹介します。
(問1)新紙幣の肖像画に使用される人物名の正しい組み合わせとして正しいものを選び、答えなさい。
1.一万円札:北里柴三郎 五千円札:渋沢栄一 千円札:津田梅子
2.一万円札:渋沢栄一 五千円札:津田梅子 千円札:北里柴三郎
3.一万円札:津田梅子 五千円札:北里柴三郎 千円札:渋沢栄一
(問2)新千円札の裏面で使われるデザインを選び、答えなさい。
1.東海道五十三次
2.風神雷神図屏風
3.富嶽三十六景
4.見返り美人図
【解答】
問1:2
問2:3
以前の記事(新紙幣の発行)で新紙幣について詳しく、紹介しているので是非確認してみてください。
「佐渡島の金山」の登録が決定
インドのニューデリーで開催された第46回世界遺産委員会において、「佐渡島の金山」が世界文化遺産として登録されることが決定しました。
これにより、日本の世界遺産は計26件になりました。
これまでも多くの中学校で世界遺産に関する出題がありましたが、「佐渡島の金山」が世界文化遺産として登録されることが決定したこともあり、2025年入試では多くの出題が予想されます。
今回、「佐渡島の金山」が世界文化遺産として登録が決定したことにより、鉱山という括りで、石見銀山、足尾銅山、別子銅山などの出題が増えることも予想されるため、是非チェックしておいてください。
2023年出生数 過去最少72.7万人
2023年の出生数(2023年に生まれた日本人の数)が過去最少の72万7277人だったと厚生労働省が発表(2024年6月5日)しました。
8年連続で出生数が減少し、合計特殊出生率も1.20で過去最低となり少子化が急激に進行しています。
※合計特殊出生率:一人の女性が一生で出産する子どもの数を示す数値
パリオリンピック・パラリンピック
フランスの首都パリでオリンピックが開催され、日本代表は合計45個のメダルを獲得し、海外開催の大会としては過去最多の数となりました。
なお、今大会は、ウクライナへの侵攻を理由に、ロシアは国としての参加は認められていません(※個人として参加)。
今後の開催地については、2026年冬季大会はイタリア、2028年夏季大会はアメリカでの開催となります。
※フランスはヨーロッパ連合(EU)の中心国であり、花の都と呼ばれている点もチェックです。
地球温暖化対策
大気中の温室効果ガスの増加により、地球の気温が上昇する現象を指します。※二酸化炭素は、化石燃料を燃やした時に大量に排出されます。
2023年の世界平均気温は、観測史上最高値を記録しました。
また、2023年に国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が開催され、2050年までにカーボンニュートラルの達成が必要であり、化石燃料からの脱却の加速化についても合意しました。
カーボンニュートラルとは?
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
日本は、2030年度までに2013年度比で46%削減し、2050年までに排出量実質ゼロを目指しています。
日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞
日本原水爆被害者団体協議会(=日本被団協)の受賞理由について、「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはならないと証言を行ってきた」と評価されたためです。
日本のノーベル平和賞受賞は、非核三原則を表明した佐藤栄作元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶり、2度目です。
これらのトピックスに加え、「物価高」「アメリカ大統領選挙」「東京都知事選」なども重要です。
出題可能性が高い論点については、今後詳しく紹介していきます。
最後に
繰り返しになりますが、近年の中学入試において「時事」に関する問題は多くの学校で出題されています。
現実の様々な問題に興味や関心を持ち、受験生自身の頭で考えることができる受験生を求めていることが背景にあるのではないかと思います。
一方、時事問題は明確なポイントがあることが多く、学習効果が高い分野でもあります。
今後、2025年入試で出題可能性が高いポイントについて紹介していきますので、得点力アップに是非ご活用ください。