【超短編小説】意識とハンバーグ
「ただいま。」
慎二がドアを開けると、そこには台所で炒め物をしている絵里がいる。
「おかえり。」
彼女は手を動かしながら、こちらに笑顔を向ける。
慎二はあらゆる点で絵里を愛していたが、特に笑った時に目がなくなる彼女の顔を見た時にそれを強く感じた。
「今日はなに?」
「ハンバーグだよ。玉ねぎソース作ってる。」
「いいね。」
慎二は襟の肩をぽん、と叩いて台所からリビングへと抜ける。
カバンを置いてソファへ腰掛けると、台所から絵里の鼻歌が聞こえてきた。
彼女は鼻歌をよく歌う。それは