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「書籍が買われる構造」を約10000文字かけて定量/定性で分析したので出版社・書店関係者に届いて欲しい

 出版社にとっても本屋大賞は、芥川賞や直木賞よりも欲しい賞だといわれる。「店頭で開くお祭りにみんなで参加してもらう感覚。書店がフェアを大きく展開するので、ノミネートだけで本の売り上げが大きく伸びる」。本屋大賞実行委員会理事長で「本の雑誌」編集発行人の浜本茂氏はそう話す。
 なぜこの賞がこれほどの存在感を持つようになったのか。スタートは2004年。選考委員が協議して決める従来の文学賞と異なり、書店員による投票方式を取り入れた。書店員が「いちばん売りたい本」を選ぶという同賞のコンセプトは、偉い選考委員のお墨付きより、等身大のお薦めを求める今の読者のニーズにぴたりとはまったのだ。

「本の賞」なぜ活況 「お墨付き」より「お薦め」の時代

筆者はこれまでビジネス書16冊を執筆する機会に恵まれ、フアンからの応援もあって、紙・電子合わせて約10万部の実績を残すことが出来ました。厚く御礼申し上げます。

ただ、お恥ずかしい話ですが、今まで1回も書籍に関する市場調査を実施してきませんでした。「本が選ばれる構造」も「本を読む理由」も分からぬまま、本を書いてきました。

これは良くない。偉いマーケターに怒られちゃう。知らんけど。

そこで今回は「書籍の購買行動」に関する定量・定性調査を実施し、「どうすれば書籍が選ばれる機会(=売上)を増やせるのか」「人はなぜ書籍を手にするのか」を徹底的に分析しました。

結構な力作なので、出版社・書店関係者に届けば幸いです。知ってるわ、と言われるかもしれないけど。

■定量・定性調査について
セルフ型アンケートツール「freeasy」にて、全国15歳以上の男女10,000人を対象に調査を行った。また、そのうち「年10冊以上書籍を読む」と回答した500人を対象に追加調査を行った。
調査では、人口構成比率割付で算出しており、各年代の回答者数は以下のような内訳となっている。
10代…510人。
20代…1150人。
30代…1260人。
40代…1620人。
50代…1540人。
60代以上…3920人。
60代以上めっちゃ多いやん!と驚かれた貴方。日本の平均年齢は48.6歳で、超高齢社会なんですよ。

ちなみに、この記事に990円課金して頂くと、定量・定性調査の調査票・ローデータを見ることが出来ます。

さらに分析したい出版社関係者の皆様、分析に耐えうるデータを求めているデータサイエンティストの皆様には、お買い得な料金設定かと筆者は思います。知らんけど。


【定量調査】2022年書籍市場の規模は?

公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所とHON.jpによると、2022年書籍市場(紙・電子含む)の規模は6,680億円でした。ピークの2004年は9,149億円ですから、約20年間で市場は27%縮小したことになります。詳細は上の記事をご一読いただければ幸いです。


直近1年間で、1人あたり何冊購買しているか?

市場規模は、延べ購買冊数 × 平均価格に因数分解できます。さらに、延べ購買冊数は消費者数 × 平均購買冊数に因数分解できます。

そこで、まずは延べ購買冊数を知るために「直近1年間で、1人あたり何冊購買しているか?」を調査しました。その結果がこちらです。

「1人あたり何冊購買しているか?」(n=10,000)

10,000人に聞いた結果、69.70%が「0冊」と回答しました。見方を変えれば30.30%が「年1冊以上」と回答しており、以外に多いな…と感じます

また、6.22%が「年12冊以上(月1冊以上)」、1.99%が「月10冊以上」と回答しており、いわゆる活字中毒も一定層確認できています。

年代別の結果は以下の通りです。年代が上がるほど、書籍を読まなくなる傾向にあると分かります。ちなみに、13冊以上読む層も一定いますが、見辛くなるので割愛しています。

「1人あたり何冊購買しているか?」(年代別集計)

ここまで数値で表現できたなら、森岡毅さんの「確率思考の戦略論」で書かれた「市場構造の本質」(=NBDモデル)を数値モデル化することが可能になります。すなわち「M」が算出できます。

Mが意味するものは何か? Mは選ばれる確率そのものです。数学的にMは、自社ブランドを全ての消費者が選択した延べ回数を、消費者の頭数で割ったものです。例えば、選挙の時に、現実社会のように投票する時期や投票数(1人1票)などのしがらみのない世界で投票することを想像してみてください。AKBの総選挙のような世界です。その世界では一定期間内に、いつ、誰に、何票、投票してもしなくても自由です。その世界で一定期間に自社ブランドのに投票されたすべての投票数を、選挙権のあった全ての人間の頭数で割ったもの、つまり「(一定期間内の自社ブランドに対する)1人当たりの投票数」、これがMです。
(略)
つまり、戦略の本質とは、市場全体の中で自社ブランドへの1人当たりの投票数をどう増やすかを考えることに他なりません。

確率思考の戦略論」P.58~P.60参照

今回の調査結果から計算すると、M(年平均購買冊数)は「5.33」だと分かりました。つまり、(同じ調査票でもう1度調査すると、結果は微妙に変わるでしょうが)平均すると誰しもが年5.33冊は買っているのです。各出版社は、1人5.33冊の奪い合いをしていると言って良いでしょう。

ちなみに、直近1年間で買った「書籍のジャンル」について3,030人に聞いてみました。その結果がこちらです。

「書籍のジャンル」(n=3,030)

「文学・小説・評論」への投票数が圧倒的だと分かります。年5.33冊の奪い合いは、このジャンルが圧倒的な覇者だと分かります。

さて、Mと浸透率(1冊以上買った率)は分かっているので、自動で「K」も求まります。その結果を踏まえて、NBDモデルを用いた予測値を算出してみました。結果は以下の通りです。

「1人あたり何冊購買しているか?」(実際と予測)

だいたい合ってますね。これで「書籍購買行動のモデル化」は完成です。

年1冊~年12冊の回答を折れ線グラフで表現してみます。青が実際、オレンジが予測です。キリの良い5冊、10冊、12冊の数字が予測より上振れていると分かります。「年何冊読んでいるか?」と問われて、選ばれやすい数字なのです。調査バイアスとも言えるでしょう。

「1人あたり何冊購買しているか?」(実際と予測)


直近1年間で、1冊あたり何円購買しているか?

延べ購買冊数は分かったので、次は平均価格を知るために「直近1年間で、1冊あたり何円購買しているか?」を調査しました。その結果がこちらです。

「1冊あたり何円購買しているか?」(n=3,030)

今どき文庫本でも600円以上するけどな…と考えつつ、意外と分散した結果となりました。計算すると、年平均価格は「1,120円」だと分かりました。

ここまでくれば、おのずと「市場構造」は浮き彫りになります。

今回の調査は、15歳以上を対象にしています。総務省統計局によると、15歳以上の人口は全国で約1億1044万人いると分かっています。すなわち、

1憶1044万人 × 5.33(M) × 1,120円(平均) = 6,592憶円

このように算出できました。冒頭に「2022年書籍市場(紙・電子含む)は6680億円」であると記載しましたが、誤差1.31%でニアミスの数値となりました。偶然でしょうが。


【定量調査】プレファレンスを伸ばすには?

出版社のプレファレンス

売上を伸ばすには、Mを増やすか、単価を上げるしかありません。そしてMを増やすとは、プレファレンスを高める戦いでもあります。先ほどと同じく森岡毅さんの確率思考の戦略論からの引用です。

プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています。
(略)
すなわち、我々は購入意志決定の争奪戦を行っているのです。購入意志決定は、そのカテゴリーにおける消費者が持つ相対的なプレファレンスによって決まっています。我々が奪い合っているのは消費者のプレファレンスそのものなのです。

確率思考の戦略論」P.22参照

そこで、各出版社に対して「総合的な印象(好感を持てるか?)」を調査しました。その結果がこちらです。

「総合的な印象(好感を持てるか?)」(n=3,030)

出版社別売上高は業界人の皆様が詳しいと筆者は思うので、個別具体な言及は避けますが、一般的には集英社、講談社、KADOKAWA、小学館が上位4社として知られる中で、「好意を持てる」の割合がほぼ連動していました。


購買体験で読み解く2つ目のプレファレンス

では、出版社に対する好意度を高めることが、売上に大きく寄与するのでしょうか? そうなのですが、それだけとは限りません。なぜなら「書籍の購買体験」は出版社ブランドと著者ブランドが絡み合っているからです。(もっと言えば、メディアミックスが当たり前の昨今は「堤真一の演技が凄かった容疑者Xの献身」みたいな"作品ブランド"も成り立つのですが、ややこしいので割愛します)

例えば、シャンプーを購入する際に「A社のブランドαを購入する」と選択を下したとします。その時、「B社のブランドβとは別物」とする暗黙の了解があるはずです。

一方で、書籍市場については「出版社Aの東野圭吾作品」「出版社Bの東野圭吾作品」が成立します

ブランドαとブランドβには特定由来の成分が含まれている…などの共通点はあるかもしれませんが、「出版社Aでも出版社Bでも作り手は同じ」という点は、他市場との構造で大きく異なります

マンガ業界だと、作者の奪い合いや、〇〇誌お抱え作者など、棲み分けをしたローカルルールもあるようですね。

そこで、書籍の購買体験における「決め手(何が後押ししたか?)」を調査しました。その結果がこちらです。

「決め手」(n=3,030)

「知っている著者の書籍だから、どの出版社から刊行されたか気にせず購入する。」は26%が「よくある体験だ」、32%が「たまにある体験だ」と回答しました。皆さんにも年に1度はあるはずです。

さらに「知らない著者の書籍だけど、知っている出版社で刊行されたから購入する。」は5%が「よくある体験だ」、15%が「たまにある体験だ」と回答しました。

つまり、「そのカテゴリーにおける消費者が持つ相対的なプレファレンス」を奪いあう購入意志決定について、出版社のみのプレファレンスでは勝てないことが明らかなのです。著者のプレファレンスも大きく影響していると言えます。

ただし、「著者のプレファレンスさえ高ければ良い」わけでもありません。今回の調査では聞かなかったのですが「配下率」(書籍が書店に納入される率)が売上には如実に影響してきます。売上の良い出版社と、そうでは無い出版社、「配下率」はかなり異なります。その差は「出版社の売上」「書店営業力」だと筆者は考えています。

矛盾しているように聞こえますが、書店は「売上のある出版社」というだけで棚に置いてくれる場合があります。それは、まさに出版社へのプレファレンスと同義でしょう。

恐らく、「知らない著者の書籍だけど、知っている出版社で刊行されたから購入する」のは20%という回答で驚いたのは、書店側かもしれません

つまり、出版社におけるマーケティングとは書店向けのBtoB、購入者向けのBtoCの2種類あると分かります。非常にややこしい。

ちなみに「書店に注力しなくても、今はD2C(AmazonなどのECサイト)の時代じゃん!」と皆さんは思われたかもしれません。そこで、書籍を「普段よく購入する場所(リアルの書店かECサイトか?)」を調査しました。その結果がこちらです。

「購入する場所」(n=3,030)

リアルの書店が、半数を超えていました。

よって、書店での購買体験は重要だし、書籍を売るために棚の確保が重要だし、そのためには配下率が重要だし、そのためには営業とマーケティングが重要だし…結局、出版社別売上高は(主に書店向けを意識した)「出版社に対するプレファレンス」と(主に読者向けを意識した)「著者に対するプレファレンス」の総量で決まると言っても良いのではないでしょうか。

ちなみに、年あたり本を買う冊数が増えるほど、この比率は変化します。ヘビーユーザーにこそ愛されなくてどうするんだ、書店よ。

「購入する場所」(冊数別)


どこで買うか、何を見るか

先ほど紹介した「決め手」を読むと「書店の店頭」「ネットの評判」「新聞広告」「SNS」の順に、経験として「たまにある」と分かりました。

「書店の店頭での特集」が効果を発揮するか? と考えれば、ショールーミングしているでしょうから「効くはず」と筆者は思うのですが、絶対とは言い切れません。

ちなみに、昨今は「店頭」「口コミ」「SNS」に力を入れていない出版社はいないでしょうが(実際、Twitterアイコンを見ると各社金色バッジです)、効果を発揮する世代は違います。

例えば「知らない著者の書籍だけど、SNSで反響があったから購入する。」と質問して、結果は10代と60代以上で大きく異なります。

「決め手」(10代と60代以上)

「知らない著者の書籍だけど、新聞の広告に載っていたから購入する。」と質問しても、結果は10代と60代以上で大きく異なります。

「決め手」(10代と60代以上)


【定量調査】書籍がもっと買われるには?

グダグダと話しましたが、要は以下2点がポイントです。

①出版社は、著者と共にM=5.33を競合と奪い合うため、双方のプレファレンスを高め合わなければならない。

②「店頭」「口コミ」「SNS」「新聞広告」これら購入を後押しする接点は、購買者の年代によって効き目が異なる。

著者は、とにもかくにもプレファレンスを高めるために、露出を増やさないといけません。本を売るためにも。「世界一受けたい授業」「日曜日の初耳学」からのオファー、お待ちしています!

もし筆者が出版社のCMOだったら、プレファレンスの高い人(≒テーマ)に執筆を依頼し、「店頭」「口コミ」「SNS」「新聞広告」に焦点を絞ったマーケティング施策を練るでしょうか。(この意味で、吉本芸人やSNSのフォロワー数が多い人に執筆を依頼することは「正解」なのでしょう)

もし筆者が書店のCMOだったら、プレファレンスの高い人の書籍を店頭に並べて重点的に販売するでしょう。加えて、「口コミ」「SNS」に注力するでしょうか。さらに書店自身のプレファレンスを高めて、ヘビーユーザーでも立ち寄ってくれる書店を目指すでしょうね。

知らんけど。


【定性調査】書籍とは何か?

文章完成法を用いた調査手法

定量的な分析を通じて明らかになった「市場構造」。続いて「書籍を買う理由」「書籍を手に取る理由」について、定性的な分析に取り掛かります。書籍とは何なのか、消費者のインサイトに迫りましょう。

年間で書籍を10冊以上読む人を「ヘビーユーザー」と定義し、10000人の回答者から500人を抽出して、文章完成法を用いた調査を実施しました。

ちなみに、ヘビーユーザーに限定するのは「書籍の効用を十分に知っているから」です。年に1冊か2冊買うだけなら「何となく」「流行っている」などの理由が通じます。

しかし、購買頻度が高い人たちは、偶然ではなく、書籍本来が持つ効用(ベネフィット)を理解していると言えます。その効用を丁寧に拾い上げることで「インサイト」に辿り着きます。

そのために、文章完成法を用います。以下のように文章に穴を開けて、空欄を埋めてもらう投影法の1つです。文章の前半を「刺激」に、回答する人は意味の通る文章を完成させます。

子供の頃、私は周囲から(      )だと言われていた。
なぜなら(      )なところがあったから。親は、そんな私に対してよく(       )と言っていた。
私は、親の意見に対して口には出さなかったけど、(       )と思っていた。 

【松本の解答例】
子供の頃、私は周囲から( 健太郎ならぬ本太郎 )だと言われていた。
なぜなら( 外に出歩く時はいつも本を持ち、移動中も本を読むよう )なところがあったから。親は、そんな私に対してよく( 本なんて図書館で借りろ )と言っていた。 
私は、親の意見に対して口には出さなかったけど、( 本を持つことで知識が身体に取り込まれるのであって、図書館に戻したら体内の知識が引き抜かれる )と思っていた。

文章完成法を通じて、私にとって書籍とは「持ち歩かないといけない肉体の一部」であると言語化に成功しました。すなわち、私の中に眠る言葉を浮かび上がらせるフレームワークが文章完成法です。

消費者にとって「書籍とは何か」を明らかにするために、以下のような投影法を用意しました。

本を読むことを1か月禁じられた私は、最終日には(      ) と例えられる。
なぜなら私にとって本は(      )だからだ。
そう思う背景には(       )かもしれない。 

家にある紙の書籍や電子上の書籍を全て廃棄するように家族から言われたら、私は(      ) という行動に出るだろう。
なぜなら(      )だからだ。
そう思う背景には(       )かもしれない。

あえて書籍が「禁じられる」「奪われる」ような状態を提示し、どれほど必要なのかを浮かび上がらせる文章完成法にしました(「飢餓法」とも言われています)。合わせて、その理由を知るために背景も聞くことにしました。


書籍に対する人間の10個の欲望

文章完成を用いて調査した結果、消費者は書籍に「10個の欲望」を見出していると分かりました。その結果がこちらです。

「10個の欲望」(n=500)

①嫌なことだらけの現実世界から「逃避」するために、創造上の物語の世界に没入し、喜び、怒り、悲しみ、楽しむ「感情」を爆発させたい。物語は自分を解放し、リフレッシュさせている。

②無数・無限に広がる宇宙のような書籍に没入し、その時だけは嫌なことだらけの現実世界から「遮断」したい。宇宙の中だけは「常識」の範囲外で、何からも評価されることは無い。

③今まで読んできたあらゆる書籍は、自分を構成する知識であり、肉体であり、精神であり、細胞である。生きた「証」であり「私という人間の記録」そのものである。したがって一切捨てたくないし、常に自己を肯定したい。

④(特にノンフィクション系は)ノスタルジーに昔の記憶を呼び戻す装置であり、「あの頃の私」に触れる機会である。「こんなことがあった」「色々あったけど私は間違っていなかった」と自己肯定感を高めるたい。

⑤知りたい! 気になる! といった子供のような純粋な興味や好奇心を大人になっても育み、満たしたい。大人になるほどワクワクが減り、その分だけ「老い」が近付いてくる

⑥理論武装をはかり、聞き慣れない用語を使う若者と互角に渡り合うため自分を「アップデート」したい。社会とのズレに敏感で、なるべく「今」に自分を成長させていきたい。

⑦私も強くあこがれる、成功した「あの人」の人生を実際に生きてみたい。自分も同じような場面に遭遇したら、似た決断を下せるかもしれない。(私も「あの人」もそんなに違いは無い、という妬み心もある)

⑧様々なジャンルがあれど、書籍は友達の少ない(いない)私にとって、唯一無二の親友である。何でも分かるし、何でも相談できる、心を許して相談できる。したがって、書籍をバカにされたくない。

⑨先人の経験を活かし、「知恵」を拝借したい。巨人の肩に乗るような気持ち。今までに無い価値観に触れ、異なる考え方に出会い、気付けなかった発見を通じて、労せず先人の獲得した知恵を使いまわす。

⑩書籍を通じて、「まだ見ぬ世界」を知りたい。私と世界を繋ぐ接点。書籍に触れれば、時間や次元を超えて様々な事象に触れることができる。世界を通じて、自分を見つめ直し、「内省」することができる。

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筆者が書籍を買う理由を思い起こすと「知的好奇心の充足」「実用(仕事のため等)」「単純に物語が好き」の3つを思い浮べたのですが、調査の結果もう少し深く掘り下げられました。

インサイトは「内面」に触れますから、どうしても「露悪」な側面があります。物語が好きな人も「現実逃避したいだけでしょ?」と指摘されると良い気分はしないでしょうし、自己啓発本が好きな人も「そこまでして若い人に負けたくない?」と指摘されるとイラッとするでしょう。

ただ、自分の書きたい物語を創るのと、現実を忘れさせるような緻密な構成と登場人物そして溜飲が下がるような物語を創るのとでは、読者からの支持も違いますよね。「書きたいものを書く」にしても、売れる方向性を示すのは編集者の役目だと筆者は考えています。「なろう系」もそうやって地位を確立したのでは。

筆者もこれまで「知的好奇心」「成長意欲」「先人の知恵」を意識して執筆活動に取り組んでいたのですが、これからは「老いへの抗い」「若者への反抗心」「ショートカット」も意識したいと思います。


【定性調査】書籍がもっと買われるには?

グダグダと話しましたが、要は以下1点がポイントです。

①インサイトを外さない。

これに限ります。すなわち、成長意欲を求める読者層向けの書籍の中で「若者と競ったって仕方ないじゃない」「あなたはあなたのままで良い」「どうせ若者には敵いません」とか言わない、ってことです。

相手がいてこそのコンテンツであり、書籍です。書きたいものだけを書くなら、誰も読まない日記でも良い。わざわざ書籍にする理由は、やはり「読み手に感じる"何か"を届けるため」でしょう。

そうなれば、相手が「受け取り易い内容・形」にするのがプロフェッショナルとは言えませんか?


おわりに

GWの隙間時間を埋めるために「やってみた系noteを書こう」と重い腰をあげた結果、思いのほか本格的な仕上がりになってしまいました。ただ、ビジネスにおける市場調査は、これ以上に深く広く取り組んでいるビジネスパーソンも多いでしょうし、それは出版社・書店とて同じでしょう。

「ポイントカードお持ちですか?」でシングルIDを突合できる基盤が揃った今、およそどういった書籍が買われる傾向にあるか、既に把握されている方も多いはずです。

また、今回は「購買行動」に焦点を充てましたが、売上を伸ばすためにできる調査はまだまだあるはず。もしご興味ある方は、筆者までご連絡いただければ幸いです。

最後に、今回の調査票&調査結果は、こちらのURLから確認可能です。課金いただければ閲覧可能ですので、社内で稟議申請の上、ポチポチして下さいませ。(ちなみに領収書の発行はこちらからご確認いただけます)

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