スパルタ塾 「進学塾 H塾」 #01 概要
「進学塾 H塾」とは大手学習塾に勤務していた川山久美子が現在の旦那と結婚を機に早期退職し、友人が営む飲食店の2階部分を借りて内装を改装し塾に仕立て上げたのが始まりである。
川山塾長は40代半ばで学生時代はソフトボールに心血を注いでいた体育会系であり、男性顔負けの活力に満ち溢れた人物である。
前職でも中学生を教えており、英語と国語を担当していたが主要5教科は難なく教えられる。近い将来自分で私塾を開き、高校受験を控える中学生を指導したいと強く思っていたのだが、10年前に結婚しようやく夢が叶った。
「進学塾 H塾」は少人数制の全体指導の塾で1学年に10名ほどの生徒が在籍していた。また、他の塾とは大きく異なるのは「体罰」が保護者同意の元で認められていたことであろう。ここではこの
体罰に焦点をあてて話を進めていこう。
川山塾長は入塾説明の際、保護者に以下のような内容の体罰同意書にサインを求める。
『当塾では以下の事項が繰り返される場合、男女問わず指定の用具を使用した体罰を行使することがあります。
・成績不良
・学習態度(忘れ物、授業中の私語など)
・遅刻、無断欠席
●指定の用具とは、「全長80cm、直径1cmの藤製の鞭」とします。
①体罰が行われる部位は着衣越しの「臀部のみ」とする。
②1度の体罰の上限は原則12打までとする。
③体罰は必ず個室で行うものとする。
④体罰が行使された場合、その詳細を塾生手帳に記載する。保護者確認の為印鑑を押印頂きます。』
塾長は体罰に実際に使用する藤製の鞭を手に取り保護者に説明を行う。
「これで衣服の上から叩くといっても、お子さんのお尻にはミミズ腫れができます。腫れ自体は2日もすれば治りますが、赤黒くなった鞭の痕は1週間は続きます。また、ミミズ腫れが引くまでは椅子にお尻をつけて座るのがやや困難になると思いますが、それも戒めの一環だと私は考えております。お子さんにとって、次は叩かれないように気をつけよう、と注意を促す抑止にも繋がると思います。」
「もちろんお子さんに必要以上に身体的苦痛を与える気は毛頭ありません。力任せに叩いてお尻の皮が破け出血し、傷跡が残るような体罰は決して行いません。仮にお子さんに体罰を行なった場合、必ず保護者様には報告致しますし、全てはお預かりしたお子さんの高校受験が成就するために、私も全力でサポートしていきたいが故の、言わば愛の鞭です。」
塾長は鞭を使った体罰で生徒の臀部に生じるリスクを事細かく説明することにしている。
保護者からはその生徒第一主義の熱心さに感心され、賛同の声を多く貰う。
「しっかりとした規定の元でやみくもに叩いたりなされないようで安心します。」
「勉強しなさい、と言っても言うことを聞かないうちの子には是非厳しい指導をお願いします。」
「熱心に教えて貰える塾なようで勉強に身が入ると思います。」
「体罰を用いる」と言われれば不安を抱彼がちだと思われるが、生徒思いの塾であると認識され保護者からは評判が良く、説明を受けて入塾を希望する保護者が大半である。